ダンジョンのある世界で好きに生きるのは間違っているだろうか?


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作:ルミエル
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現実と正義、そして、答え


「さぁ、お風呂もご飯も済ませたし、今日の反省会よ!情報の整理もしときましょう!」

 

「何事もなかったように進行しやがって.....」

 

「殴りとうごさいますねぇ、あの笑顔。」

 

「私が外も内も完璧美少女だからといって嫉妬はダメよ、輝夜!大丈夫!貴方も十分綺麗だから!ばちこーん⭐︎」

 

「イラッ☆」

 

「笑顔のまま額に青筋を立てないでください、輝夜....」

 

「そうだぞ、輝夜。少し落ち着けって。あれもきっと、アリーゼのいい所だと思うから。だと思います。だと思いたい...。うん。」

 

「ちょっと!清く美しく完璧美少女の私に悪い所なんて、無いわっ!」

 

「ふふっ、貴方達こ愉快なやり取り、見ていて飽きないけれど.....始めましょうか。今回はどうだったの、アリーゼ?」

 

「はいっ、アストレア様!工場は燃えてしまったけど、一般人の被害はゼロ!勿論私達冒険者も!」

 

「相変わらず敵は有象無象ばかり。けれど、決して烏合の衆でもございません。」

 

「ああ、統制されてやがる。この神時代に『質より量』を持ち出してくんのは時代錯誤もいいとこだけどな。」

 

「.....散発的な襲撃はいつまで経っても途切れない。根絶やしにすることもできず、『悪』は未だに嗤い続けている。」

 

「そう....でも逸っては駄目よ、リュー。闇派閥(イヴィルス)は、かつての二大勢力がいた頃より都市に潜伏していたのだから。」

 

「【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】.....」

 

「『神時代の象徴』、そして『神の眷属の到達点』....二代派閥は千年もの間オラリオに君臨し、安全神話を崩さなかった。闇派閥(イヴィルス)のやつ等がビビって活動自粛するほど、あの二つの勢力は力を持っていた。」

 

「ええ、ノアの言う通りね。『古代』から続く人類史の中でも()()、といっても過言ではない。それほどゼウスとヘラは圧倒的だった。」

 

「......しかし、そのゼウスとヘラも、『黒竜』に敗れた。」

 

「どれだけ、ヤバかったんだよ、『竜の王』は.....誰が倒すんだよ、ソイツ....」

 

「誰か、だろうな。」

 

「話し、逸れちゃったわね。議題を戻しましょう。私達の正義の魂を燃やすの!バーニング!バーニング!!今日も死傷者は出なかった!闇派閥(イヴィルス)の戦力も削ってる!敵は決して無限じゃない。私達はちょっとずつ前進してるわ!そして私達が正義の翼を広げた分だけ、二代派閥(ゼウスとヘラ)がいた頃をオラリオに戻っていく!信じなきゃダメ! 地道が一番の近道だって!私達の不屈は必ず闇派閥(イヴィルス)を打ち倒す礎になる!その後、ついでに『黒竜』も倒しちゃいましょう!うんうん、いけるいける!」

 

「ついでに『黒竜』を倒しちまうなよ....ったく。楽観的過ぎて何も言えねー。」

 

「....団長、私は貴方のその甘言を受け入れがたい。未来を想うことはいい。だが、『現実』は直視するべきだ。」

 

「あら、何を言っているの、輝夜?私はちゃんと目の前のことだって見ているわ。だって、やるしかないもの。じゃあ、やりましょう。」

 

「本当に、私と貴方は相性が悪い。私はきっと貴方には敵わないだろう。」

 

「ま、アリーゼの『なんとかなる』は今に始まったことじゃないし。」

 

「そうねぇ。そしてそんなアリーゼちゃんに、私達は付いてきたんだし。」

 

「よし、『黒竜』も倒すぞ~!いつになるかわかんないけど!」

 

 

 

