第7管区海上保安本部によりますと6日午後2時50分ごろ「対馬空港から福岡県内の病院に向かっていた医療搬送用のヘリコプターが消息不明になった」という情報が入りました。
機体には6人が乗っていて、現場の海域を捜索した結果、午後5時すぎに、転覆した状態で壱岐沖の海上に浮いている機体を巡視船が見つけて周辺で3人を救助し、その後、午後7時ごろまでに残る3人も救助されました。
海上保安本部は、漢字については確認中とした上で、救助された6人のうち患者のモトイシ・ミツコさん(86)の死亡が確認されたと発表しました。
このほか、付き添っていた家族で68歳の男性と、34歳の男性医師の2人が、救助された際に心肺停止の状態だったということで、残る3人は意識はあるということです。
病院によりますと、ヘリコプターは午後1時半ごろに対馬空港を出発し午後2時15分に到着する予定だったものの、午後1時43分に連絡が途絶えたということで、海上保安本部が事故のいきさつや当時の詳しい状況を確認しています。
長崎 医療搬送用ヘリ事故 心肺停止の3人のうち1人の死亡確認
6日午後、長崎県の対馬から福岡市の病院に患者を運んでいた医療搬送用のヘリコプターの消息がわからなくなり、その後、壱岐の沖合の海上に浮いているのが見つかりました。この事故で、乗っていた6人全員が救助されましたが、海上保安本部によりますとこのうち86歳の女性患者の死亡が確認されました。
転覆した状態で海上に浮く事故機を発見 海保
第7管区海上保安本部によりますと午後5時5分ごろに転覆した状態で海上に浮いている事故機を巡視船が見つけたということで、機体周辺のフロートにしがみついていた3人を救助したということです。
第7管区海上保安本部は機体が確認された現場付近で撮影した写真を報道各社に公開しました。
このうち午後5時すぎから午後6時前にかけて巡視艇や固定翼機から撮影した写真では、フロートの上で救助を待つ様子のほか、救助を待つ人に隊員が接触する様子、海上保安庁のヘリコプターがつり上げて救助する様子などが写されています。
また、午後10時ごろに潜水士が撮影した写真は、「佐賀航空」や「JA555H」の文字が入ったヘリコプターの機体のようなものが海中に沈んでいる様子が写されています。
病院と運航会社が記者会見
事故を受け、ヘリコプターの運航を委託している福岡和白病院と、佐賀市にあるヘリコプターの運航会社「エス・ジー・シー佐賀航空」は6日午後8時半すぎから記者会見を開きました。
この中で福岡和白病院の富永隆治院長は、新たに3人が救助され6人全員が救助されたことを明らかにしました。
6人ともこの病院に搬送され、このうち3人は記者会見の時点で心肺停止の状態で、残る3人は意識があるということです。
またヘリコプターは対馬市内の病院からの救急搬送の依頼を受けて、6日午後0時半に福岡和白病院を出たあと午後1時10分に対馬に到着し、患者らをのせて午後1時半に対馬を離陸したことを明らかにしました。
その後、ヘリコプターは、午後1時43分に連絡が途絶えたということです。
ヘリコプターは、この病院に患者を搬送するために運航されていて、機体は2008年に製造され、患者の搬送時は6人乗りのヘリとして運航していたということです。
病院によりますとこれまでの総飛行時間はおよそ3000時間だったということです。
また、4日、機体を点検した際には異常は確認されなかったとしています。
海上には強風注意報
福岡管区気象台によりますと、6日の長崎県対馬市は晴れていましたが、海上には強風注意報が出されていました。
昨年度は10件余り搬送
長崎県医療政策課によりますと、対馬市にある長崎県対馬病院から福岡和白病院にヘリコプターで患者が搬送されたケースは、昨年度は10件余りあったということです。
そのうえで、県医療政策課の猪股慎太郎課長は「今回の事故は非常に重い事案だと受け止めている。今後は県のドクターヘリを使ったり佐賀県に協力してもらったりして、患者の搬送に支障がないようにするとともに、県のドクターヘリについても安全性が守られるよう取り組んでいきたい」と話していました。
運航会社 去年7月にも墜落事故 2人死亡
海上で見つかった機体は佐賀市にある「エス・ジー・シー佐賀航空」が運航を担当していました。
佐賀航空によりますと、この機体は「ホワイトバード」と呼ばれる医療搬送用のヘリコプターで、2019年に取得し、現在は福岡市東区の福岡和白病院の専用機として運航しているということです。
「EC135」というエンジンを2基搭載した機種で、操縦士を含めて最大7人を乗せることができます。
「エス・ジー・シー佐賀航空」では、去年7月、運航していた別のヘリコプターが福岡県柳川市の農地に墜落し、2人が死亡する事故も起きています。