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BBC特許状更新議論,第1段階終了

~バーンズ・パネル,BBCの監督のあり方に焦点~

2006年末に満了するBBCの特許状更新を控え,BBCの将来像に関する政府助言機関として設置されたバーンズ・パネル(テリー・バーンズ卿を委員長とするパネル)は12月1日,報告書「顕在化したテーマ(Independent panel on BBC Charter review)」を発表した。バーンズ・パネルは,政府による国民の意見や世論調査を通じて提起された諸課題について議論する公開セミナーを主宰してきた。セミナーには,当事者であるBBCの経営委員長や会長をはじめとするBBC執行部,学識経験者や商業放送事業者等が討論者として招聘された。セミナーは7月から「BBCの公共的価値」「財源」「商業サービス」など課題別に12回行われた。その最終回として12月3日に開催された「監督と規制に関するモデル」に関するセミナーを前に,今回の報告書が議論の材料として発表された。

報告書は,大きく2つのテーマを中心にまとめられている。1つは,BBCの財源問題について,もう1つはBBCの監督や規制のあり方についてである。 財源については,「セミナーを通じて受信許可料制度の継続が全般的な支持を得た」としたが,次期特許状以後を見据えた長期的な展望においては,「受信許可料が現状のまま維持されることは困難で,受信許可料と他の財源(有料放送や広告放送)との組み合わせなど,次期特許状の有効期間の半ばで財源問題が検討されるだろう」と述べている。このように,バーンズ・パネルは,当面受信許可料をBBCの財源として支持し,デジタル放送完全移行後に再検討するという見解を示した。これは,すでに発表された政府による国民の意見の取りまとめや放送通信規制機関のOfcom(Office of Communications)による公共サービス放送レビューの報告でも示された方向性と同じものである。 一方,BBCの監督と規制のあり方について,バーンズ・パネルは方法論として次のように3つのモデルを示した。

  • (1) BBCが提案する改良型経営委員会(BBCは,6月末に発表した将来ビジョンで,経営委員会の大改革を約束し,監督機能をより強化するため,経営委員会専従の支援室を設置し,BBC 執行部との距離を置くことや,経営委員会がBBCのチャンネルごとに「サービス免許」を発行し,その免許に沿ってBBCが業務を執行する,など改革案を示し実行に移している。)
  • (2) 外部規制:OfcomまたはOfbeeb(既存の規制機関であるOfcomか,あるいはBBCだけを対象とする規制機関,Ofbeebを新設して外部から規制する。)
  • (3) ハイブリッド型役員会:InBeeb(既存の経営委員会とBBC執行部との間に,別個の役員会を設け,経営委員会はBBCによる公共サービス義務の決定などOfcom等の規制機関により近い役割を持ち,新設の役員会は企業統治に責任を持つ。) 12月3日に開催されたセミナーでの議論は,BBCの監督や規制のあり方に結論を下すものではないが,2005年初頭に発表される予定の政府によるBBC の将来に関するグリーンペーパー(たたき台)に,その結果は大きく反映される。

中村美子