アリーゼはすごい。皮肉屋のライラも、ひねくれ者の輝夜も、彼女にだけは白旗を上げ、その真っ直ぐな瞳を認める。ノインも、ネーゼも、アスタも、リャーナも、セルティも、イスカも、マリューも、私も、ここにいるみんなが彼女を信じてる。ちょっと離れた所で優雅に茶を飲んでいるノア(副団長)も笑みを浮かべている。アストレア様とアリーゼがいる限りきっと私達は『正義』を見失わない。私が憧れている人。私の手を握ってくれた、尊敬しているヒューマン——

 

 

「今日もみんな、私の正しいにひれ伏したわね!フフンっ、さっすが私!!」

 

「「「イラッ☆」」」

 

「余計なことを言ってしまうのが、唯一の欠点ですが.....」 

ぼそりとリオンは呟く。

 

「それも含めて団長(アリーゼ)らしさだろ?リオン」

 

「とにかく!私達が取るべき行動は一つ! 悲しみの涙を拭い、みんなの笑顔を守る! そのために戦い続けましょう!」

 

「そうね、星の数ほどあれ、『正義』の一つはここにある。それは決して間違いではない。」

 

「アストレア様のお墨付きも貰ったし、問題なし!さぁ、恒例のヤツをやって、明日も頑張るわよ、みんな!」

 

「いつもやんなきゃダメなのかよ、これ....アタシ、小っ恥ずかしいくて苦手なんだけど。」

 

「安心しろ、私もだ。」

 

「ライラ、輝夜、真剣にやってください!....わ、私は、恥ずかしくなどないっ。」

 

「頑張ってね!俺は見てるから!」

 

「使命を果たせ! 天秤を正せ!いつか星となるその日まで!天空を駆けるがごとく、この大地に星の足跡を綴る!——『正義の剣と翼に誓って』!

 

『正義の剣と翼に誓って』!!

 

「はい!解散!」

 

 

「リオン、少しいいか?」

 

「なんですか?ノア」

 

「以前お前は、俺になぜ団長をやらないのてすかと言ってきたよな?覚えているか?」

 

「えぇ、覚えています。」

 

「その答えを言おうと思ってな。リオンは、団長に必要なのはなんだか、分かるか?お前なりの答えでいい。」

 

「強さと正しいだと思います。」

 

「強さと正しさか。まぁそれも一つの答えだな。憧れだけじゃ、足りないし、【フレイヤ•ファミリア】団長のような力の持ち主、【ロキ•ファミリア】団長のような狡賢さ、どれも正しいと思う。でも、俺個人は違うと思う。」

 

「では、団長に必要なのはなんですか?」

 

「それは、()()()()()()()()()()()()()()()だな。力だけじゃ、ダメだし、頭が良ければいいのかと言われれば違う。だってそうだろ。想像してみ?オッタルの場合は力だけを求めていて、フィンは何を考えているのかわからない。大を救う為に小を切り捨てられる。まさに()()()()()()()()。ついていけるか?俺はやだね。そんなの。団長、副団長なんてものは、ただの肩書きさ、その立場を使って、悪さを指示してくる奴もいるかもしれない。長くなってしまったが、短く言うと、『信頼と安心』だな。俺が言いたいのは。」

 

「『信頼と安心』」

 

「あぁ、今日の反省会でわかったはずだ。このファミリアの全員がアリーゼのことを認め、信じている。だから、ここまで付いてきた。これからも、付いていくだろうな。とまぁ、これが俺の答えだ。明日もあるんだ。早めに、寝ろよ。」

 

紅茶を優雅に飲んでいる、ノアを見つめる。リオンは初めて聞いた。副団長の考えを。会話を全くしなかったわけではない。最低限の会話はしていた。でもそれは活動した時だけ。反省会をするときはいつも少し離れたところで紅茶を飲んで話しを聞き、活動をするときは都市全体を見回せるところで見守っている。だから、色んな人に聞いた。ある者はスキルを活かす為に。ある者はその目は何を見据え、何を考えているのかがわからない。聞けば聞くほど分からなくなってくる。なぜ、ここにいるのか、なぜ、このファミリアなのか。だから、初めて聞いてわかった。このファミリアにいる理由が、『信頼と安心』を感じているから、なのだと。

 

 

 

 

 

 

 

『大抗争』まで、あと十日

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