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お知らせが遅くなりましたが、当会は2/26付で、全市会議員、マスコミ(市政記者クラブ)各社宛にお手紙を出し、以下2点について報告しました。 1. 「こども本の森 熊本」を見学いたしました。 2.広島市は、安藤事務所と交渉を始めた時期を偽っていました。 皆様にもご高覧いただけますと幸いです。
各 位

向春の候 皆様におかれましては、益々ご清栄のことと存じます。平素より、当会の活動にご理解ご支援をいただき、有難く御礼申し上げます。

さて、懸案事項である「広島市こども図書館」の再整備および「こども本の森」につきまして、広島市からは進捗状況等の説明もなく、また、昨年 9 月の安藤忠雄氏への信書についても返信をいただけないまま迎えた 2025 年、私たち「こども図書館移転問題を考える市民の会」は、引き続き「広島市こども図書館」の適切にして十分かつ確実な再整備を求めていく所存です。皆さまにおかれましても、変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

■本日は、以下2点につきまして報告いたします。

1.「こども本の森 熊本」を見学いたしました。

1 月 17 日、 メンバー有志で熊本に赴きました。 ご存じの通り、 中之島および神戸の 「こども本の森」 は、 図書館ではなく文化施設という位置付けですが、「こども本の森 熊本」は熊本県立図書館に隣接して設置され、図書館の一部となっています。運営も熊本県の直営です。広島でも「広島市こども図書館」に隣接して設置し、図書館とする動きが見られますので、強い関心を持って見学いたしました。

熊本県立図書館副館長と「こども本の森 熊本」館長を兼任する熊本県職員の方が、ご案内くださいました。いかに「こども本の森」が素晴らしいか、隣接している図書館に良い影響が出ているかを語られる熱意には感服いたしましたが、広島で「こども本の森」を熊本のように図書館と位置づけ、「広島市こども図書館」の側に建てることには、多くの懸念が残りました。

「こども本の森 熊本」の蔵書は、壁に固定された本も含めて1万冊。実際に子どもが触れることができる本は6千冊相当と思われます。その規模でかかる経費は、年間4000万円の維持管理費と県職員5人の給与3000万円および会計年度任用職員6人の給与とのことでした。翻って「広島市こども図書館」は、蔵書21万冊、職員9人。このそばに「こども本の森」が建つとのことですが、規模感からすると、そこにかかる経費は、本来ならば「広島市こども図書館」の設備や事業費、子どもの本の購入費を増やすことに費やされるべきものではないかと思われます。ましてや、その費用捻出のために、結果として現在ある広島市の図書館の予算が
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削られるようなことになれば、はなはだしく本末転倒であり、その懸念も残念ながら払しょくできません。
熊本県立図書館の子ども図書室も併せて見学しましたが、広々とした閲覧室には、特産のい草を用いた畳敷きスペースが2か所あり、書架は子どもの目線に合わせた高さで間隔もゆったりととられ、自然光の柔らかい明るさに満たされた空間が広がっていました。熊本のように、まず、しっかりした「子ども図書室」があって、そのうえでの「こども本の森」の存在との思いを強くしました。広島の場合、まずとりかかるべきは、老朽化し、狭く使い勝手の悪い「広島市こども図書館」の、未来に向けた「本来あるべき姿」への整備ではないでしょうか。

「こども本の森 熊本」は、図書館を標榜していますが、建物の構造やコンセプトは、中之島および神戸のそれと変わりはなく、子どものための図書館としての機能を考えない、どちらかというと、分類法を含め、ヴィジュアル優先のスタイルを踏襲していることを、残念に思いました。建物中央の階段が印象的なデザインとなっていますが、閲覧やイベントの場所に使うには、バリアフリーの面、安全面、防災の面からも不安が残ります。また、図書館であるならば、本来、蔵書検索システムの運用や分かりやすい配架、レファレンスに対応できる司書が必要となりますが、熊本の場合、独自の分類による配架がなされ、司書は不在、「自
分で探して本に出合ってください」とのことでした。

