「いまを生きる」にぴったりな存在
そもそも、若者に「将来の夢は何だ」と聞くのは年長者の「楽しみ」になっているという部分がある。
若者のきらきらした夢語りを聞くと、なんか若返るような気がして楽しいんじゃ、というのは、年長者がただ自分の楽しみとしてつまりは消費として夢を聞いているばかりで、語らされるほうにとってはたまらない。
深く長く先々まで考えず、大人を喜ばせられるような夢も語らず、それでも目の前にあることをきちんと処理して過ごしていく。
人生の生き方として、私はこれはこれでとても正しいとおもう。
『おむすび』が「ギャル」の物語とされたのは、たぶん、そこに狙いがあったからだろう。
ギャルこそは、まさにその「いまを生きる」にぴったりな存在である。
NHKがなぜギャルを主人公に、と最初は疑問であったが、この「いまを大事に生きる」実践者として選ばれたとなると、とてもわかる。
大きな夢を持ってそれにむかって邁進する、というドラマチックな人生ではなく、迷い迷っていつも何をやっていいのか迷いつつ進む人生を描かれると、それはそれで若者にとってのロールモデルとなる。
そういうポイントで狙いのはっきりしたいいドラマだったとおもう。