親パレスチナデモの容認、多様性・公平性・包括性(DEI)政策の導入など進歩的な傾向を見せてきた大学に対して連邦政府の助成を停止して「大学の締めつけ」を進めているとの批判を受けているトランプ米政権が、世界最高峰の名門大学の一つであるハーバード大学への資金助成停止の検討に入った。
先月31日、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)などによると、トランプ政権は同日、ハーバード大学に支給される90億ドル(約13兆3千億円)規模の連邦政府の助成金および契約を見直していると発表した。ボストン小児病院のようなハーバード大学医学部と提携関係にある機関まで助成縮小の対象に含まれるという。トランプ政権は昨年、学内で行われたパレスチナ支持デモなど「反ユダヤ主義」の黙認を助成縮小の理由に挙げている。すでにトランプ政権はハーバード大学のようにアイビーリーグ(米東部の8つの名門私立大学)の一つであるコロンビア大学にも同じ理由で4億ドルの連邦政府助成金を削減すると発表した。
500億ドルを超える基金を保有するハーバード大学は、世界で最も財政的に健全な大学の一つだ。それでも、ハーバード大学のアラン・ガーバー学長は、「(連邦政府の)資金助成が途絶えれば、命を救う研究が中断され、重要な科学研究と革新が危機にさらされることになるだろう」と懸念を示した。さらに「今後、反ユダヤ主義に対抗するために取る措置について積極的に説明する」と付け加えた。
トランプ政権は、ジョージ・ワシントン大学、ジョンズ・ホプキンス大学、ニューヨーク大学などにも反ユダヤ主義タスクフォースを派遣すると発表した。事実上、大学への圧力、ひいては「資金源の締めつけ」を他大学に拡大するという方針を明確にしたものと解釈される。
また、米国の大学では、トランプ政権の圧力に消極的に対応する大学経営陣に教授陣が激しく反発する状況も発生している。コロンビア大学の場合、昨年、反ユダヤ主義論争で辞任した学長の後任の臨時学長までもが最近、学内の論争に耐えきれず辞任した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、「トランプ氏の大学攻撃で、米国の学者は亡命を模索するほどだ」とし、「イェール大学の場合、ジェイソン・スタンリー哲学教授やティモシー・スナイダー歴史学科教授のような世界的な学者が最近、カナダのトロント大学に移った」と伝えた。スイスの大学に席を移したジョージア大学経営大学院のティム・キグリー教授もFTとのインタビューで、「10歳の娘を学校で子どもたちが銃で撃たれることよりもテスラが破壊されることを気にする国に住まわせたくない」と語った。
トランプ政権の大学への圧力に対して、NYTは「ハーバード大学への資金助成を実際に中断すれば、莫大な経済的、学問的反発がある可能性が高い」と予測した。また、米紙ニューヨーク・ポストは、入学コンサルタントのインタビューを引用し、「最近、複数の大学に合格した学生たちが、コロンビア大学ではなくニューヨーク大学やデューク大学など他大学を選択している」とし、「大学ブランドの価値が損なわれたうえ、入学後、複雑なことに巻き込まれたくないためだ」と伝えた。
林雨宣 imsun@donga.com