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252話 結果報告と今後の対策




 ロスコフ子爵に別れを告げたあと、身体強化のエンチャントをフル活用して、近場の拠点へ向かい、味方を援護した。


「20人中3人のガンマを、僕たちで潰せた。各拠点の距離を考えれば、ベストに近い結果だと思う。4人とも、協力してくれてありがとう」



 僕が手助けした場所は、前線の中では比較的後ろの方にある、補給部隊の拠点。


 当然、戦力的にも最前線の部隊よりは劣り……死霊術師を潰しきれず、苦労していた。



 外壁の強化や矢の量産など、事前準備をしっかり行っていたお陰で、防衛はできていたけどね。


 ロスコフ子爵含め、手助けした貴族は皆喜んでくれたし、部隊の負傷者もほぼ出なかったから、サポートしてよかったと思う。



 近場の戦いが全て終わったので、大衆派の現場指揮を執っているブランド伯爵に連絡。


 現在の状況を伝えたところ、他の拠点からも、次々と勝利報告がきていると教えられた。



 ブランド伯爵が守る拠点には、ダンさんやルイ・ロイもいるため、特に苦戦することもなく、あっさりとガンマを捕縛。


 そいつから情報収集すると共に、選抜チームを近場の拠点へ向かわせ、味方の支援を行っていたそうだ。



 他の場所でも、量産した矢と人数を活かして、マニュアル通り死霊術師を討伐。


 現状、ガンマの自爆に巻き込まれ、潰されてしまった拠点はゼロだという。






 だが多くの部隊には、Bランク程度の戦力しかいないため、死霊術師を生かしたまま捕縛できたところは少ない。


 大抵の場合、矢の雨を降らせたときハリネズミにしちゃったり、敵が落とし穴に落ちて自滅したそうだ。



 僕たちが捕えた3人は生きているけど、それを含めて7人しか生存者がいないので、殺さないよう慎重に拷問する必要がある。


 死霊術師の奴ら……操るゾンビ兵は頑強だけど、術者本人は軟弱な場合が多いからね。



 今回のガンマ襲来で、死んだ味方は100名ほど。


 その多くが、ゾンビ兵の投擲攻撃や毒の散布を受け、即死したそうだ。



 重傷者は数千人にのぼったが、ポーションは潤沢にあるため、すぐ回復させことなきを得た。


 ポーション代をケチらない優秀な指揮官と、マジックバッグを利用した効率的な輸送の賜物。



 死傷者ゼロとはいかなかったものの、敵の脅威を考えれば、充分な結果だと思う。


 代わりに、莫大な量の矢とそれを作るための費用、兵士たちの時間が飛んだけどね。






 全ての拠点で敵の討伐が終わったため、一度ブランド伯爵の元へ向かい、伯爵と二人で作戦会議。


 イアンやエスターは、ダンさん達と模擬戦しているよ。



 主人から命令されていたのか、ガンマの死霊術師は誰一人撤退することなく、倒されるまでその場に留まり攻撃を続けた。


 中途半端に戦い続けるくらいなら、ゾンビ兵と一緒に突撃して、敵を巻き込み自爆すればと思うけど……奴らも死ぬのは怖いのだろう。


 こういう時の駒として、贅沢な暮らしをさせてもらった以上、その考えは甘えでしかないけどね。



「今回は、事前に情報を仕入れられたから良かったものの、次やられたら何ヶ所かは潰されるな」


「そうですね。高ランク冒険者が滞在している拠点ならともかく、普通の兵では準備しない限り厳しいと思います」


 最低でも、無防備な状態での奇襲は防ぎたい。



「経費は嵩むが、”遠文”による定期連絡を業務へ加えよう。連絡がない場合、そこで何かあったと分かる」


 伯爵が予算表を睨みながら、意見を述べた。






「そうですね。あと、狼煙台でも作りましょうか」


 転移ギフトの効果範囲は見当がついたものの、敵がどの辺りに転移するかは、予測できない。


 この世界にレーダーなんて物は存在しないから、ある程度の実力があれば、敵陣でも行動し放題なのだ。



 <気配探知>スキルを持たない一般兵に、監視を任せるのは厳しいけど……何もしないよりは、マシだろう。


 僕も、敵陣に監視用の狼煙台を作られたら、少し緊張するしね。



「狼煙台か……。モンスターの危険もあるが、それを言えば街道だって危ないし、今更だな。”遠文”よりは使い勝手も良いし、取り入れさせてもらうよ」


「よかった。ありがとうございます」



 見張りの兵士がモンスターに殺されたり、狼煙台自体が壊される可能性もあるが、奇襲を受け全滅するよりはずっといい。


 "備えあれば憂いなし"とも言うし、普段からできる事はやっておこう!



「どのみち、王家直属軍が息を吹き返すまでは動けませんし、狼煙台は僕たちが作っておきますよ。でも、デザインには期待しないでくださいね」


 アルファさん関連で、ダンさんにイタズラするとき以外、僕のデザイン力は低いのだ。



「ジンク君、ありがとう。事後報告にはなるが、冒険者ギルドへ依頼する形で、経費と報酬を振り込んでおくよ」


「分かりました。実用性のある狼煙台を、造らせていただきます」



 ブランド伯爵や大衆派貴族が、毎回依頼を出してくれるおかげで、僕たちのギルド貢献ポイントは、地味に貯まっている。


 この戦争が終わったら、パーティー全員でSランク昇格を目指すつもりだから、彼らの気遣いは嬉しいんだよね。

小説を読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれたそこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……感想、レビュー、ブクマ、評価、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 拷問せずに奴隷にしたらもっと素直に答えないのかな
[一言] そういえばダンさんの奥様はアルファさんでしたね 頭の中で死霊術師のアルファと勝手にダブらせて ひとりでビクッとしました 作中で両者が絡むことはないでしょうから問題はないです
[一言] 狼煙台は基本ですねー。 拠点が離れ過ぎてると中継もいるけど(笑)
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