韓国大統領が罷免、次期大統領は「反日政治家」李在明氏が確定的、尹錫悦政権で好転した日韓関係は再び険悪化か
韓国の憲法裁判所が、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する罷免を決定した。 4月4日、韓国憲法裁判所は尹大統領の非常戒厳宣言は「重大な憲法違反」として、国会で通過した弾劾訴追案を「認容」し、大統領の罷免を決定した。尹大統領は、国会で弾劾案が可決され職務停止されてから111日後に大統領職を正式に罷免されたことになる。新しい大統領を選ぶ選挙は、6月3日に実施される。 【写真】尹錫悦大統領の罷免決定の報に喜びを爆発させる市民、絶望する市民 ■ 憲法裁判官、罷免に全員一致で賛同 憲法裁はまず「尹大統領の非常戒厳令宣布当時の政治状況は国家の非常事態とは見られず、平常的な権力行使で対処が可能だった」と判断した。また、尹大統領が非常戒厳令宣布の重大理由の一つであると主張した不正選挙疑惑についても「妥当だと見ることはできない」と判断した。 国会に軍人を投入して政治家を引き出せと指示したという証人たちの主張を受け入れ、「国会の権限行使を妨害した」と判断、「布告令を通じて政治活動禁止を命じたことは重大な違憲行為」と見なした。そして尹大統領の非常戒厳令宣布行為は「憲法秩序を侵害し、民主共和政体制に深刻な危害を加えた」とし、尹大統領の罷免に憲法裁判官8人全員が同意したのだった。 これまで多くの憲法学者は弾劾審判過程での手続き的な問題を指摘しながら、「棄却」の可能性があることを示唆してきたが、おそらく憲法裁は韓国の安定と秩序を回復するためには尹大統領を罷免した方が良いという結論を下したのだろう。
各種世論調査で罷免を望む国民世論が高かった点や、4月2日に実施された全国再・補欠選挙で「国民の力」が惨敗したことも裁判官のこのような判決にある程度影響を与えたのかも知れない。 憲法裁の大統領罷免決定によって、2カ月後の6月3日に確定してしまった韓国の次期大統領選挙は、異変がない限り「共に民主党」が政権を奪取する可能性が極めて大きい。強硬支持層に振り回され、尹大統領の罷免防御にだけ注力してきた「国民の力」に代表される保守勢力は、朴槿恵前大統領の罷免から8年を経て再び「壊滅」の危機に追い込まれたと言える。 ■ 李在明氏に及びそうもない「国民の力」の“大統領候補”たち 現時点で「国民の力」の大統領候補としては、保守政治家の中で支持率トップを走る金文洙(キム・ムンス)労働部長官(73歳)が最も有力だ。 金長官は、ソウル大学在学中に工場に偽装就職し、労働組合を設立するなど、80年代の民主化勢力にとっては「労働運動のゴッドファーザー」として知られた人物だ。 だが、約20年間を労働運動に専念した彼は、94年に金泳三(キム・ヨンサム)元大統領の勧めで保守党の「民主自由党」(現国民の力の前身)に入党し、労働運動圏と決別して政治家の道を歩み始めた。 以後、国会議員、京畿道知事などを務めたが、京畿道知事再選任期中の「舌禍」により、2014年以後すべての選挙で落選し続けてきた。 文在寅政権の時代には、強硬保守らと街頭に出て文在寅政権を強烈に非難していたが、尹錫悦氏が政権をとると一躍、労働部長官に電撃抜擢された。