【第19回】100億円の補助金取り締まり強化。その先にある“民間委託の暴走”という構造問題
――透明化が進まぬ補助金行政の“本質”に迫る
■ 補助金の取り締まりに「100億円」?
中小企業庁は2024年4月23日、「IT導入補助金」や「事業再構築補助金」などの不正利用対策として、予算執行に関する改善策を発表しました。
内容は、以下のようなものです。
・補助金不正の防止・発見体制を強化
・モニタリング機能の高度化
・外部調査会社の活用を拡大
・「補助金見直しチーム」の設置
・約100億円規模の予算措置
確かに、公金である補助金の適正な運用を確保するという意味では一定の理解はできます。しかし、この100億円の使い道を巡っては重大な懸念があります。
■ その予算、「民間委託業者の監視業務」へ
事実として、これらのチェック・モニタリング業務の多くは、**民間委託会社(例:パソナ、損害保険リサーチ、EY税理法人など)**などが担っています。
・事務局業務(申請受付、審査、実績報告の確認)
・実地検査業務
・通報受付窓口の運営
・不正の兆候の調査
ここに「100億円」がつぎ込まれ、業務委託として再分配されている構図があるのです。
■ チェック強化が“民間委託の暴走”を招く?
問題なのは、取り締まりの強化が結果として以下のような行動につながっている点です。
処分件数が“成果”として扱われる
調査の厳格化によって、本来適正だった企業まで萎縮
実績報告における“売上”など、公募要領にない基準が導入される
目的のはずだった中小企業支援から、真逆の「萎縮と不安」へ。これはあってはならないことです。
■ SNSで広がる“声”
X(旧Twitter)などには、以下のような声が続出しています。
「もらっても安心できない補助金制度。申請する方がリスクになる」
「委託先に取り締まりを任せすぎて、自治体より怖い」
「取消件数で成果を示すような制度運営になってないか?」
■ 「運用の透明化」こそ最優先
私たちが問題視しているのは、「誰が、何を根拠に、どのように判断したか」が一切開示されないまま、企業の未来を左右する処分が行われている点です。
100億円を「監視強化」に使うのであれば、次のような改善が先ではないでしょうか?
取消処分の判断基準を明文化
実地検査・報告の証拠を開示義務化
不服申立ての手続を簡素化
委託業者の評価に「説明責任」「誤処分回避」なども含める
■ 「厳罰化」より「信頼回復」が必要
補助金制度は、本来中小企業が挑戦し、成長するためのセーフティネットであるべきです。
今のように、「もらったら最後、取消されるかも」という制度では、誰も挑戦できません。
今こそ求められているのは、処分の厳格化ではなく、運用の公平性と説明責任です。
■ 最後に
中小企業庁の今回の動きが、本当に中小企業のためになるのか。
私たちは引き続き、この問題を追い続け、声をあげていきます。
もし、過去に不当な実地検査や取消処分に苦しんだ方がいらっしゃれば、ぜひDMやメールでご連絡ください。
みなさんの声が、大きな制度改善への一歩になります。


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