「申請手続きはデタラメだった」関係者が重要証言

 再逮捕の容疑となった、足立医療センターの「建築アドバイザー報酬」。その稟議書(写し)を独自に入手した。申請も承認も同じ岩本容疑者となっている。まともな組織ではあり得ない手続きだ。

「建築アドバイザー報酬」に関する稟議書

 この稟議書は、2020年(令和2年)3月17日に申請され、承認(決定)されている。

 だが、“アドバイザー業務は2019年(令和元年)4月に開始されている”として、1年間分を遡って支払うように仕組まれていたのである。

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「本当に2019年4月から業務が開始されているなら、その前に稟議書の申請を行うのが常識ですが、岩本先生が理事長になってから(2019年4月~)、デタラメをやりたい放題でした。しかも理事会の議長役は岩本先生ですから、異議申立てをするようなことは不可能です。稟議書も理事会の当日に提出して、じっくり検討する時間を与えませんでした」(前出の女子医大関係者)

一級建築士の男 撮影・岩澤倫彦事務所

 1級建築士は、嘱託職員として女子医大から毎月の給与も得ていた。だが、嘱託職員の給与と「建築アドバイザー報酬」は、別々の地方銀行が振込先に指定されていた。

 2021年9月30日の支払いで、架空の「建築アドバイザー報酬」は終了。だが、翌年の1月19日、同じ名目で月額80万円の報酬を支給する稟議書が、理事会に提出される。振込先は、やはり嘱託職員の給与とは別の銀行口座だった。

月額80万円の報酬を支給する稟議書

 申請者は、当時のナンバー2である常務理事の肥塚直美氏。岩本容疑者が解任された後、暫定的な理事長に就任した人物で、岩本容疑者とは長年にわたって親交が深い。この稟議書も申請日より遡って、2021年10月からの支給となっていた。

 高額で、しかも不自然な手続きによって申請された「建築アドバイザー報酬」に、女子医大の理事や監事は本当に気づかなかったのか、疑問が残る。

 現在配信中の「週刊文春 電子版」では、ジャーナリスト・岩澤倫彦氏による記事の全文を配信している。関係者が「北朝鮮やロシアのよう」とまで語る、岩本容疑者が築き上げた支配体制の全貌などを報じている。

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