Taj 多事

2008

 
 

6時45分起床。やばいやばい、とっと支度を整えないと。8時に家を出て、Rickshawの溜まり場に向かうと、いつもの「オニイさん」がこちらを向いて待ち構えている。まさか、Rs.90の獲得競争になってやしないだろうな。苦労なく車が捕まるのはよいのだけど。8時20分着席。しまった、いつもの「オニイさん」にはRs.10の貸しがあったじゃないか。今度は、Rs.80を用意してそれだけ渡そう。


今日は、ASI(Annual Survey of Industry)の整理に一応のけりを付けた。異常値として落としたサンプルが適当かどうか、グラフを見ながらTERIのスタッフと検討することになる。その作業は、来週からになるだろう。あとは、非登録事業所に関するNSS(National Sample Survey)をやっつけないといけない。こちらの方が手強いのは間違いない。というのは、この調査は、調査人が帳簿もしっかりしていないような個人企業に近い事業所を尋ねて、過去365日の経済活動について調査するので、当然観測誤差が多分に含まれていることが予想される。今日までのASIの作業が、よい準備運動になっているといいんだけど。


こういう作業を小生が傍に付いてアディアを出しながら大学院生にできるだけやらせて、結果が出るたびに議論しながら進めて行くと、たいそうよいトレーニングになると思うし、研究効率もあがるはずだ。日本に居ると、授業だ、学習指導だ、委員会だと、時間がズタズタに細切れになって、そんなことがちっともできない。1年のうち授業は半期だけで、もう半期は研究および大学院生の指導という具合にはならないものだろうか。ここに何人か大学院生を連れて来られれば、よい経験にもなるし、力にもなるだろうに。なんでそんなことを思うかと言うと、どうやらYale大学は、そういうことを実施している。TERIとの交換プログラムというのは、学生だけが行き来するのではなく、研究グループがまるごと来て研究を実施するというものらしい。素晴らしい。


13時40分ごろにGulab’sへ昼食に出かける。今日は、Channa Masalaという大粒の豆のカレー(Rs.40)とRoti(パン、Rs.3)を2枚。Channaは、Chole PuriのCholeに使われている豆と同じであろうか。これも単純な素材なのだけど美味しい。アメリカの豆のケチャップ煮を何度も引き合いに出して申し訳ないが、正直言ってあれは、豆が嫌いになる。日本でも、毎日のようにご飯と納豆を食べていたわけだけど、インドの豆料理は、ライスでもパンでもどちらでもいける。


6時にTERIを出て、Mr. Singhの車でシャカルプールに戻る。8時も近くなったころから、外で音楽の大音響が始まった。なんの騒ぎであろうか、デリーの選挙は、ソニヤ・ガンディ(ネルー首相の娘インディラ・ガンディ首相が暗殺されたあとを引き継いだラディブ・ガンディ首相の奥さんでイタリア人。前回の総選挙で会議派が勝利したときに当然首相になるものと思われたが、インド人でないということで現在の首相であるマンモハン・シンにその地位を譲った)率いる国民会議派が勝利したが、その祝勝会であろうか。例のごとく12時過ぎまで続くんだろうな。


Shantaramというムンバイのテロで襲撃にあったLeopold’s Cafeを舞台にした小説で有名だというGregory David Robertsという作家が、インドを訪れることをやめないでほしいと、Shantaramという自身のWebサイトで訴えている。その中に、次のようなセンテンスがある。

If we continue to visit the country and meet the people, if we spend our time in the beautiful chaos and chaotic beauty, 中略

in other words, if we go on opening our hearts to the best that India teaches us, the people who did this violence can never win.

(もし私たちが、インドを訪れ、人々に会い、「美しい混沌」と「混沌とした美」の中で時間を費やすことを続けるならば、(中略)ほかの言葉でいえば、もし、インドが私たちに教えてくれる最善のものに、私たちが心を開き続けるならば、この破壊をもたらしたテロリストたちは決して勝利することはできないだろう。)

なるほど、「Chaos」か。まさに、ぴったりの言葉かもしれない。ムンバイを訪れたことはないのだが、ここシャカルプールにいてもChaosという雰囲気はよくわかる。「Chaos」の反対が「Organize」だとすれば、まさに「Chaos」だ。テロで悲しい思いをしている人々がいる一方で、ここの大騒ぎも同じインドである。「美しい混沌」と「混沌とした美」を感じるまでには、もう少し時間が必要なようだ。

Chaos

08/12/08

Gulab’sのChanna Msala(Rs.40)。大粒の豆のカレーです。ほんとうに単純な料理ですけど、いくらでも食べられそうな気がします。美味い!

シャカルプールの大通りMother Dairy Rd.の脇道で演奏する結婚式の楽団。最近、結婚式が多いようで、白い馬とこのような楽団をよく見かけます。