④二次性徴抑制療法(いわゆる思春期ブロッカー)に積極的な精神科医と言われている康純先生の『子どものGI(性別不合)について』には、特にそれを推奨する記述は見られなかった。しかし康先生は、思春期ブロッカー等の小児のジェンダー肯定医療を推進する世界トランスジェンダーヘルス専門家協会(WPATH)に言及し、その標準的ケア第8版(SOC, version 8)の子どもの章(第7章)には正式な日本語訳がないとのことで、誌面を割いて紹介している。
印象的だったのは、「ダイバーシティとインクルージョンの観点からは、学校における男女区別を見直していく必要がある(p28右)」という康先生のコメントである。
一方、針間克己先生は小児期の性別不合について「学年が上がるにつれ、学校生活で困難を感じる場面が増えてくる。(中略)トイレ、更衣室、制服、水着、身体検査等の対応を個々に検討する(p36左)」と述べている。そうした個別対応の重要性を説く針間先生は、「小児期の性別不合は様々な状態があり、必ずしも成人期まで続かない(p35右)」、「早急に固定的な診断を下し身体治療を行うものではない(p36左)」と記しており、小児期のジェンダー肯定医療は慎重であるべき旨を述べておられる。
私には、康先生と針間先生の見解は、見事な対照をなすように見えたのである(ジェンダー肯定医療推進派と慎重派)。