戦慄のハッピーバースデー。
四十の誕生日は那覇の風俗街で迎えました。風俗には行ったことがありません。風俗嬢の方々にはたくさんお会いします。アウトサイダーの方々には、アウトサイダーの方々特有の優しさがあって好きです。私の父はアウトサイダーで、私の母はアウトサイダーで、私の姉も、私の兄もアウトサイダーです。私にはアウトサイダーの血が流れているのですが、本当は人類全員アウトサイダーなのだと思います。それを器用に隠しているのが一般市民で、だけど、化けの皮を剥がしたら全員変態なのだと思います。そんな地球が大好きです。
小学校時代、校長先生の話が長くて死にたくなっていました。つまらない時間が続くと自分は死にたくなるのだなとその時に感じて、どうすればつまらない時間をおもしろくできるのだろうかと考えた時に、そうだ、本当のことを言えばいいのだと思いました。そのように感じた私は、勇気を出して「校長先生、話が長いです」と言いました。その瞬間、体育館は凍りつきました。先生も、生徒も、全員硬直しました。この時に、私は言葉の力を実感しました。たった一言で、こんなにも世界を変えることができるのかと戦慄をしました。
三つ子の魂百までと言いますが、本当はみんな校長の話長いなと思ってはいるけれど、それを言ったらカドが立つ。だから、一般的には退屈に耐えてその後の解放を楽しむものなのだと思います。しかし、退屈に耐えられない私は「みんなが言いたくないことも、俺なら言える。俺ならやれる。俺に任せろ。俺が身に振る火の粉を被ってやる」と自己満足的なヒロイズムに身を委ね、能動的な特攻隊員になることでコンプラが支配する同調圧力に風穴を開ける快感を覚えました。つまらない空間も、誰かが本当のことを言うことで、一気におもしろくなる。プロレスみたいになって、一種のエンタメになる。誰も「校長先生、話が長いです」とは言いたくないけれど、誰かが言ってくれるなら、それを聞きたい。それを見たい。それならば、よし、俺がやってやろうと思ったのです。
常識からはみ出す快感を覚えた私は、誰かが限界突破した時に周囲から発される「あいつ言いやがった」「あいつやりやがった」的な戦慄が大好物になり、隙あらばふざけてやろうと誓いました。そんな私は、人間の必然としてロックンロールを好きになり、自分でも曲を書くようになり、自分よりやばい男二人と三人組のスピリチュアルロックバンドを結成して、音楽活動をはじめました。ある日、自分たちの曲をスタジオで練習していた時、あまりにもその曲がよくて「グッと来たよ」と言ったら、ドラムの男に怒られました。お前は何を言っているのだ。お前は馬鹿か。グッと来るなら、それはたいした曲じゃない。やり直しだ。そう言われて、同じ曲を今度はベースの男が歌いました。さっきまでのレベルを遥かに凌駕する情熱の嵐に襲われた私は「なんだか凄かったよ」とベースの男に言いました。すると、ベースの男は「ゴッと来るように歌いました」と言いました。
普通、グッと来るとは褒め言葉だと思います。しかし、我々の間では、グッと来る程度ではNG。ゴッと来る(ゴッドが来る)レベルになって、はじめて合格になるのだと思い知りました。私は、素晴らしい男たちとバンドを組めている喜びに打ち震えました。そして「やっぱりこうでなくっちゃ」と思いました。自分を楽しませる。自分をぶっ壊す。自分を戦慄させる。自分の魂をなんら戦慄させることなく、落ち着いた音楽をやっていても仕方がないのだと思いました。ゴッと来ることをやろう。小学校時代から進化していない私は、改めて「ふざけて生きて、ふざけて死のう」と誓いました。風俗街の公園で寝たため、手首と足首が蚊に刺されて腫れています。誕生日と書いて書き入れ時と読みます。お前の生き方は美しいからもっと生きろと思われた方は、私の命を繋いでください。アウトサイダーの母から「お前はみんなから愛されている間は生きて、誰からも愛されなくなったら死ぬんだね」と言われております。呼ばれた場所には何処でも行きます。死ぬも八卦。生きるも八卦。呼ばれなければ野垂れ死にます。
おおまかな予定
4月7日(月)沖縄県那覇市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
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