ふざけて、お姉ちゃんに全部取られて私はみそっかすと言われたのが頭にいつでも残っている。学業はできなかったが専門学校で生き物の世話が得意な妹だった。ともだちを作る事も上手く、休みの日にそれらの人々とアウトドアに大きな車に乗って大きな犬を連れていく妹。頭はいいと言われ私立の雄をでたが全ては真逆で、そんな楽しい人間関係なんて今でも全く存在しない私にはほんとに誇りだった。全然みそっかすとかでなくて、人が生きてく上でひつようなものを私たちはちゃんと分け合って、それでそれぞれが上手くやれてるじゃないかって安心していた。私が得ないものをちゃんと持っている妹。
さっさと私は家を出、残された妹は数年親元で苦労しながら暮らし専門職ゆえの乏しい給料ながらも何とか家を出た。会うと賃金の少なさや人の良さで、仕事をたくさん振られ過ぎていることなどを話していた。どれも切実な問題で、彼女の衣食住のリアルな話を聞くと、私はみそっかすしか残らへんかったのよという笑いながらいつかの正月に言った言葉が蘇った。それでも、一人で生きて、難しいながらも職を得て、いつもの人に信頼されて人が寄ってくる真面目なやり方でやっていってるのだと、別に毎日連絡を取らなくっても私が何事もなく飛び越えたように28歳とかそんなのも過ぎて、私がやらなかった結婚をして、それでなんなら母も報われてくれたらいいやって思ってた。結婚式にはいっぱいお金を出そう。ありがとうって。
その妹が難病になった。なんで?女なのに顔が動かなくなったという。そんなことがあの真面目で、それもほんとに普通の人にはできないと思う、別の生き物を正しく飼い、養い育てるに足る特別な真面目さを持ち生きてきた女に、なぜ?顔?麻痺って何なの。顔が歪む病気。未婚の私にとってはいつまでも少女のような妹の、真面目な優しい妹の顔が。
意味がわからない。食べ物も反対からでて、頭も起き上がれなくなるくらい痛み、眩暈と耳鳴りのくすりをすごい量もらったねん、と母が電話口で言っている。ステロイドを打ったときだけは食べられるけどとか。
聞いた日は上司に告げる時に意味がわからないくらい泣いてしまってみっともなかった。私が泣いても変わらないのだ。何食べれる?何飲める?レトルトなら食べれるのか柔らかいし。レトルト 高級で調べて美濃吉の煮麺セットを送った。あと取り寄せとかいうところからも送った。ぶどうジュースならというから、ジュース 高級で調べて、信州の農家が作っているジュースセット、びんに入ったものを送った。みかんジュースも好きだったからみかんも金の蜜とかいうのを買った。千疋屋も買った。多分恐ろしい量のジュースとレトルトの宅配がいく。降ってかかった災難の妹の元に着くのはどれも4日とか5日後以降に発送とかで、本当そんななか1番最初に送ってくれた信州の葡萄ジュースには感謝している。ここが1番遅いと思って他からもぶどうジュースが瓶に入って届くことになった。
私は、何をしたらいいか、わからない。ブランケット、頭も痛くて苦しんでいる時に柔らかいブランケットなんかあったらいいのかとカシミアのブランケットを買ってそれも送ろうとしてどうしたらいいかよりわからなくなった。今は何か励ますとかそんなのでもなく意味がわからないがジュエリーとかあればいいかもと探し始めて、やばいかもと思って書いた。金の使い方がわからない。
さっき妹が病気になった話しかしていない人から、お前が申し訳なくなる必要はないと言われて核心を突かれた気分で泣いた。でもやっぱり、多分妹は頭が良くないから四大すらも行けず専門学校を選ばざるをえず、かんたんに人を使い捨てる安い給料の仕事しか選べなかった。典型的な、できれば若いうちに結婚をした方がいい貧困女性になっている。それはもしかしたら私が頭の良さとかいうやつをとってしまったのかもしれない。健康な体もそうなのかもしれない。私はなんの病を得る事もなく30をすぎ、厄年も当たり前に過ぎた。誰の人生も若いうちはそんなものだと思っていた。
生まれ持った体で責任を持って、誰のせいにもせず生きるのが当然とか、そんなことはわかっている。でもだなあ。
私が彼女とちゃんと生きる上で必要なものは当分に分かち合っていた、と信じ込んでいたものは、やっぱりなかったのかもしれない。頭も体も。心も。一人で生きようとすれば追い詰められるほど私が全部取ってたのかもしれない。
役に立たないものばかりだったのか。何にもお前の助けにならなかったのか。
それを埋め合わせする方法がわからない。二つで一万円する葡萄ジュースをいくら飲ませても顔が元に戻るかわからない。蜜柑ジュースも役に立たない ジュース 高級 なんで調べて馬鹿みたいだがそれしかすることがない。私は妹に会えない。本当にただただ良くなって、これがいっそ開運のきっかけになればいいのにとか、わかったようなことしか言えない。妹に会えない。
この書き方で間違ってたらすまない。
しょうもな