“性被害 発生場所や加害者情報” 波紋広げたサイトが閉鎖

性被害が発生した場所や加害者とされる人物の住所など、個人が特定され得る情報を地図上に示したデータベース。民間の有志団体が先月、インターネット上に公開してから波紋を広げていましたが、3日夜閉鎖されました。

このデータベースは、民間の有志団体が報道機関などが発表した情報をみずから集めて作成し、先月からインターネット上に公開されました。

▼過去に、性被害が発生したとされる800か所以上の地点を地図上に表記しているほか、▼加害者とされる人物の住所や、▼被害者の年齢や性別などの個人データを記載し、有料会員に登録すると、事件の詳細まで確認できるとしていました。

このデータベースをめぐっては、公開当初から、「家族で話し合いができる」とか「犯罪抑止に役立つと思う」といった肯定的な意見がある一方、当事者が特定され得る情報が公開されているため、「法律に抵触するのではないか」と問題視する声もありましたが3日夜になって、サイトが閉鎖されました。

サイトのブログには「3日、個人情報保護委員会から指導を受けました。それに従い、マップは閉鎖中です」などと記載されています。

データベースを作成した団体の代表は、先月、NHKの取材に対して、「子どもを性犯罪から守るため、国内でこれほど性犯罪が起きていることを知ってもらいたいと思い取り組んだ」と述べた一方、国の個人情報保護委員会から聞き取りがあったことを明らかにしていました。

国の個人情報保護委員会は、「個別の事案については回答していない」とした上で、一般論として、「法律との関係で問題が見受けられる場合、事案を把握した上で、指導などを行う可能性はある」としていました。

インターネット上の個人情報の取り扱いに詳しい板倉陽一郎弁護士は「個人データを本人に同意なく公開するのは、今の法律に違反する。家庭内で発生した犯罪の場合、被害者の住所まで特定される危険性があり、プライバシー侵害のリスクも高いと考える」と指摘しています。

“個人情報の扱い” 日本版DBS導入めぐっても慎重に議論

性被害に関わる個人情報の取り扱いについては、去年成立した日本版DBSの制度導入をめぐっても、性犯罪歴という特に配慮が必要な個人情報をどのように扱うべきか、慎重に議論されました。

日本版DBSは子どもと接する仕事に従事する人に性犯罪歴がないかを確認することを義務づけています。

一方で、性犯罪歴は加害者の更生や社会復帰にも関わる個人情報のため、学校など指定された事業者のみが照会できることになりました。

不正な目的で、犯罪歴を取得したり、漏えいした場合には、罰則が設けられるなど、厳格に運用されることになっています。

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