希代のスケーターの過去といまが交錯する-。フィギュアスケートのアイスショー「スターズ・オン・アイス ジャパンツアー2025」は5、6日に大阪・東和薬品RACTABドームで開催される。世界最高峰のショーに9年ぶりに浅田真央(34)が出演。高橋大輔(39)らとのスペシャルコラボナンバーを特別披露することになった。選手時代からプロへ。時間をテーマにした作品を作り上げていく練習に潜入し、互いについて語ってもらった。(敬称略)【取材・構成=阿部健吾】

   ◇   ◇   ◇   

★「かなだい」村元さん選曲振り付け

3月、東京都立川市の「MAO RINK」のメインリンクは熱を帯びていた。昨年11月に開業したスケート場は、一般滑走の最中。その氷の中央で、その施設をフルプロデュースした浅田と、髪をピンクに染めた高橋が身ぶり手ぶりで意見を交わし合い、滑りを重ねていた。そばには選手時代に高橋とアイスダンスで「かなだい」としてパートナーを組んだ村元哉中もいる。突然の豪華なトリオの出現に、周囲を滑る来場者は驚くばかり。

その後に予定していた貸し切り時間より前に、作品作りを開始していた。それだけでもかける熱意がうかがえる。「今のはきれいだったんじゃない?」。高橋が浅田を抱えるリフトを含め、幾度も確認作業が続く。合計90分ほどの練習を終えると、「新鮮だった」と声をそろえた。

浅田 大ちゃんがアイスダンスの経験でリードしてくれるので、合わせていく感じです。

高橋 『真央の音の取り方はこうなんだ』とか面白いですよ!

00年代前半からフィギュアブームをけん引した2人だ。浅田は17年に引退、高橋はシングル選手として引退後に復帰し、アイスダンスに転向した後の23年に引退。それぞれプロとしてショー界に新たな風を吹かせてきた。

★「もしかしたら これ限りかも」

浅田は全国を巡る公演を率いる座長として「サンクスツアー」「BEYOND」、さらにタップダンスなどにも挑戦した劇場でのショー「Everlasting33」、高橋はプロデュースする「滑走屋」で若手スケーターたちをスカウトし、群舞を舞う中で表現の多様さを印象付けた。その姿を互いに見てきた。

高橋 パフォーマンス力、見せる力が格段に上がってて、ちょっと衝撃を受けて。「自分も頑張らなきゃいけないな」って。負けないように自分も自分らしいものを作っていきたいなと思ってきました。

浅田 それぞれが全然違う世界観で活躍しているので、私も頑張ろうっていつも力をもらってます。今日、一緒に滑ってすごく間近で学ぶこともたくさんありました。すごいすてきなスケーターだなって。

同時代を生きながら、昔もいまも互いを成長、挑戦の糧としてきた。選曲と振り付けを任された村元も、その関係に反応した。

村元 いろんな世界で戦ってきた中で、自分のショーを持って、いろんな経験をした上で、また再会する。本当にスペシャルだと思います。2人をハイライトにしたかった。

テーマは過去と現在。浅田の過去を村元、高橋の過去を友野一希が演じ、4人での群舞になる。AQUILOの歌う「シルエット」の曲に、2人の歩みを刻む意欲作。

浅田 (コラボは)もしかしたらこれ限りかもしれない。一瞬一瞬をかみしめたいです。

高橋 あらためて振り返ることで新たな発見や思いがあるかも。4人でシェアしながら、希望を感じてもらえる作品になればいいな。

それぞれの過去を演じる2人、いまを演じる2人が氷上で重なり合い、そこに未来へ進む姿を描く。2人にとっても、大きな節目の作品になる。