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【米国債の暴落要因⁉️マールアラーゴ合意とは?】 ~株価の急落に繋がる可能性!元論文を踏まえて分かりやすく解説!~ マールアラーゴ合意は、ミラン氏によって昨年11月にリリースされた論文の中で示された、新たな多国間通貨合意の枠組みです。 あくまでミラン氏は政策提言ではなく、現在のシステムが抱える経済的不均衡を診断し、それに対処しうるツールを示したものであると注記しています。 トランプ大統領によって米経済諮問委員会(CEA)の次期委員長にミラン氏が指名されているため、単なる絵空事ではない可能性が浮上してきています。 元論文の中から重要なポイントにしぼりマールアラーゴ合意について以下の点を中心に解説していきますね! ✅ マールアラーゴ合意が必要とミラン氏が考える背景 ✅ マールアラーゴ合意で何が実施されうるのか? ✅ 為替や株式はどうなることが想定されるのか? ※あくまでスティーブン・ミラン氏の論文の内容を簡易的にまとめたものであり私の見解ではない点は留意してください。また、論文の中身全てを取り上げると長すぎるので要点を説明しています。 ━━━━━━━━━━━ 【準備通貨の提供が恒常的な米ドル高を招き貿易赤字を拡張】 米国が恒常的な経常赤字を抱えていることは有名ですね🐰 この原因をミラン氏は実態よりも遥かに高い水準で推移する米ドルが要因だとしています。 実際、現在のインフレ調整後のドル指数はプラザ合意前の水準まで上昇しています。
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そして、この要因は米国債などの米ドル建て資産が基軸通貨として各国の準備資産となっていることに原因があると指摘しています。 通常、価値が高い製品をつくり海外に輸出して外貨を獲得した場合、国内に戻す時に外貨売り自国通貨買いのフローが発生します。これが、経常的な自国通貨高を招き貿易黒字は縮小し均衡していきます。 実際、日本は1970年代から貿易黒字が続き一貫して2010年代までは円高傾向が続いていきましたね。(現在では頻繁に赤字になっていて現在の円安の根拠の一つになっています。) しかし、各国の準備資産としての価値を有する米ドルの場合は状況が異なります。 準備通貨は国際貿易の円滑化や巨大な貯蓄プールの受け皿(例えば通貨管理や政府系ファンドの目的)として利益最大化ではなく政策目的のために保有されます。 日本も外貨準備として1兆2000億ドル(約180兆円)を有しており、主に米国債で保有しています。 現時点で世界のドル建の外貨準備高は7兆ドルに膨張しており米国のM2の約3分の1に相当する規模になってきています。 この外貨準備としての需要が恒常的な米ドル高を招き、米国の貿易赤字が恒常化していると指摘されています。 結果として製造業の雇用が失われており、国益を損なっているとされています。 中国とロシアが単なる貿易上の脅威でなく安全保障上の脅威ともなった今、米国ではこの状況を看過できないとしています。 というのも、幅広く多様な製造基盤を持つことが必要不可欠となってきているからです。 当然、兵器や防衛システムを製造するためには生産力が必要ですからね。 生産力なくして国家の安全保障は成り立ちません。 ✅ 米国債や米ドルは準備資産となっている ✅ 実態以上に米ドル需要があり米ドル高となっている ✅ 結果として米国の製造業の雇用が失われている ✅ 製造業の生産能力の低下は武器製造にも影響がある ━━━━━━━━━━━ 【米国が提供する安全保障を各国も負担すべき】 現代では準備資産と通貨が国際金融システムと貿易において生命線となっていますね。 そして、それらを支配する米国の力は強大で貿易や金融取引をコントロールできます。 米国は金融の力を使って軍事力ではなく制裁などで外交・安全保障上の意思を貫徹することができますね。 実際、米国は様々な形で世界中の人物や国に制裁を科しています。 例えばウクライナ侵攻でロシアの資産凍結やらSWIFTから特定国を締め出したりしましたよね。 対外金融システムへの米国のアクセス遮断により、軍事力を行使せず敵対勢力を弱体化させる手段を有しています。 その代わりのコストとして米国は恒常的な米ドル高で貿易赤字をこうむり、製造業に大きな打撃を加えられているのです。 このような見方は、トランプ大統領が「他国は米国を防衛と貿易の両面で食い物にしている」と見ている理由を説明する助けになります。 他国に安全保障の傘を提供しながら我々が貿易赤字に苦しんでいると考えていてもおかしくないですね。
