〇月刊誌『地平』で後輩のジャーナリスト小林美希さんが連載する「ルポ・イバラキ」は、地元で話題沸騰中。今月号は、「生徒の生命を脅かす”教育改革”」。
【「自殺未遂をした生徒は、10人、20人ではすまない。その人数を大きく超える生徒たちが、この何年かのうちに命を絶とうとしたのです。東大や京大、東北大、筑波大を始めとする国立難関大学の合格を強いられるプレッシャーから、生徒が悩み、苦しんでいるのです」
茨城県でトップクラスの県立進学高校の関係者が、深刻な面持ちで語った】
と衝撃的なことが書かれている。
【その進学校では、校長が代わってからというもの「東大、京大、医学部」の合格者増に躍起だ。伝統的に自由な校風が重んじられてきたが、近年になって一変。教員が冗談を交えながら進める授業は禁じられ、受験対策になる授業内容にするよう指示されるようになった】
【筆者の母校であり、大井川知事や飯塚副知事の母校である水戸一高を訪ねた2023年度の春、知事肝いりの民間校長として文部科学省出身者が校長に着任した。校長は筆者を案内しながら、「高校三年生と附属中学生の教室を近くに配置し、間にある階段の踊り場には大学受験の『赤本』を置いて、中学生の刺激になるようにしています」と話していた。その校長の下、職員室の壁には「東大合格」「京大合格」という祈願札が貼られていた】
ここで描かれているのは私の母校でもあるが、かつてのある意味アナーキーで自由闊達の雰囲気からは、想像できない。息子が入学した時、いきなり将来の進路希望という書類を提出させられ、そこには丸印をつけるため「東大、京大、国立大学医学部、東北大学、筑波大学」などが並べられ、最後にその他として「私立大学」と書かれいるのを目にして、ビックリしたことを思い出した。
まったく私事だが、その息子は昨日合格発表があって、無事志望校に合格した。「合格確率は98%」とか、「俺が受からなかったら他は誰も受からない」とか、誰に似たのか大口ばかり叩いていたから、落ちたらパンツ一丁で町内を引き回してやろうと思っていたが、とりあえずはよかった。昨日お祝いに食事に連れて行ったやったら、「これがスタートだから」と言うのを聞いて少し安心した。
息子は、学校にはまともに通わず、卒業も危ぶまれる状況だった。家では、愛犬ゴエモンと同じ時間寝て過ごしていた。「テストは受けなくていいと先生が認めてくれた」とかふざけたことを言っていたが、毎日のように先生から家に電話が掛かってきて、本当に申し訳なかった。息子が合格できたのは、塾で知的に共鳴する先生に出会って刺激を受けたからだ。
もう高校生にもなれば、学校で先生から何かを教わるというより、自分で知的なものを求めるという姿勢を身に着けるべきなのだろう。高校教育の無償化などの議論も行われているが、政治や行政が「このような教育をすべし」と立ち入っても、ロクなことがないのかもしれない。知的なものに接する環境を整えることこそが、行政の役割なのではないか。
昨日午後の段階で、「東大合格」と祈願札が貼られていた高校の現役東大合格者は3人だけで、このままだと史上最低クラスだという。