バギーに寝たままホームラン 重度障害者の「ウルトラ・ユニバーサル野球」全国大会 人生を切り拓く経験に #病とともに
「打った! センターに飛んでいくぞ、ホームランだ! 出ました。先頭打者、おおいしみなと選手の見事なホームラン!」 バットに当たったボールはカーンと音を立てて、センターのHOMERUNポケットまで転がった。それまで球場を映していたオンライン画面が湊士さんに切り替わる。興奮し過ぎて、顔は涙でぐちゃぐちゃに。内多さんが「すばらしいです。感想を一言」と湊士さんに呼びかけると、かたわらにいた母親の麻美さんがうれしそうな表情で気持ちを代弁した。 「(ちゃんと)できました! ドキドキしました」
元NHKアナの内多さんと2人のキーマン
全国大会には、東北ブルーロック(青森・岩手・宮城県)、東京スマイラーズ(東京都・茨城県)、サウザンドリーフ(千葉県)、KANAGAWA STARS(神奈川県)、おれんじ奈ンバー和ンず(奈良・和歌山県)、フォーシーズン(愛知県)、三重スーパーマッスルズ(三重県)、なにわ♡ピンクパンサーズ(大阪府)、九州ブラックブレッツ(佐賀・鹿児島県)の計9チームが出場した。チーム数が奇数のため、1月の準々決勝は3チームずつで戦った。 選手が5人以上いればチームとして登録できるが、チームごとの参加人数はバラバラだ。楽しければいいので、あまり細かいことにはこだわらないという。昨年の第1回大会は2チーム計13人で1試合だけ行われ、大変盛り上がった。そこで、今年は全国大会をすることになり、第1回大会に出場した選手が友達やきょうだいに声をかけて、5~40歳の59人が集まった。 冒頭の場面は準々決勝の第3試合、「KANAGAWA STARS」対「九州ブラックブレッツ」対「サウザンドリーフ」の1回、サウザンドリーフの攻撃の場面だった。 選手の自宅などと球場が設置された会場はネットワークでつながり、カメラで映し出されたそれぞれの様子は、運営本部により、YouTube配信された。運営には、実行委員会関係者、イベント会社のスタッフ、ボランティアスタッフが30人以上集まった。