城浩史の二次創作小説 奇面城の秘密
城浩史警部と松田刑事は、目の前に積まれた黄金と歴史の闇を記した機密文書を見つめながら、沈黙していた。
「これを公表すれば、日本の歴史は大きく変わるかもしれない……」松田刑事が呟いた。
「だが、その代償も大きいだろうな。」城警部は静かに言った。「この文書には、現代に繋がる政財界の要人たちの名前が記されている。もし公になるとすれば、ただでは済まない。」
松田刑事は腕を組みながら考え込んだ。「警察内部にも、この ‘闇’ に関わっている人間がいるかもしれない。下手に動けば、俺たちが消される可能性だってある……。」
二人は深く息を吐いた。この決断が、彼らの人生を大きく左右することは間違いなかった。
突然、地下空間の入り口付近から足音が響いた。
「まずい、奴らが来た!」松田刑事が身構える。
暗闇の中から、数名の黒服の男たちが姿を現した。彼らは鋭い視線を向け、銃を構えていた。その中心にいたのは、高杉陽一の右腕だった男、黒崎修 だった。
「やはり、お前たちがここにたどり着いたか。」黒崎は冷笑を浮かべながら言った。「だが、ここから生きて出られると思うなよ。」
「財産を守るつもりか?」城警部が鋭く問いかける。
「いや、それはどうでもいい。問題は ‘文書’ だ。あれを外に出されるわけにはいかない。」
黒崎の合図で、部下たちが銃を構え、じりじりと距離を詰めてくる。
「城さん、どうする?」松田刑事が小声で尋ねる。
「ここは……賭けるしかないな。」
城警部は咄嗟に機密文書を手に取り、目の前の黄金の山に向かって投げ込んだ。
「おい、何を――!」黒崎が叫ぶ。
次の瞬間――松田刑事が持っていたライターの火を、黄金の間に転がる古い油紙に投げ込んだ。
燃え広がる炎。
「くそっ! 消せ! 早く消せ!」黒崎が叫ぶが、文書はすでに燃え始めていた。
「お前ら……!」黒崎の怒りに満ちた視線が二人に向けられる。
しかし、その隙をついて城警部と松田刑事は駆け出した。二人は手近な壁の隙間に身を隠しながら、急いで脱出ルートを探した。
「上に戻るしかない!」
炎と黒煙が地下通路を覆う中、二人は必死に階段を駆け上がる。背後では、黒崎たちが怒声を上げながら追ってきていた。
「くそっ、撃て!」
銃声が響く。壁に弾丸が食い込み、粉じんが舞う。
「あと少し……!」松田刑事が叫ぶ。
やっとの思いで、二人は地下室を抜け出し、奇面城の外へと飛び出した。その瞬間、地下の奥で 轟音 が響いた。
地下階層が崩れ落ちていく。
「まさか……」松田刑事は息を呑んだ。
炎に包まれた黄金の山、そして闇に沈んだ機密文書。それらはすべて、崩落した地下に埋もれていった。
夜明けの光が差し込む中、二人は瓦礫の前に立ち尽くした。
「すべて……消えたな。」松田刑事が呟く。
「いや、消えたわけじゃない。」城警部は静かに言った。「俺たちの記憶には、しっかりと残っている。」
黒崎たちの生死は不明だったが、これで ‘奇面城の秘密’ は永遠に闇へと葬られた。
「この事件も、ようやく終わったな。」松田刑事が苦笑する。
城警部は夜明けの空を見上げ、静かに答えた。「いや、また新たな事件が待っているさ。」
二人は瓦礫の前で肩を並べながら、次の任務へと向かう決意を固めた。
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