白い少年が街を歩いていた。 鳥の囀り、街に生きる人々の声。
「.....なんだろう? 物静かっていうか、いつものオラリオと雰囲気が違う気がする。都市全体が
いつもと違う何かを感じていると、後ろから、誰かに声をかけられる。
「やぁ、ベル君。奇遇だね、こんな所で。」
「ヘルメス様.....って、その花束、どうしたんですか?そんなに沢山持って.....」
「ああ、今日はね、回らないといけないところが沢山あるんだ。『今』を遺してくれた者達に、感謝と誠意を捧げるために。」
「『今』遺してくれた.....?」
「.....そうか。君はまだ都市に来たばかり、七年前のことは何も知らないか。オラリオ史上、かつてない混沌が渦巻いた最悪の時代——『暗黒期』を。」
「多くの者が犠牲になった——」
「多くの者が戦った——」
「多くの者が哭いた——-」
「そんな『暗黒期』の最盛期、『大抗争』が七年前の今日、あったってわけさ。」
「『暗黒期』.....エイナさんやリリに少しだけ聞いたことがありましたけど、確か
「ああ、様々な『悪』を内包した、無数の勢力の集合体、といえば言いかな。とにかく酷かった。そして、悪辣だった。けれども、そんな巨悪に対し、誇りと高潔をもって戦った『正義』の使徒がいたんだ。そして、
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剣戟の音、あちらこちらで聞こえる、破壊と爆発、人の声。そして、火の回った工場。
「ぐあああっ!」
「アリーゼ!3番倉庫、押さえた!」
「そのまま四番まで制圧! イスカとマリューに指示!ライラは先の区画、押さえて!」
「ほいほいほいっと!
「敵ごと火の手を氷漬け!火災も襲撃も止める!
「——輝夜、リオン!敵の本命、任せた!」
「本当に、人使いの荒い団長さん.....乗り遅れないようにしてくださいませ、エルフ様。」
「抜かすな、輝夜。——行きます」
前にいる闇派閥供を瞬時に斬り伏せる
「ぎゃああぁ!?」
「まぁまぁ、なんて張り合いのない。どうしてそんな無様な
「おのれぇええええええええ!!」
「爆撃....!?伏兵か!」
「今の方角は.....やべぇ!アリーゼ!!」
「む.....無傷?ばかな.....!?」
「【
「アリーゼ、お前服燃えてんぞ!!笑止じゃなくて、焼死すんぞ!?」
ライラに言われて服が燃えている事に気がついたアリーゼは火を消す
「.....ふぅ。まぁ、こういう時もあるわよね!失敗はいつだって明日の糧!これで私はまた理想に近付いたわ!」
「すっげぇ力技で誤魔化そうとしてんぞ、アタシ等の団長....」
「前向きで都合の悪いことは全てもみ消す立ち振る舞い、わたくし達も見習わないといけませんねぇ。」
「輝夜、アリーゼを侮辱するな!アリーゼはただ、その.....少しアレなだけです。」
「あほくさ、リュー庇うなら、もう少し頑張れよ。あと、輝夜アリーゼのアレは見習わなくていい。増えたら俺が困る。」
背後から、声が聞こえ、そちらを見る。
「あらぁ、副団長様。今、来たのですか?随分と遅いですねぇ。」
「遅いって、輝夜お前なぁ、こっちは1人でやってたんだぞ。むしろ早いだろ?」
「お、お前達、まさか.....」
「あら、自己紹介が必要?それなら正々堂々たっぷりしてあげるわ!」
「弱きを助け強きを挫く!たまにどっちもこらしめる!差別も区別もしない自由平等、全ては正なる天秤が示すまま!」
「また、やってるよ、アリーゼのアレ」
「いいのですか?副団長様とめなくて?」
「止めても、無駄でしょ。毎回やってるけど、よく飽きねぇな。」
ライラ、輝夜、ノアがアリーゼのいつものやつにため息を吐きながら、呟く。
「願うは秩序、思うは笑顔!その背に宿すは正義の剣と正義の翼!私達が【アストレア•ファミリア】よ!!」
いつものセリフを言い終えたアリーゼは胸をはり、ジャジャーンと言いたそうなアリーゼを見て、また、ため息を吐く俺だった。