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韓国、野党が「国家基幹放送法」制定案を発表

韓国の最大野党で保守系のハンナラ党が、公共放送局KBSとEBSを対象とする「国家基幹放送法」の制定案を11月17日に発表した。

KBSについては、

  1. 社長・副社長・監査役の任命・解任権を持つ「経営委員会」の新設
  2. 国会でのKBS予算審議
  3. 全収入における広告収入の割合制限(20%)を条件に受信料値上げ容認
  4. 放送委員会による「受信料委員会」設置

などの内容が盛り込まれている。

現在,KBSの社長は既存の最高議決機関「理事会」の推薦を受け大統領により任命されている。また、KBSの決算は国会で審議されるが予算は国会審議の対象とされていない。一方、受信料が長年据え置かれているため広告収入が受信料収入を大きく上回る状態が続いており、財源構造の改革が経営の緊急課題となっている。受信料の改定は、KBS理事会が審議・議決し、放送の規制監督機関である放送委員会がその内容を検討し意見を添えて国会に提出、国会が承認することになっている。

ハンナラ党の法案について、KBSは翌18日、「予算の国会審議は経営と編成への介入を意味し、言論・出版に対する許可や検閲を全面禁止した憲法の精神に反し、公共放送の独立性を侵害する」などとして、反対を表明した。

韓国では、政権に批判的な大手新聞社の市場シェア制限を骨子とする法案を与党ウリ党が発表し激しい反発を呼んでいる。今回ハンナラ党が、与党寄りと言われる KBSなど公共放送に対して規制を強める法案を発表したことで、言論機関の規制をめぐる与野党の対立は一層激しいものになりつつある。

塙和磨