「会社をなめるな」「終わり。おまえ」有名化粧品ブランドで社長がパワハラ 自死した新入社員の遺族が会見
会社側「パワハラではない」反論も、労基はパワハラ・労災認定
休職後、Aさんと会社側の双方が代理人を立て、訴訟外での交渉が行われたが、会社側は社長の言動について、「Aさんに度重なる非違行動および常軌を逸した反抗的な態度があったために適切な業務指導を行ったものでありパワハラではない」と反論。 さらに、うつ病の発症・休職から約半年後の2022年7月には、会社側が休職期間満了を理由にAさんへ一方的に解雇を通知。8月15日には「健康保険被保険者証を返納すること」「今後保険証を使用すれば不正使用とみなし、詐欺罪として警察に相談する場合がある」旨の書面が送付されたという。 Aさんは8月24日に自殺を図り、いったんは一命をとりとめたものの、意識は戻らなかった。 Aさんの家族と代理人は2023年6月15日付で労働基準監督署に労災を申請。7月14日付で女性の社員としての地位の確認や、損害賠償を求め東京地裁に提訴していた。 当初、Aさん側は和解を目指していたが、同年10月1日にAさん本人が死亡。現在は損害賠償の請求を巡り争いが続いている。 一方、労基署は2024年5月24日付でAさんへの労災を認定。 さらに、坂井社長の言動についても「パワハラに当てはまる」と判断。2023年1月頃の時点でAさんがうつ病を発症していたことや、うつ病とAさんの死亡との相当因果関係なども認められた。
和解での解決断念「会社からの謝罪なし」
遺族代理人の松本龍馬弁護士は、会社側の対応を強く批判した。 「本件では、業務上の指導という名目でパワハラが行われ、会社側がAさんの言い分をヒアリングする機会は一度もありませんでした。 また、Aさんはうつ病を発症したあと、労災に該当するとして休業を申請していたにもかかわらず、会社側は一方的な解雇と警察への告訴を通知してきました。 指導のためであっても人格否定は許されず、業務上の指導を行う場合には、適切な事実認定を行うことはもはや当然で、メンタルヘルスが原因で労働者が休業した場合にも、会社による適切な支援が必要です。 会社側にメンタルヘルス患者に対する認識が不足していたことは明らかで、だからこそ今回のような事態を招いたのではないでしょうか」 前述したように、Aさん側は当初、和解での解決を模索していた。 松本弁護士も「ディー・アップ側がAさんの死をきちんと受け止め、謝罪を表明するのであれば、和解もひとつの道だとご遺族も思っておりました」と話す。 「しかし、Aさんが亡くなってからも現在に至るまで会社側からの謝罪はなく、むしろ『Aさんの言動に問題があったのだから、社長の言動はハラスメントではない』などと反論しています。あげく『家族内に問題があったのでは』と、全く事実に基づかない主張も多数展開しています。 また、パワハラで人が亡くなるといった事件が会社で起きれば、通常は社内で処分等が行われるはずですが、そのような情報もありません。Aさんを叱責した社長本人が現在もその職に就いていますから、組織として再発防止策を講じるつもりも感じられません。 こうした会社の姿勢はご遺族の意思に反しているため、和解の道は断たれたと判断し、今後は謝罪と損害賠償を求め、争っていく予定です」(松本弁護士) 遺族側は当初予定していた損害賠償額を変更し、改めて訴訟を進めていく方針だという。 ディー・アップ社は弁護士JPニュース編集部の取材に対し「係争中につきコメントは差し控える」(担当者)と回答している。
弁護士JPニュース編集部