給食談合の「代償」は21億円超 名古屋市が業者7社に賠償金請求
名古屋市立中学校の給食「スクールランチ」の調理をめぐる入札談合で、関係7社に対する市の賠償請求額が、計約21億4300万円(利息を除く)に上ることが、市側への取材でわかった。これまでに5社から計約13億8千万円の賠償金(違約金)が支払われた。市は残りの計約7億6千万円について、契約期間が終わり次第、2025、27年度に請求する方針という。
公正取引委員会は昨年5月、独占禁止法違反(不当な取引制限)で葉隠勇進(東京)、魚国総本社(大阪)、日本ゼネラルフード、メーキュー、ミツオ、松浦商店(いずれも名古屋市)の6社に、再発防止に向けた排除措置命令と計約3億9千万円の課徴金納付命令を出した。
6社は2017年2月~23年1月、市立中110校のスクールランチ調理業務の競争入札で、事前に受注業者を決め、入札価格を調整していたとされる。課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づき違反を申請したコンパスグループ・ジャパン(東京)はこの処分を免れた。
名古屋市は、これら7社との契約にあたり、談合などの不正行為が認められた場合は、請負代金の20%の賠償金の支払いを定めた特約条項を結んでいた。リーニエンシーに絡んだ特例はなく、全社に賠償金の支払いを求める方針だ。
市教育委員会によると、これまでに賠償金を支払ったのは日本ゼネラルフード、メーキュー、ミツオ、松浦商店、コンパスグループ・ジャパンの5社。25年度には魚国総本社とメーキュー、葉隠勇進の3社に計約5億1500万円を、27年度には日本ゼネラルフード、魚国総本社、メーキューの3社に計約2億4500万円を請求する。利息についても確定次第、順次求めていく。
賠償金(違約金)制度は、主に入札談合の防止が目的で、発注者側が損害額を立証しなくても早期に損害を回復できるもの。損害額を巡る業者側との裁判などを避けられる。市は、市営地下鉄6号線(桜通線)の延伸工事をめぐる談合疑惑を受け、2006年10月以降の契約について、賠償金を請負代金の10%から20%へ引き上げていた。
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