日テレの「捏造報道」を見た中国人の反応…日本人が冷笑されてしまう「悲しいワケ」
日テレの「捏造報道」は中国では無視される
日本テレビの人気バラエティ番組『月曜から夜ふかし』が、中国人女性の話を捏造して編集、「中国人がカラスを煮込んで食べる」と放送し、大炎上している。番組側は日本語と中国語で謝罪文を掲載したが、世間からの批判は収まっていない。 【衝撃写真】中国人が「路上排便」する瞬間 ただ、中国の反応は、日本人が思うほど過熱してはいない。中国では反日ニュースが盛り上がると誤解している日本人が多いが、その手の話はもともと関心が高くない。 今回の件に関しても、27日から「日本の有名バラエティ番組、中国人が『カラスを食べる』と悪意の編集!公式謝罪」(原文は中国語)などの見出しで多数の報道があっても、中国のニュースアクセスランキングで30位にも入らず、圏外だ。 問題の映像部分も抜き出して伝えられたが、24時間が経過した翌28日でも、そのニュース記事に付いたコメントは少数だ。 「日本のマスコミはこうして中国の間違った情報ばかり広めているが、人々は信じているのか?」 「こんな番組を今後、誰が見るのでしょうか?」 「番組が謝罪しても、広まったデマは取り戻せません」 「我々がカラスを食べる? 冗談にしてもまったく面白くないです」 SNS上を見ても、大きな話題にはなっておらず、日本関連ニュースでは、「ロシア潜水艦、日本海で軍事訓練、日本への挑発デモンストレーション」や「日本の葬儀市場は中国が密かに独占、墓石や棺桶は中国製」といった別のニュースの方がランキング入り、反響もはるかに大きい。
「中国人はカラスを食べない」を聞いた中国人
問題の番組は3月24日に放送されたもので、「この春上京する人へのアドバイスを聞いてみた件」という企画。地方や外国出身者に街頭インタビュー行っていた。 マスクをした中国人女性が日本語で「去年の3月にバルコニーにカラスが来て、ハンガーを持っていったのを見て、衣類を外で乾かしてない。あんまり中国にカラスは飛んでいないですね」という話をした後、「みんな食べてるから少ないです」「とにかく煮込んで食べて終わり」と話した。 これにマツコ・デラックスら出演者が大笑い。 女性の発言は、音声で流された上に同時にテロップも加えられたもので、一見して吹き替えとすら気付かないもので、かなり巧妙だ。画面右下にかなり小さく「※中国全域ではありません」というテロップまで表示していたが、女性は一切そういった発言をしておらず、誤解でも誤訳でもない。意図された「捏造編集」だったのだ。 この背景には、おそらく「中国人ならカラスを食べると言っても日本の人々が信じるだろう」という偏見があっただろう。日本では、食文化が多様な中国人について「何でも食べる」という誤ったイメージが根強く、この放送以前からSNS上でも「中国人はカラスを食べるそうです」「中国人にとってカラスは食糧」と根拠ない投稿が多数見られた。 人々は異文化の食習慣を「奇異」として面白がり、特に「自分たちが食べないものを食べる人々」については悪口の材料にし、デマまで拡散させてしまうのだ。 いま中国のネット上で「カラスを食べる」と検索すると、表示されるのは中国人ではなく、茨城県のカラス食文化と今回の捏造問題という皮肉な結果になっている。 中国の3名の記者、4名の一般人、計7名に聞いてみても、全員が「カラスを食べる習慣は聞いたことがない」という回答をした。 上海の女性記者はこう語った。 「中国では古くから、カラスは不運の象徴と見なされてきました。その印象から食べる発想はまずない。寄生虫や病原体を運ぶという話も広まっています。そもそも中国は広く、多くの民族・言語に分かれているので一概に中国人のことを論じることはできない。 日本のメディアはごく一部の中国人の習慣を見つけては、中国人全員がそうであるかのように伝えることが多いです。中国でカラスを食べる習慣は見たことも聞いたこともありませんが、これも中国人全体を馬鹿にする話にしたかったのでしょうか」