【「月曜から夜ふかし」問題】“カラス肉”はどんな味なのか聞いてみた件 石原慎太郎知事は「パイを東京名物に」
日本テレビの人気番組「月曜から夜ふかし」が窮地に陥っている。きっかけは3月24日の放送での街頭インタビュー。中国から来た女性が「地元ではみんな煮込んでカラスを食べている(だからカラスが少ない)」と言っているように受け止められるVTRが流れたが、実はそんな発言はなく、編集側の意図によるでっちあげだった、というのだ。担当者が面白いVTRにしたいと考えたことが理由だと同局は説明しているので、ミスではなく確信犯ということになる。 【お詫び全文】「責任は、すべて日本テレビに…」中国出身女性の発言を“捏造”した「月曜から夜ふかし」についての声明を見る 結果、同番組は制作体制を見直すため、街頭インタビューを中止しているのだという。番組のメインコンテンツが街頭インタビューなので、制作側、ファン双方にとって痛い結果といえるだろう。 今回の件が問題なのは、発言者の意図と異なる内容が伝わる編集を施したことだが、加えて「カラスを食べる」という行為のイメージの悪さが手伝っている面もありそうだ。 実際のところ、カラスを食べる国、民族はどのくらいいるのだろうか。故・石原慎太郎氏は都知事時代、増え続けるカラス対策として「カラス肉のパイを作って名物にする」というアイディアを出したこともあった。イギリスで食べたことがある、と言うのだ。ただし、このプラン、実現していないのはご存知の通りである。 なぜカラス食は一般化していないのか。動物行動学者の松原始さんの著書『カラスは飼えるか』には、その答えがウンチクとユーモアたっぷりに書かれている。以下、同書第2章「カラスは食えるか」の一部をもとに見てみよう(第2章の文章に著者自身が加筆修正を施しました) ***
毒を食らわばカラスまで
「宗教的禁忌」の項で、ニワトリを食わない民族はほぼない、と書いた。肉食を禁じていない限り、ニワトリに限らず、鳥を食べない文化はおそらくない。ベジタリアンにさえ、鶏肉までは食べてもいいポヨ・ベジタリアンというカテゴリーがある。もっとも1992年にアメリカで行われたある調査によると、自分はベジタリアンだと答えた人のうち約10%は「週に1度以上、牛や豚を食べる」と答えたらしいが(いや、もちろんパートタイムのベジタリアンもあっていいけど)。 それはともかく、ニワトリ以外の鳥の食味はどうだろう? 私もそれほどたくさん食べたわけではないが、食ってうまいのはだいたい、キジ科とガンカモ科だ。ハト科もうまい。もちろんグループの中でもうまいまずいはあり、トモエガモは「味鴨(あじ)」という古名があるくらいうまいという。シマアジという名のカモがいるが、あれはシマ鰺(あじ)ではなくシマ味鴨なのだ。 江戸時代の大名屋敷跡からはハクチョウ、ハクガン、サギなどの骨が見つかる。ハクチョウ、ハクガンはまだわかるが、サギ? ! 一般に魚食性の鳥類は魚油(ぎょゆ)臭く、あまりおいしくない。かつての南極探検隊はペンギンを食べたりもしているが、臭くてうまくないというのが大方の意見だ。サギはちょっときついんじゃないか? と思うが、これはどうやら、料理の格付けの問題である。白い鳥は瑞兆(ずいちょう)で縁起がいいとされていたから、白い鳥を使うのがお約束になっているというケースもあったようだ。となると、味など二の次であろう。