第一話:目覚め
拝啓お父さん。僕は今、見知らぬ 場所にいます………。
……いやどういう事!?
というかなんか視線は低いし、奥には魚が二足歩行で歩いてるし‼︎空には醜悪な顔したハーピイ?のような見た目の生物が死んでるし……。
あれ?というか俺の手白くないか?しかも肉球と小さい爪もあるし、サラサラな白い毛も生えてるし。
…とっとりあえずすぐ近くに池?湖?があるからそこで姿を確認しよう。
そこに見えたのはクリクリの赤い瞳に雪のように真っ白な毛を生やし、額には青い宝石を付け、ウサギのような耳とリスのような尻尾を持つ可愛らしい動物だった。
「キューーー!!」(なんじゃこれー‼︎)
おっ餅つけ!取り敢えず深呼吸だ!スー、ハー。よし少し落ち着いた。
まずは、状況確認だ。俺の名前は…何だ?何でだ!俺にも名前があったはずなのに…。
取り敢えず覚えている記憶を探ろう…。ふむ、俺は漫画やアニメが好きな、世間一般的に言うオタクだったらしい。
最後の記憶は、修学旅行でバスに乗っていたが山道で何か大きな衝撃と共に振り回される感覚と何かがつぶれる感覚。
と…どうやら俺は死んだらしい。
うーん。だけど、特に後悔とか死んだことに対する悲しさとかはないんだよな。
これは転生したことによる影響なのか?それとも元々俺はそういうのを気にしない質なのか?
前世の記憶が漫画とかアニメの記憶と死んだ時とかのものばかりだから判断材料が少ないな。
取り敢えず自分のことはあまり分からない事が分かったから次は周りの状況だ。
周りの景色としては大きな湖があって足場となる岩の橋があったり木が生えて森のようになっている。だが遠くを見てみるとまるで岩の壁のようになっており、周囲を見るとその壁が湖と森を囲うようになっている。
その壁は空のあるはずの上にまで続いており大きな部屋のようになっている。天井ともいうべきところには、太陽が割りなのか光を放っている。
少し遠くを見てみるとさっきも見た魚人間と半鳥半人《ハーピイ》。湖にはピラニアのような魚と水の中を泳ぐでかい蛇、奥にはでかい亀もいる。
…うん、どこの異世界だろう…。
けど、どこかで見た事があるんだよな。取り敢えずみたかぎりだとここは地下っぽいな。天井あるし、ダンジョンかな?
あっ向こうに人間もいる‼︎けど俺今明らかにモンスターなんだよな。向こうの人間もモンスターと思わしき奴らと戦っているし。
あっ、モンスターが全滅した。けど背中に傷を受けてる人いるな。取り敢えず人間はこっちに来ないようだし、まだ大丈夫かな…?
……?何だ人間達がモンスターの胸あたりを抉ってるのか?
石?魔石かな?を取り出して…あっモンスターの死体が黒い灰になった。というか背中に何か文字見たいなのが見えるな。
……ん?待てよ。ダンジョンらしい環境、どこか見たことのある魔石らしきものを取ると黒い灰になるモンスター…そして背中の文字。
…この世界ってダンまちなのか?
ダンまちとは、ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかの略で主人公のベルが英雄を目指すために舞台であるオラリアでたくさんの人や神と関わって英雄を目指していくという物語だ。
そんな世界においてモンスターは古代において人類の生存権をギリギリまで脅かした宿敵。
しかし、過去の英雄達と神達の奮闘によって、そんなモンスターを生み出し続けたダンジョンはバベルという巨塔によって封じられた。
しかし、それでもすでに外に出ていたモンスターは消滅せず三大冒険者依頼の三体の強力なモンスターや各地で密かに住み着いたモンスターなどは千年経っても人々に被害を与え続けた。
そんなモンスター達は、生まれながら人間と神を恨んでおり、その本能のままに殺しにかかる。
しかし、千年も経てばモンスターにも変化が生じた。ダンジョン内でモンスターが死ねばモンスターの魂はダンジョンの輪廻で持って巡って新しく生まれ変える。
しかし、生まれたモンスターの中には前世の憧景を覚えており、本能よりも理性を強く持った個体が生まれた。
それが『異端児』と呼ばれている。
……多分だが俺はそう分類される。
しかも異端児は見た目がデフォルメされて可愛くなったり、共通語を話したりするのだ。
おそらく俺の転生した種族は26階層で発生する希少モンスターのカーバンクルだ。しかし、カーバンクルの体毛は青だし、額の宝石も赤色だ。
しかも中身は人間だし、おそらく俺は異端児と認識されるだろう。
さて、そんな異端児だが原作でもかなり不遇な種族であり、モンスター故に人間には狙われるし、異端児の特性の一つとしてダンジョンの他の普通のモンスターにも襲われる。
しかもカーバンクルは希少モンスターであり、額の宝石は高値で売れるのに個体数も少ないい。
…つまりモンスターにも人間にも集中的に狙われる存在なのだ。
……この世界には神が実在するからこういうのは野暮かもしれないけど言わせてもらおう。
………神は俺に恨みがあるのか?