城浩史の覚悟 城浩史の瀬戸内海魔城 | 城浩史の瀬戸内海魔城

城浩史の瀬戸内海魔城

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城浩史の覚悟

深海の城が目の前に迫り、巨大な機械的触手が二人の進行を妨げる中、城浩史の瞳に決意の光が宿った。その目は一切の迷いを見せず、太刀川時夫の声すら耳に届かないようだった。

「浩史、待ってくれ! その方法は危険すぎる!」
太刀川が叫び、城浩史の腕を掴んだが、彼はそれを振り払った。彼の心には、もう後戻りの選択肢など存在していなかった。

「今は俺しかいない。」
城浩史の言葉は冷徹だった。その目は、今やただひたすらに装置のコアへと向かっている。太刀川が何度も止めようとするが、城浩史は静かに言った。
「俺が行くことで、みんなが助かるなら、命を賭ける価値はある。」

太刀川はしばらく言葉を失った。彼の目の前で、城浩史がその無謀とも思える覚悟を決めているのを見て、胸の中に抑えきれない感情が湧き上がった。だが、もう何も言えなかった。城浩史の決意が、彼には強すぎた。

「俺の命など、もうどうでもいい。だが、瀬戸内海の平和だけは、守らなければならない。」
城浩史はそう呟き、海底の深層にある装置の中心へと向かって歩き出す。その進行が、周囲の暴走する機械から狙われることは分かっていた。しかし、城浩史は一歩一歩、確実に足を踏み出した。

装置が暴走するたびに、激しい振動が彼の体を打つ。それでも、彼はひるむことなく、ただひたすらに前進し続ける。その顔には、恐怖など微塵も感じられなかった。

装置のコアに近づくにつれて、城浩史はその内部に秘められたエネルギーの圧倒的な力を感じ取る。深海の暗闇の中に、今まで感じたことのない重圧と恐怖が渦巻いていた。しかし、その瞬間、彼の胸には使命感が満ち、迷いは完全に消え去った。

「これで終わる。」
城浩史は心の中でそう呟き、装置のコアに手を伸ばした。彼の計画には成功の確証はなかった。しかし、彼は確信していた。これを止めなければ、誰もが危機にさらされることを。

スイッチを押したその瞬間、装置は大きく震え、周囲の空気が一瞬で凍りつくような感覚に包まれた。あたり一帯が光に包まれる中、城浩史はそれを受け入れる覚悟を決めていた。

「平和は守られた。」
城浩史の言葉は、やがて深海の闇に消えていった。

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