また、「こども本の森 熊本」は「豊かな自然環境の中で読書を楽しむ」と謳っています。確かに、熊本県立図書館は旧砂取細川邸庭園の中にあり、「こども本の森 熊本」も大きな窓とテラスから、豊かな緑を眺めることができます。しかし、「こども本の森 熊本」の建物が県立図書館に隣接しているため、県立図書館からの本来の公園の景観が分断された印象も持ちました。広島の場合も、「広島市こども図書館」の南に隣接して「こども本の森」が建つとしたら、当然のことながら、今日まで長く子どもたちに愛されてきた機関車や緑の木陰という貴重な環境は失われることでしょう。科学館と図書館も含めたこの周辺環境は、子どもたちにとって、のびのびと遊べる場所であり、今後も大切に考えるべきものと思われます。

熊本で「こども本の森」館長と職員の方が何度も繰り返されたのは、「本と出合う場所である」ということでした。
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「予約制・時間制限・入れ替え制・貸し出しなし」では、子どもたちは単に「本に出合う」にとどまり、「子どもの読書支援を担うべき図書館」とは別の物であると感じました。

まずは「広島市こども図書館」の適切にして十分、かつ確実な再整備を! 「こども本の森」
は図書館としないでもらいたい。設置場所を再検討してもらいたい。これが、熊本を見学しての思いです。

2.広島市は、安藤事務所と交渉を始めた時期を偽っていました。

これまで広島市は、「『こども本の森』を広島市に整備し、寄付をしたいとの安藤氏の意向があることが当市に伝わってきたのは、2022 年 11 月頃である」と説明してきました。これは、2022 年 9 月 21 日に市長が「こども図書館は中央図書館と切り離して整備する」と表明した「後」であるということになります。

しかしながら、当会が広島県に情報開示請求を行なったところ、この説明には齟齬があることが判明しました。

2022 年 6 月 7 日の広島市から広島県へのメールに、「今後、安藤事務所を訪問し、お話をお聞かせいただける機会を設けていただければと考えています。安藤事務所へは、その旨をお伝えいただきますよう、よろしくお願いいたします。」とあります。このあと、安藤事務所からは「当面メールでやりとりしよう」という提案がありました。これは、広島市は 2022 年 6 月の時点で、すでに安藤氏から寄付の意向があることを知っており、安藤事務所に交渉を申し込んでいたということを示しています。(添付資料をご覧ください)

広島市が安藤事務所との交渉開始時期をなぜ偽ったのか、その理由は分かりませんが、この不誠実な在りようを、私たちは大変、残念に思っています。もしかすると、「こども本の森」誘致ありきで、当初案「広島市こども図書館をエールエールに移転して、現地には絵本の部屋を残す」だったのでしょうか? 「こども本の森」を図書館にするための方策として、「広島市こども図書館を現在地で整備する」となったのでしょうか? 疑念は膨らむばかりです。

広島市への情報開示請求も行いましたが、黒塗りだらけの開示情報を見るにつけ、子どもたちの未来に資するべき施設のスタートが、なぜこうも隠さねばならないことばかりなのか、極めて遺憾に思います。
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「こども本の森」の寄贈は、一見すると単純に「喜ばしいこと」と受け取られがちですが、多くの問題点があり、さらに、「広島市こども図書館」との整合性などを考えると、やはりここで一度立ち止まって、十分に議論されるべきものと思われます。2 月1 日に当会が行った講演会の際の参加者アンケートでも、「問題点があることを知らなかった」との声が多数見受けられました。これは、広島市にとっても、子どもの本に関わる者にとっても、なにより子どもたちにとって、大切な問題です。行政は、「大人の理論」で秘密裏にものごとを進めるのではなく、情報をオープンにし、多くの意見に虚心坦懐に耳を傾けるべきと考えます。
本来の「平和文化」は、そのようにして培われるものではないでしょうか。

皆様におかれましても、広島の子どもたちにとって、「本当に良い選択は何か」をお考えいただき、今後とも、お力添えくださいますようお願い申し上げます。

2025(令和 7)年 2 月 26 日

こども図書館移転問題を考える市民の会
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