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 「PFAS」は、有機フッ素化合物のうち、半導体製造などに使われるペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物を総称した化学物質。近年、河川や地下水などを通じて、健康被害が問題視されており、PFASの一部については残留性有機汚染物質を規制するストックホルム条約(POPs条約)において対象物質として登録されるなど、欧州連合(EU)を中心に世界的に製造や使用などを制限する動きが広がっている。

「PFAS」の概要(出所:日経クロステック)
「PFAS」の概要(出所:日経クロステック)
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 日本国内でも、2025年1月にPFOA(ペルフルオロオクタン酸)の関連物質が新たに規制対象となり、原則使用が禁止された。PFASは1万種類以上あるとされており、日本で規制対象となっているのはまだその一部に過ぎない。EUではドイツやデンマークなどがPFASを一括で規制するといった提案をしており、早ければ2025年中にも規制が発効される見通しだ。今後日本でもPFASの規制対象物質が拡大する可能性があり、代替品の開発が急がれている。

 PFASの規制強化で悲鳴を上げているのは、PFASを採用している半導体業界だ。PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOAについては、耐熱性や耐薬品性、撥水(はっすい)性といった機能を持つことから、半導体用の反射防止剤やフォトレジスト(感光材)、電子機器の製造などに使用されている。ある半導体関係者からは、「(輸出規制などの)経済安全保障の問題よりもPFAS対応の方が深刻」との声も聞かれる。

 これを商機と見て、半導体材料を提供する素材メーカーが、PFASを使わない製品や代替材料の開発に本腰を入れ始めている。非PFAS製品を新規事業として位置付け開発に取り組んでいるのが、セントラル硝子だ。同社は2025年2月に、半導体露光工程で使うフォトレジストの材料について、PFASを使わない代替品を開発したと発表した。具体的には、ArF(フッ化アルゴン)液浸レジスト材料である光酸発生剤および撥水ポリマーである。同社は、世界的な半導体研究機関であるベルギーimecと2017年から共同開発を進めてきており、その成果が表れた形だ。半導体ウエハー洗浄工程における回路パターン倒れ防止剤(PK剤)についても非PFAS化に取り組んでいる。