『週刊現代』に抗議文
だが、TBSは事ここに至っても、自らの非を認めることはなかった。
5月1日発売の『週刊現代』に掲載された「『TBSに裏切られた』農協の自爆営業告発者が身バレで退職」の記事に対して、その翌日、TBSから週刊現代編集部に宛てて「抗議書」が届いた。
「TBSに裏切られた」「番組のせいで退職に追い込まれた」といった非難の連絡をTBSが告発者から受けたことはなく、筆者の記事の内容は「極めて遺憾」というものだった。
それにしても、ディレクターは、なぜあえて身バレさせたのではないかと疑われて仕方ないような取材や報道をしたのか。
BPOがその遠因と推察しているのが、〈現場任せの上長〉と〈組織内の見えない壁〉である。
今回の取材が決まった際、担当したディレクターはキャップから具体的な撮影方法などについて教えられていなかった。なぜこれが問題かといえば、ディレクターは調査報道ユニットに配属されるまで報道局での取材経験がないうえに、内部告発の企画を一人で担当するのも事実上初めてだったからである。