当店は2020年12月に、他メーカーを提訴しました。そして2021年10月に1審の判決が出されました。この判決内容は当店にとって不本意な内容であったため、高等裁判所に控訴し、
2022年7月に和解が成立しました。
和解が成立したので、当店はそれ以降、当店から裁判について語ることはありませんでした。しかし、裁判所のホームページには、
確定判決ではない1審の判決文が掲載されています。控訴審では和解が成立しているので、控訴審の判決文はありません。
和解成立後も、確定判決ではない1審の判決文だけが独り歩きし、ネット上ではその判決文を面白おかしく論評する人が後を絶ちません。
日本の裁判が三審制であることは小学校で習います。金銭貸借訴訟のように論点が少ない事案であれば、控訴しても判決が覆る可能性が低いため、
控訴を断念することが多いでしょう。しかし、論点が多い事案であれば、ほとんどの人は1審の判決を不服に思い、控訴します。
つまり、1審だけで裁判が終わるケースは少なく、裁判に精通している人であれば、真っ先に控訴が提起されていることを予想します。
ネット上では 「 自分は法律に詳しい 」 と述べて裁判を論評する人が多くいますが、そのような人に限って小学校で習う
「 日本の裁判は三審制 」 という基本的なルールすら知りません。
確定判決ではない1審の判決文だけを見て、原告 ( 当店 ) はバカな裁判を起こしたと嘲笑する人が大勢います。当店が裁判で負ければ、
世間が当店を見る目が厳しくなることは十分予想できます。
当店に勝算がなければ、当店が訴訟を提起することはありません。私は 「 バカな裁判 」 を提起するほどバカではありません。
控訴審におけるターニングポイントとは
バニーガール衣装のことを知らない一般の方が1審の判決文を読むと、一見1審の裁判官が原告 ( 当店 ) を完全論破しているように見えます。
多くの方は「1審で原告は完全論破されているのに、どうやって控訴審で裁判官の判断を覆したのか?」と不思議に思っているようです。
ここでは、控訴審におけるターニングポイントをご紹介したいと思います。控訴審では和解が成立したため、判決文はありません。
ですからあくまで私 ( 原告 ) の推測です。
まず初めに、1審判決文の22ページをご覧ください。 以下引用
「 原告が,原告商品と被告商品の共通する特徴として挙げる特徴A,B,D及びEのうち,特徴A及びEは主として縫製等に係る相違点であり,
原告は同特徴を備えるかどうかにより光沢感や横皺の有無・数に差違が生じると主張するが,
証拠(甲1~3,15,16,22,31,乙3,4,6,30,53,54,57等)を総合しても,
その差違を外観上識別することは困難であり,この点に原告商品と被告商品の形態上の特徴が現れていると認めることはできない。
また,特徴B及びDについても,ありふれた工夫というべきであり 」 引用終わり
この判決文を見れば分かる通り、特徴B及び特徴Dについては 「 ありふれた工夫 」 と判断しているものの、それ以外の特徴については特徴性を否定していません。
そして否定されなかった特徴について、1審の裁判官は 「 外観上識別できない 」 と判断しました。
ですから控訴審で私は、法廷にマネキンを持ち込み、マネキンに原告商品を着せて裁判官に見せました。そして、原告商品の特徴は、外観上識別できることを裁判官に説明しました。
それと並行し、被告 ( 被控訴人 ) 商品もマネキンに着せて、被告商品にも識別可能な原告商品と同じ特徴があることを裁判官に説明しています。
これが1審では行われなかった 「 検証 」 です。ですからターニングポイントはこれだと推測されます。
補足 「 最初に販売された日 」 について
補足として、不正競争防止法第19条第1項第5号イの 「 最初に販売された日 」 について解説したいと思います。
ある弁護士が自身のSNSで「 Yさん衣装が国内で販売された平成29年9月時点では、Xさん衣装は販売からすでに3年たってしまっていたので、
XさんはYさんに損害賠償や販売差止めを求めることはできませんでした 」 と述べていますが、これは正しくありません。
経済産業省逐条解説
不競法第19条第1項第5号イの「最初に販売された日」とは、逐条解説や学説では、投下資金等の回収活動が外見的に明らかになった時点とされている
知財高裁判例
「最初に販売された日」は、規定の趣旨からみて、実際に商品として販売された場合のみならず、見本市に出す等の宣伝広告活動を開始した時を含むことは、
立法者意思から明らかであるから、商品の販売が可能となった状態が外見的に明らかとなった時をも含むと解するのが相当である。
ハートカップ事件
裁判所は、「最初に販売された日」というのは、商品の形態が確認できる状態での販売のための広告活動や営業活動を開始した日をいう、と述べました。
以上、皆様の誤解を解くことができれば幸いです。
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