万博あす10日前 未来拓く技術続々 PerfumeはIOWNで同時3Dパフォーマンス

NTTが公開した次世代高速通信技術「IOWN(アイオン)」を使って万博記念公園から生中継したPerfume(パフューム)のパフォーマンス。専用のグラスを装着すると映像立体的に見える=2日午後、大阪市此花区の夢洲(沢野貴信撮影)
NTTが公開した次世代高速通信技術「IOWN(アイオン)」を使って万博記念公園から生中継したPerfume(パフューム)のパフォーマンス。専用のグラスを装着すると映像立体的に見える=2日午後、大阪市此花区の夢洲(沢野貴信撮影)

2025年大阪・関西万博は3日に開幕10日前となった。会期中、会場の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)には未来社会の可能性を示す数々の最新技術が登場。開幕が近づくにつれ、そのお披露目が、完成したパビリオンなどで相次いでいる。2日も人気アーティストがパフォーマンスで次世代通信技術の優秀さを証明するなど、夢洲はさながら未来社会のショーケースとなった。

万博でNTTは、次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」を活用した「3D(3次元)空間伝送」の体験を打ち出す。遠隔地に空間ごと3D映像を再現したり、ダンスのステップの振動を伝えたりといった、リアルタイムでの「空間伝送体験」が可能となる。

NTTのパビリオンで、大型ビジョンに表示されるAIが画像をもとに年齢を上下させた顔=2日午後、大阪市此花区の夢洲(沢野貴信撮影)
NTTのパビリオンで、大型ビジョンに表示されるAIが画像をもとに年齢を上下させた顔=2日午後、大阪市此花区の夢洲(沢野貴信撮影)
NTTのパビリオンで展示されている電話機=2日午後、大阪市此花区の夢洲(沢野貴信撮影)
NTTのパビリオンで展示されている電話機=2日午後、大阪市此花区の夢洲(沢野貴信撮影)

2日は、1970年大阪万博の会場跡地の万博記念公園(大阪府吹田市)で人気女性グループ「Perfume」(パフューム)がパフォーマンスを行い、数十キロ離れた夢洲のパビリオンで歌や踊りが3D映像や振動によって再現された。万博会期中は、この日に収録されたパフォーマンスをパビリオンで体感できる。

アイオンは光技術によって大容量の通信を高速、安定、低遅延で実現できる次世代の通信技術だ。その特性を生かし、パフュームのダンスをセンサーで3D化して伝送。ダンスを背後や俯瞰(ふかん)など通常では見られない視点の映像として再現した。目の前で踊っているような振動はパビリオンの床の装置で起こした。

パソナグループのパビリオンで、培養液内で拍動するiPS細胞由来のミニ心臓を示す澤芳樹氏=2日午後、大阪市此花区(井上浩平撮影)
パソナグループのパビリオンで、培養液内で拍動するiPS細胞由来のミニ心臓を示す澤芳樹氏=2日午後、大阪市此花区(井上浩平撮影)

担当者は「(万博会期中)場所や時間を超えたコミュニケーションを体感してほしい」とする。

このほか2日は、パソナグループが夢洲のパビリオンで、iPS細胞由来のミニ心臓が培養液の中で拍動する様子を公開。直径約3センチで、コラーゲンの膜にiPS細胞で作った心臓の筋肉の細胞をしみ込ませた。

作成を手がけた大阪大の澤芳樹特任教授は「『命』を目で見て感じてもらいたいと思い、新しいことに取り組んできた」と強調した。

2日は住友グループも、光や音声で来場者を導くランタンを使い、パビリオン内で森を散策するさまを公開した。

これまでも、関西電力送配電が、発電や人工知能(AI)機能を備えた未来の電柱「スマートポール」を設置したパビリオンが公開されるなどしている。(井上浩平、桑島浩任、黒川信雄)

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