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『あんぱん』によってNHKの朝はどう変わってしまったのか

堀井憲一郎コラムニスト
博多華丸大吉 左は『あんぱん』でヒロイン末妹メイコ役を演じる原菜乃華写真:つのだよしお/アフロ

令和7年4月からの変動

令和7年4月となって、年度替わりでいろいろ変わっている。

NHKの番組も変わっている。

『ひむバス!』が毎週放送とか驚いたが、それはまあいいや、朝番組も変わってきている。

「きわきわになった気が…」

朝ドラの前後もいろいろ細かく変わっている。

『あんぱん』第1話直後の『あさイチ』で、時計について博多大吉が指摘した。

「画面の時計のサイズが変わってない?」

でも相方の華丸はピンと来ていない。

「時間がなんか、先週までと違うよなんか」と主張し、鈴木奈穗子アナも「きわきわになった気が…」と言いだす。

華丸は、それはどうでもいいんじゃないか、という雰囲気であった。

『おむすび』時代と比べて変わっている

私も気づいていなかったので、せっかくだからと比べてみた。

『おむすび』のときと比べてみたら、たしかに、時計表示位置が少し上にあがっている。

「きわきわ」の位置である。

なるほどと少し感心してしまった。

そういうことに気づく人がいるもんだな、と私は華丸と同じような気分である。

朝ドラが5秒伸びた

また、朝ドラの本編が5秒伸びた。

これまでドラマ本編は8時14分55秒に終わって、最後5秒は、視聴者投稿などの「写真」が紹介されていた。

それがなくなった。

ぎりぎりまでドラマ本編が流れる。

ぎっこんばったん、ぎっこんばったん……

そこから、いきなり華丸、大吉、鈴木アナの3ショットに移るのだ。

直結である。

ちょっと新鮮である。

昭和のときはこうだったな、と昔をおもいだした(平成もそういう時代があったとおもいますが)。

『おはよう日本』のラストが変わった

もうひとつ、これは関東甲信越地方での話だが、朝ドラ直前の『おはよう日本』のラストが変わった。

先週までは朝ドラ直前には、4人のアナウンサーが並んでいた。

4人でときに朝ドラについて触れる。

首藤アナが喋り出し、三條アナが触れ、是永アナがさらに広げて、ときどき今井アナも参加する、というのが型であった。

それも変わった。

朝ドラ直前は7秒になった

まず時間が短くなった。

いままで天気予報が終わって、朝ドラまで15秒あった。

でも今期からそれは7秒になった。

半分である。

15秒も短いが、7秒はさらに短い。

7秒でどうするのだ、とおもうくらい短い。

高井正智アナと檜山さんが7秒展開する

でも7秒をどうにかするのがアナウンサーである。

7秒になったからなのか、アナ4人は並ばない。

中山果奈アナや、是永千恵アナ、ホルコム ジャック和馬アナは出てこない。

どのアナウンサーも朝ドラに触れて欲しいが、並んでくれない。しかたない。

出てくるのは高井正智アナとあとは檜山さんである。

檜山さんは気象予報士だ。NHKのアナウンサーではない。

その2人で朝ドラに触れるのだ。

金曜は赤木アナと檜山さん

『おはよう日本』の最後はお天気コーナーで、そのままで最後の7秒も行く、という形なのだろう。だから2人で出ている。

月曜から木曜まではアナウンサーは高井正智アナ、金曜は赤木野々花アナになった。

朝ドラに触れる機会が増える

高井アナと檜山予報士が、テンポ良く朝ドラに触れる。

第一週は5話のうち4回触れた。とても多い。

気象予報士の朝ドラ送りというのは珍しいとおもうが、でも、檜山さんは昔もやっていた。

かつて高瀬耕造アナが連日朝ドラに触れているときに、ときどき登場していた。はずだ。記憶による記述になるが、檜山さんも朝ドラについて話すんだなとおもった記憶はある。

『ひよっこ』から『カムカムエヴリバディ』までの高瀬耕造時代

高瀬アナの時代は96作『ひよっこ』から105作『カムカムエヴリバディ』である。

高瀬アナと女性アナ(前半3年は和久田麻由子アナ、後半2年は桑子真帆アナ)の2人で朝ドラに触れていたが、ときとして檜山さんも登場したことを覚えている。

なんとももう懐かしい時代となってしまった。

『あんぱん』初回前にあんぱんを食べてきた高井アナ

7秒なのでやりとりは短い。

『あんぱん』第1話直前の会話は短かった。

まず最初に高井アナから始まり、檜山予報士がそれを受ける。

高井「いよいよあんぱんですね」

檜山「はい、たのしみですね」

高井「はい、あんぱんたべてきました、では」

高井アナがあんぱん食べてきましたというのが何ともいえぬおかしみにあふれていて、初回から、うきうきした。

『あんぱん』へみごとにつながっている。

「パン膨らんでいました」

2日目はもう少し長かった。1話ラストで少年が焼きたてパンをもらったことに触れている。

高井「あんぱん……」

檜山「はい」

高井「パンがおいしそうで」

檜山「パン膨らんでました」

高井「今日も楽しみです」

檜山「楽しみです」

3日目は朝ドラに触れなかった。そういう日もある。

4日目は嵩の母が去った3話を受けての会話。

高井「あんぱん、ようやくお父さんが見られたとおもったらお母さんが…」

檜山「ね、子供たちの後ろ姿、印象的でしたね」

高井「どうなるんでしょうか…」

7秒で喋る内容としてぴったりである。ちょっと感心する。

金曜日は赤木アナになる

5日目はアナウンサーが変わって赤木野々花アナと檜山さんだった。

赤木「さああんぱんですが、おとうさんが…」

檜山「はい、ね、加瀬さん…」

赤木「だいじょうぶでしょうか、このあとです!」

檜山さんの合いの手がとてもいい。

すばらしい7秒の展開

総じて、『おはよう日本』(関東甲信越)の終わりが、なんか、いいのだ。

しみじみいい。

高井アナの気配と、檜山予報士のやりとりは、ほとんど意味がなく、でも無駄もない。

すばらしい7秒だ。

とても風とおしがよくなった感じがする。

この7秒をふくめての『あんぱん』なのだ、とさえおもえてくる。

関東と甲信越でしか見られないのはなんかもったいない気がする。

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ありがとうございます。
コラムニスト

1958年生まれ。京都市出身。1984年早稲田大学卒業後より文筆業に入る。落語、ディズニーランド、テレビ番組などのポップカルチャーから社会現象の分析を行う。著書に、1970年代の世相と現代のつながりを解く『1971年の悪霊』(2019年)、日本のクリスマスの詳細な歴史『愛と狂瀾のメリークリスマス』(2017年)、落語や江戸風俗について『落語の国からのぞいてみれば』(2009年)、『落語論』(2009年)、いろんな疑問を徹底的に調べた『ホリイのずんずん調査 誰も調べなかった100の謎』(2013年)、ディズニーランドカルチャーに関して『恋するディズニー、別れるディズニー』(2017年)など。

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