【第13回】「判断するな」と契約に書いてあるのに、判断していた? ― パソナ事務局職員が越権行為で補助金取消しに加担した疑い
― 公金の取り扱いに関わる制度を透明化するために、実地検査員や審査担当者の“恣意的対応”にも警鐘を鳴らす ―
「判断」はしないはずなのに、していた?
事業再構築補助金の事務局業務を担っているのは、民間企業パソナ。
彼らが担うのは**「事務的・形式的な手続き」**のみであり、補助金交付の可否という「判断」を下す権限は本来ありません。
これは、中小機構との委託契約書に明記されていることを先の記事でも明らかにしました。
にもかかわらず、現場で実際に起きているのはまったく逆のことでした。
虚偽の証言を元に取消処分?
当社に対しては、実地検査後に事務局の職員が「従業員の証言により、工事が実施されていないことが明らかになった」と報告し、それをもとに補助金の取消し処分が行われました。
しかし、その「証言した」とされる従業員は、そのような発言はしておらず、工事の実施期間中にはまだ入社すらしていなかった人物です。
虚偽報告をもとに行政処分が行われたとすれば、それは重大な違法行為です。
実地検査員だけではない、責任の所在
実地検査に限らず、パソナの審査担当者や、その二次請け・三次請けの外部業者の職員たちも、実際には「事務局の一部」として業務に従事しています。
彼らの中には、「売上が出ていないので補助金は支給できない」など、独自の解釈による判断や指導を行っているケースも報告されています。
こうした判断は、本来「交付規程」や「交付決定通知書」に基づいて中小機構が行うべきものであり、民間委託業者が個別の企業に対して行ってよいものではありません。
虚偽報告や越権行為には法的責任も
たとえ民間委託先であっても、補助金取消しという行政処分の根拠を形成した証拠が虚偽であった場合には、次のような責任が問われる可能性があります:
偽計業務妨害罪(刑法233条)
国家賠償法に基づく損害賠償請求(職員個人への追及)
委託契約違反に基づく損害賠償責任(パソナや下請業者)
しかもこれらは、現場の実地検査員だけでなく、書類審査、実績報告の確認、取消しの提案文書作成などに関わったすべての関係者に及ぶ可能性があります。
つまり、「私はただの外注担当者だから」と責任を免れることはできないのです。
「国の代行」の誤認識がもたらす害悪
私たちが支援する企業の現場では、
「国の委託を受けているから」
「中小企業庁の代行である」
といった立場を盾に、非常に高圧的な対応を取る職員も散見されます。
録音の一方的な拒否、質問への回答拒否、身分証不提示、曖昧なまま記録だけ残す……
公的制度を預かるという自覚があまりに希薄ではないでしょうか。
裁判で明らかにする「制度の構造的歪み」
現在の裁判において、私たちは以下の点を重視しています:
実地検査時に作成された報告書、写真台帳、録音資料
それらがパソナ主導で作成された経緯
情報開示請求により「それ以外は存在しない」とされた資料の正確性
仮に今後、開示されていなかった新たな証拠資料が突如裁判で提出された場合、
それは「情報開示に対する虚偽回答」として、証拠の信頼性自体を失わせる事態となります。
まとめ:制度を預かる自覚と責任を問う
「判断をしない」はずの委託職員が判断行為を行っていた
虚偽証言による取消処分の疑い
実地検査員だけでなく、審査担当、実績確認担当、下請事業者にも責任が及ぶ可能性
高圧的な実地検査への社会的な警鐘が必要
出てくる証拠は情報開示で出たもののみ。後出しは「隠蔽」を意味する
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