山本太郎は日本のトランプになるのか? この夏、選挙で「れいわ新選組」が間違いなく「大躍進」を果たす明白な理由
「漠然とした不満」をすくい上げる
「れいわ新選組」の中心的な勢力基盤となっている地域は関東平野の東部(東京・千葉・埼玉)で、それ以外では大きく見劣りするものの、各主要都市圏の地方議会に議席を出せるくらいの一定の支持層を持っている。 支持層は主として30~40代の現役世代である。SNSで言われているほど無職やニートの集まりではないが、所得水準は低い。あまり政治についてのリテラシーが高いとはいえない。断っておくが馬鹿にしているわけではない。むしろそういう層にリーチする戦略を党としてきちんと練れているからこそ、「れいわ新選組」は強いのである。 政治経済に対する基礎的知識が乏しい人びとというのは、だからといって必ずしも政治的に無関心であるというわけではない。「政治家はなにかよからぬことをして、自分たちの生活を苦しくしている」という漠然とした不満は抱いている。しかし、自分たちの生活を苦しくする「よからぬこと」の実像は明確につかむことができないでいる。 「れいわ新選組」は、そういう曖昧な不満を抱える層に“わかりやすい答え”をキャッチーに提供することで勢力を伸ばしてきた。オーソドックスといって差し支えないポピュリズム政党であり、「脱原発(放射能恐怖)」とか「反TPP」の大衆的機運が過ぎ去ったあとに彼らが持ち出した最大の旗印が、いまも変わらない「消費税(廃止)」である。 所得水準が低くてリテラシーの乏しい層にとって、もっとも身近な税金は所得税や住民税より「消費税」である。「消費税=よくわからないけど、とりあえず庶民を苦しめるわるい税」という漠然とした認識が顕著に共有されている。れいわ新選組の代表・山本太郎氏はそういう空気感をきっちり嗅ぎ取っている。
「見棄てられた人びと」と向き合う
「ソレ減税減税~! 消費税なくせ~! 消費税なくせ~! あソレ消費税消費税!なくせなくせ~!」などと、俳優仕込みのよく通る声でリズムよく音頭をとりながら練り歩く山本氏の街宣を見たことがある人もいるかもしれないが、アレがとにかくヤンキー層には刺さる。 「消費税」というのが「とりあえずなくすべき悪い税金の親玉」くらいの解像度で世の中を見ている、(言い方は悪いが)政治経済への知識が乏しく学習意欲も乏しい30~40代の人びとからの支持を「総取り」している。誇張表現でなく本当の本当に「総取り」しているのである。 SNSで熱心にれいわ新選組を支持する人びとのことを、周囲の人はしばしば「れいわ脳」などと呼んで軽蔑しているようだ。だが実際には、そういう人びとの想いを嘲笑せず真摯に受けとめて応えるからこそ、れいわ新選組はますます党勢を強めている。かれらは「見棄てられた人びと」と向き合っているのである。