「厳しい状況だが、私たちは世界中の人たちとつながっている」「ミャンマーの未来がほしい」――。愛媛県今治市の今治明徳短大で4日、入学式があり、2024年秋の入学生を含むミャンマー人留学生40人が出席した。母国を襲った大規模な地震からこの日で1週間。支援の手を強く待ち望む留学生たちは、取材に不安な胸の内を明かした。
ミャンマーからの40人は国際観光ビジネスコース所属。同短大の入学生141人のうち、国籍別ではネパールからの留学生42人に次いで多い。この日の式辞で泉浩徳学長は、ミャンマーの大地震、今治市の山林火災の被災者への哀悼と見舞いの言葉を述べた。
閉式後、4人のミャンマー人留学生が短大を通じて取材に応じた。いずれも地震の1~2日後までには家族と連絡が取れ、無事が確認できたという。春入学の男性、ミョーミンケンさん(23)は、来日直前に最大都市ヤンゴンでビザ申請の手続き中に大きな揺れを感じた。震源地に近い都市には友人がおり、自宅が倒壊する深刻な被害を受けたという。「電波やインターネットの状態が悪く、なかなか連絡が取れないが、今はテントで避難生活を送っていると聞く。私自身、日本に行くのをやめようかと迷ったが、(ミャンマーの)みんなの気持ちを共有し、支えようと思って日本に来た」と話した。
24年秋入学で、東部カヤー州出身の男性、ジンミンソーさん(26)は「食べ物の値段がものすごく高くなっている。物資が届くかどうかも心配だ。ミャンマー人は明日のこと、未来のことを信じているので、世界の皆さんに今の状態を分かってもらい、支えてもらうことを願っている」と語気を強めた。
秋入学の女性、メイイヤダナーさん(23)は「ヤンゴンでは電気が1日に4時間ほどしか使えず、マンダレーなど揺れが大きかった地域は食料や水の不足が深刻と聞く」と話す。その後も母国からのニュースに心を痛めているといい、「国全体で重機が不足しており、まだ(がれきに)閉じ込められている人も多い。重機が早く必要です」と訴えた。1日にミャンマーを出たばかりの春入学の女性、テッテッカインさん(21)も「古里はけが人も多い。今は薬品と治療の手、水が必要です」と支援を求めた。
4人とも将来は通訳や旅行会社での仕事に就き、ミャンマーと日本の架け橋になることを目指している。【松倉展人】