憧れを守るため


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作:俺ガイル愛好家
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遭遇


シンがロキファミリアに入ってから2週間が経った。最初の1週間は朝はフィンやアイズと鍛錬、昼は自己鍛錬、夜にリヴェリアとダンジョンの勉強。本当は上層を1週間ほどで教えるつもりが、シンは前の世界で何度もその世界を体験している為1週間で中層までの勉強を終わらせた。そしてつぎの1週間はひたすらダンジョンに篭っていた。2、3日は様子見としてリヴェリアやアイズなどと一緒に3階層まで潜っていたが、その時にシンがあまりにも実力があった為階層に制限はあるが1人でのダンジョンアタックを認められていた。

 

そしてそんなシンはというと、

 

「やっぱ上層のモンスターでは物足りないな。」

勿論ダンジョンに篭っていた。

(前の時のアビリティの差が激しかったから何日間かは低い階層で肩慣らしをしてたが、もうそろそろ良さそうだな。)

現在シンは5階層にいた。リヴェリアが設けた制限は5階層までだった。6階層からは新しいモンスターも増え、生産スピードも上がる為、暫くは5階層まででダンジョンに慣れてもらおうというリヴェリアの配慮だったが、前の世界でもっと奥を体験しているシンが満足できるわけがない。

 

「とりあえず今日は6階層で様子を見て、余裕があったら7階層までだな。」

強さを貪欲に求めているシンがルールを守るわけも無く、6階層へと降りて行った。

 

 

 

「フシャャャ!」

 

「よっと。やっぱりここら辺じゃ相手にならねえか。」

6階層に降り、何体かウォーシャドウを倒したが、全然余裕だった。

確かにステータスは昔に比べ落ちたが、これまで培ってきた技術、経験は無くならない。それにこれまで出てきたゴブリンやコバルト、ウォーシャドウはどれも体が柔らかく、切るのにそこまで筋力が要らない為技術で倒せてきた。

 

「7階層からはキラーアントが出てくるのか。関節を狙えば倒せないことは無いがこの刀じゃちょっと心配だな。」

シンはファミリアに入ってからずっと父さんから貰った剣を使っていた。しかしそこら辺の剣よりかはじつは良いが、名言というわけでは無いこの剣ではシンの技術に耐えられず少しづつ痛んできていた。

 

「今日はこの層までにして剣を新調するか。」

 

 

 

 

 

ダンジョンから帰宅したがいつもより早く帰ってきた為、素振りをしようかと中庭に行くと、そこにはアイズが一人で黙々と素振りをしていた。

 

「アイズ?何をしてるんだ?いつもならまだダンジョンに入ってるじゃ無いか。」

 

「あ、シン。そうなんだけど今日はリヴェリアと少し用事があったから行ってなかったの。シンこそどうしたの?」

 

「早めにダンジョンから帰ってきたから少し素振りをしようとな。暇ならちょっと付き合ってくれねえか?」

 

「いいよ。真剣でいいの?」

 

「まあ寸止めにすれば問題ないだろ。」

そういうとシンはアイズに向かって剣を構え、アイズに向かって行った。それに対応する為アイズも剣を構え、お互いの剣が衝突した。

 

その対決を見ていた他の団員によると、まるで舞踏会の様だったと語る。アイズがシンが付いてこれる様にある程度はステータスを落としているとはいえ、技はほぼ拮抗していた。

 

パキッ

 

二人の試合は突然終わりを迎える。原因はシンの剣にヒビが入ったことだった。もともと痛んではいたが、シンの技術もあり深刻なダメージには繋がらなかった。しかしアイズとの対決によって剣を心配する余裕がなく、全力を出した事による当然の結果だった。

 

「あーとうとうダメになっちまったか。」

シンはそういうと剣を鞘にしまった。

 

「ごめんなさい。私が力加減を間違えたせいで。」

アイズは剣がダメになったのが自分のせいと思っているのか、表情を暗くして謝ってきた。

「いやアイズのせいじゃないさ。もともと痛んでは来ていたし、もうそろそろ替え時と考えていたからな。」

 

「それでも…」

シンの言葉を聞いて尚くらいアイズを見てシンはひとつの提案をする。

 

「なら明日にでもオススメの武器屋を紹介してくれねえか?俺あんまり武器屋とかは詳しくないからさ。」

その言葉を聞くとアイズは表情を明るくした。

 

「うん。私もよく剣を壊すから行きつけの店があるの。私もちょうど行きたいと思ってたから。そこでもいい?」

 

「ああ、アイズの紹介する所ならどこでも。」

 

「分かった。なら明日の正午に門の前で集合で。」

 

「了解。」

そういうと2人はたわいの無い会話をしながら食堂へ向かった。

 

 

 

次の日、シンは昨日いつもより早く寝た為、早く起きてしまった。

剣がない為素振りもすることが出来ず、迷った挙句塔の屋根の上へ向かった。

目的の場所に着くと、先客がいた。そこにいたのは狼人だった。

(あの人は確か、ベートさんだったな。俺がロキファミリアに入ってから一度も見てないが、この頃から一人で行動する人だったのか。

シンがベートの鍛錬するところを見ていると、声がかかった。

 

「おい、そこのお前。さっきから何見てるんだ。出てくるなら出てこい目障りだ。」

どうやらベートはシンがいる事に気付いていたらしい。

 

「すまない。屋根の上は地上より足場が悪いから足腰の鍛錬に持ってこいだと思って来て見たら、先客がいたもんだから驚いて少し見ていたんだ。」

シンが返事をするとベートは驚いた様な声を上げた。

 

「へぇ、お前見ない顔だな。ていうことはまだレベル1か2だろ?まだガキの頃からそこまで考えてるってことは他の奴らとは少し違いそうだな。」

ベートの普段を知ってる人なら今のベートの発言にさぞかし驚くだろう。なんせあのベートが素直に人を認めたのだ。

しかしベートからすれば今までここで鍛錬をしていても、ベートを呼ぶ為人が来ることはあっても鍛錬の為と来る人は1人としていなかった。目的も自分と同じで、シンのことを強さに貪欲な部類と判断した事による当然の結果だった。

 

「自己紹介がまだだったな。俺はシン・サカモトだ。俺も参加してもいいか?」

 

「俺はベート・ローガだ。別にいいが邪魔するんじゃねえぞ!」

そういうとベートは鍛錬を再開した。それに習いシンもベートとは少し離れて開始した。

屋根の上で架空の敵を想像して戦う。いつもとは違う足場で周りにも気を配らないといけないブラス、パランス感覚も必要になって来る為かなりハードな鍛錬だった。

鍛錬を終えベートと少しだけ話した後、朝食を食べ、昼頃になるまで時間を潰してアイズとの待ち合わせの場所に行く。少しアイズを待っていると私服姿のアイズがこちらへ向かって来た。

 

「ごめん、待った?」

 

「いんや全然、それより今日は私服なんだな。似合ってるぞ。」

 

「ありがとう。この服この前リヴェリアが戦闘服以外も着ろって行って選んでくれたんだ。」

そういうとアイズは少し嬉しそうにした。

 

「とりあえず行くか。」

 

「うん。」

二人は街へ向かった。

 

 




かなり遅れてしまいました。
主は個人的にベートは好きな部類なのでこれからも登場させる予定です。
読んでくださってありがとうございます!
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