調布市・共産党市議ら「不正アクセス」疑惑で市議会が刑事告訴を検討 議員専用クラウドのID・パスワードを第三者に共有か
東京都の調布市議会は3月27日、日本共産党の田村ゆう子市議と岸本直子市議の2人に対する問責(もんせき)決議を可決した。 【写真】共産党の田村・岸本市議 市議会議員用のクラウドに閲覧権限のない元市議の男性がログインできるよう、田村市議がIDとパスワードを伝え、岸本市議も幹事長の立場でそれを黙認していたことが理由。 2人の市議は刑事告訴される可能性があり、予断を許さない。
25議員のうち24議員が問責に賛成
問責決議の審議が始まる午後3時30分、対象とされた共産党市議2人は議場外へ。 対象者不在の中、提案者の丸田絵美市議(「チャレンジ調布」所属)が提案理由を読み上げた。 「令和7年(2025年)3月12日調布市議会第1回定例会において、田村ゆう子議員のID・パスワードを用いて第三者が会議システムに不正にログインをし、議員および一部の市職員に対し通知を発するという事案が発生した。 …各議員に貸与されている当該会議システムのID・パスワードについては他に漏らすことのないよう厳重な管理を求められているにもかかわらず遵守されていなかった。その結果、市議会に対する信頼を損なうことにつながったことは極めて遺憾である。 また、それを黙認してきた幹事長にも同様の責任がある。本事案は、市民と行政当局からの市議会に対する信頼を失墜させ、市議会の品位を損なう結果となった。 再発防止のためにも、当該行為の当事者たる田村ゆう子議員および所属する会派の幹事長である岸本直子議員の両名に対し、その責任を強く問うものである」 定員28人、議長と退出した2人を除く25人のうち24人の賛成で可決。 本会議後、田村・岸本両市議は連名で「このことを真摯(しんし)に受け止め、市民の皆様、関係者の皆様に深くお詫びを申し上げます」とのコメントを発表。今後の対応について田村市議は「これからあらためて考えたい、(議員辞職について)今はお答えできません」と話した。
「あってはならない、まさかの事態」
事件の経緯は、前述の提案理由に概略が記されているとおり。 3月12日午前9時20分頃、本会議中に、議員が用いる会議システム「SideBooks」に田村市議のアカウントから全議員に対して画面の共有を通知する旨のポップアップが表示された。同市議はそのような操作を行っていなかった。 正午過ぎに田村・岸本両市議が議会事務局を訪れて共産党の元市議の男性にID・パスワードを渡していたこと、当該男性による該当の時間帯での使用を確認したことを報告。さらに正・副議長、正・副議会運営委員長に説明と謝罪を行った。 その際には「田村市議が1期目(2023年4月初当選)ということもあり、議案への態度を決めることについて助言をもらうためにID・パスワードを渡した」との説明がなされたという。翌13日にも、両市議が幹事長会議に出席して説明と謝罪を行う。 元市議の男性は通常は議会を傍聴しているが、数日前から咳が出るなど体調を崩していたために、自宅からネット中継で視聴。関係者の話によると、発出された通知は、そのタイミングに本会議で行われていた議題とは全く関係のないものであったという。つまり、単純な誤操作と推察される。 露呈したルール違反に内藤美貴子副議長は「あってはならないこと。まさかの事態です」と怒りをにじませた。 井上耕志(こうし)議長も「議員が政策決定、意思決定をする際には、先輩や市民、あるいは家族の意見が影響を与えることもあるかとは思いますが…」としながらも、以下のように続けて行為の不適切差を指摘した。 「議員以外がアクセスするという想定のないクラウド内の行政情報に(不正な手段で)アクセスした第三者から言われたことを意思決定に反映させるのであれば、(市民からの)疑念を生むと思います。 「疑念が生まれるような行為をやってしまったことが問題です」(井上議長) こうして3月25日に23議員連名で問責決議が提出され、27日に可決された。