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そのため、トランプ大統領は関税を各国に課しているのですが、今回は大規模な対策として示されているマールアラーゴ合意の内容について説明します。 (論文の中で示されている関税に関する説明は別の機会に解説します。) ✅ 米ドルが基軸通貨であることで金融的な制裁を敵対国に課すことができる ✅ 各国は米国が提供する安全保障のコストを負担すべきである(トランプ的な思想) ━━━━━━━━━━━ 【多国間アプローチでの解決策(=マールアラーゴ合意)】 このドル高是正の解決策として、多国間アプローチと米国のみでのアプローチを挙げています。 この多国間アプローチがいわゆるマールアラーゴ合意です。(今回は長くなるので米国のみのアプローチは省略しますね) ※マールアラーゴはトランプの別荘の名前だよ! まず多国間アプローチはプラザ合意と同様です。 外貨準備を使い各国が協調介入でドル売り自国通貨買いを行い無理やりドル安にもっていくというものです。 欧州と中国と日本の協力の必要性を説いています。 ただ、現状では、欧州や中国は協調介入で通貨高にすることには応じない可能性が高いとしています。 ただ、トランプ大統領による懲罰的な関税が課されれば、協調介入に応じる余地ができるのではないかとしています。 この論文が書かれたのが2024年11月で、実際トランプが大統領に就任してから中国さらに欧州にターゲットにした関税を打ち出していることから不気味に感じますね。 ✅ マールアラーゴ合意は多国間での外貨準備を活用した協調ドル売り介入 ✅ 欧州や中国、日本、中東など幅広い国での協調が必要 ✅ 関税は協調介入を引き出すためのディールの可能性がある ━━━━━━━━━━━ 【米国債の金利上昇に備える必要がある】 ただ、協調介入を行う上で外貨準備である米国債を各国が売却することになるので、金利上昇に備える必要があります。 そこでマールアラーゴ合意に債務の長期化を組み込む案を紹介しています。 具体的には以下です。 1,安全保障は公共財であり、その内部にいる国々は米国債を買うことで資金を負担すべき 2,安全保障は資本財でもあるため、短期国債ではなく100年債で資金供給がなされるべき 3,100年債に交換しない限り、安全保障を提供しない 協調介入により売却せずに残った最低限の外貨準備については100年債に交換せよということになります。 「外貨準備による売却対象の年限の米国債における金利上昇」を「超長期債の購入による超長期金利低下」で打ち消そうというのが目的ですね。 理論的な背景は長くなりますが、超長期債の金利感応度は非常に高いので、「協調介入による短い年限の米国債の売却による短い年限の金利上昇」を「超長期金利の低下」で吸収できると考えられています。 受け入れた国が保有する超長期債に含み損があると、その国が損失を抱えるリスクが高くなります。 そこで、2023年に導入されたBTFP(Bank Term Funding Program)と同様の仕組みを使い、長期国債を担保に差し出してもらう代わりに額面通りに貸付を行い、十分な流動性を確保できるようにする案が提案されています。 こうした仕組みをあらかじめ約束することで、合意を得やすくなると期待されています。
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ドルの価値を下げることで、アメリカ国内に製造業の雇用を生み出し、世界全体の需要をアメリカに引き寄せることを狙う。 同時に、準備債務を長期のものに切り替えることで、金融市場の激しい変動や経済への悪影響を抑える。 このように、一つの合意で複数の狙いを実現しようとしているのが、いわゆる「マールアラーゴ合意」だというわけですね。 ただ、プラザ合意の時と比べて、友好国ではない中国や中東諸国も米国債を保有する比率が多くなっているので、合意にこぎつけるのは障壁があるとも付け加えています。 ✅ 協調介入の原資である外貨準備(≒米国債)の売りで金利急騰が懸念される ✅ 協調介入で使用しなかった米国債を100年債に交換することで金利上昇を抑制 ✅ プラザ合意の時に比べて為替を動かすのに多大な資金が必要で友好国でない国の協力も必要で実現可能性はプラザ合意より低い ━━━━━━━━━━━ 【マールアラーゴ合意が実施される手順】 とはいえ、いきなりマールアラーゴ合意を実施するのは以下の2つの障壁があります。 1,急激な米ドル安によりインフレが再燃する 2,そもそも中国や欧州などが現時点で協力するのは難しい そこで、まずは懲罰的な関税を課すことでディールとして協調介入への協力を促すのが現実的な案ではないかとしています。 関税については、米ドル高によって輸入品の値上がりを抑えることでインフレへの影響を打ち消す効果があります。 もし通貨高で打ち消せない部分が残った場合でも、それが景気の減速を招き、結果的に金利の低下を引き起こすことで、「マールアラーゴ合意」が成立しやすい環境を整えることができる、というわけです。 そのため、現在のトランプ政権の関税政策がマールアラーゴ合意のための下地を作る準備であると見ることもできるのです。 ✅ まずは関税で下地を整えてからマールアラーゴ合意に踏み切るのが合理的 ✅ つまりすぐに発動されるわけではなさそう ✅ 米経済諮問委員会(CEA)の次期委員長の論文の内容なので絵空事とは言えない ━━━━━━━━━━━ 【マールアラーゴ合意で株と為替はどうなる?】 では、マールアラーゴ合意で株と為替はどうなるのでしょうか? ここからは論文の内容ではないですが、過去の事例となるプラザ合意を参考にしながら考えてみましょう。 以下はプラザ合意以降のS&P500指数(ドル建)とS&P500指数(円建)をご覧ください。ほぼ米ドル安の分だけS&P500指数が上昇していますね。
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しかし、今回は当時とは当然時代が異なります。 協調介入で使われなかった外貨準備の米国債を100年債に交換したとしても、それによって金利全体の上昇をどれだけ抑えられるかははっきりしていません。 効果は限定的である可能性もあり、その実効性には不透明な部分が残ります。 仮に債券価格が暴落して金利が急騰してしまった場合、当然株式市場にとっても逆風が吹き荒れます。 米ドル安のプラスの要因と金利高が相殺し合う、または株安に振れる可能性も十分あります。 そして、当然短期的には円高が急激に進むので、ドル建てで横ばいか下落となると、日本の投資家目線の円建てで大きく資産が溶けることになります。 株式市場や為替市場への影響については、当然その時の金融環境や経済環境に依拠するので現時点で予想をするのはあまり意味がありません。 ただ、現実味を帯びてきた時点で資産配分を深く考える必要があるのは確かですね。 ✅ 米ドル安については米国株にはプラスの材料になる可能性 ✅ 100年債への交換が外貨準備売りにより金利上昇を吸収できるかは不透明 ✅ 米ドル安による上昇要因と金利上昇による下落要因がせめぎ合う可能性がある ✅ 協調介入によりドル円は一旦大きく下落する(その後中長期的には円安に回帰か) ✅ 円建てでみた米国株は下落する可能性がある ✅ 実施時点の金融経済環境に依拠するので不透明性が高い ここまで読んで参考になったという方は「いいね」と「リポスト」をしていただけるとモチベーションが高まります! ぶっちゃけた話、解説の内容が高度すぎて難しいですよね? でも、私はこのような形で、私はアメリカの財政政策にも深い考察を行った上で、株式市場の分析を行い、相場予測をして当てています。 難しい内容を理解しようと頑張るより、こういった内容を理解している私に相場予測を丸投げするのが最適解です。 当然、マールアラーゴ合意が現実味を帯びてきた段階で、最適な対策についても相場予測noteの読者さんにはお伝えしていきたいと思います。 今回の株価暴落についても、私は事前に予測していたので、読者さんたちは今回の急落もしっかり回避できていますね! 「無料解説ですら豪華なら、有料記事はもっとすごい」 と気付ける人は、ぜひ私の相場予測noteをチェックしてみてください!