2本のロープを使った縄跳び・ダブルダッチを楽しむ来場者=唐津市厳木町の旧箞木小

思い出の写真などを展示した教室=唐津市厳木町の旧箞木小

パフォーマンス集団のライブを楽しむ来場者=唐津市厳木町の旧箞木小

 統合によって廃校となった唐津市厳木町の旧箞木(うつぼぎ)小で、1日限りで学校が“復活”した。廃校の利活用について考える地元団体が教科にちなんだイベント「風のふるさと教室」を企画し、家族連れら約300人が訪れてにぎわった。

 箞木小は昨年4月に厳木小と統合し、小中併設校・厳木小中の開校に伴って閉校となった。イベントに向け、地元有志が「厳木町活性化協議会machini」を結成。厳木町内に六つある廃校の在り方について考える機会にしようと、約3カ月をかけて準備してきた。

 イベントでは、学校の思い出を写真などの資料で振り返る「社会」、大学生が寄席を披露する「国語」、サバイバルゲームや2本のロープでの縄跳びを楽しむ「体育」といった教科になぞらえてコーナーを設けた。

 来場者の中には、ゲームやアニメなどのキャラクターに扮(ふん)したコスプレーヤーも目立ち、教室などで撮影を楽しんでいた。唐津市の女子高校生(17)は「撮影できる場所が限られているのでうれしい。廃校とコスプレの相性は合うと思う」と声を弾ませた。

 校庭の駐車場が満車になるほどの盛況ぶりで、地元の食材を使った数量限定の弁当を提供した同校出身のシェフ吉野好宏さん(78)は「まるで同窓会のような気分だった。当時の記憶を思い出し、とても楽しめた」と笑顔を見せた。

 教室の黒板には「久しぶりのなつかしの校舎。大切な思い出があふれてきました」などのメッセージが寄せられた。来場者アンケートも実施し、machiniの松田弘衣さん(44)は「『廃校を活用してほしい』という声が多かった。現実的な活用の仕方をこれからも考えていきたい」と話した。(松岡蒼大)