山形県水産研究所の研究員 海で死亡事故 当時単独で作業
県水産研究所の研究員が2日、鶴岡市の沿岸で調査の一環で海に潜ったあと海中で沈んだ状態で見つかり、その後死亡が確認された事故で、研究所の内部規定で潜水は2人1組で行うとされているものの、当時、研究員は単独で作業していたことがわかりました。
酒田海上保安部によりますと、2日午後2時ごろから研究の一環で海での作業を行っていた研究員の五十嵐大将さん(31)が、決まった時間になっても海面に浮上しなかったことから、研究所が海上保安部に通報したということです。
現場に駆けつけた海上保安部が地元の漁業者の協力を得て捜索したところ、午後5時ごろに海底に沈んでいた研究員を発見して救助しましたが、その後、死亡が確認されました。
研究員は二枚貝の生態を調査していて、2日はその稚貝を育てるための機器を海中に設置するため、鶴岡市温海地内の沖合100メートルから150メートル、水深3メートルから4メートルの海中で、空気ボンベを装着して作業をしていたということです。
県によりますと、研究所の内部規定で潜水は2人1組で行うとされているものの、当時、研究員は単独で作業していたということです。
これについて、3日の定例記者会見で吉村知事は「非常にいたましく残念でならない。ご遺族に対してお悔やみを申し上げる。早急に安全対策を徹底し原因を分析して具体的な再発防止策をまとめたい」と述べ、作業手順の見直しなどを行い、安全対策に取り組む考えを示しました。
【これまでに何度か単独で海中での作業】
県によりますと、水産研究所の内部規定では、潜水中の安全確保策として「2人1組で行うこと」を定めていますが、2日は必要な人員を確保できなかったことから、陸上に監視員の職員を配置し、死亡した研究員が単独で海に潜っていたということです。
単独での潜水は常態化していなかったということですが、人員が確保できないなどの理由でこれまでに何度か単独で海中での作業にあたることがあったということです。
県水産振興課は「今回の事案の原因を調べた上で、内部規定の順守を徹底し、再発防止に努めていく」とコメントしています。