機人がダンジョンで冒険するのは間違っている


メニュー

お気に入り

しおり
作:語部
▼ページ最下部へ


1/1 

機人起動します。



 どうも作者の語部です。前々から作りたかったダンまちのSS、作者の都合で暇な時間がかなり出来たので作ってみました。

 主人公の見た目はタグのとうりプロトキラーをベースにしています。背中についているエンジンを撤去したり、配線を撤去したり、少々スマートにさせています。

 それと作者はダンまちエアプです(ここ重要)アニメとネット検索でしか情報を収集出来ないので、〇〇のここが違う!▲▲はこんな事言わない!□□と☆☆のカップリングは無理とか言われても。

 うるせぇ〜!知らねぇ〜!創作はエゴのぶつけ合いじゃい!で押し通します。

 それでもオッケェイ!と言う方だけこのままスクロールしていってください。



 

 

 

〜〜〜〜〜未開の基地〜〜〜〜〜

 

 

 未開の森、ここは人はおろかモンスターすら寄り付かない。そんな森に1人の科学者と一体のロボが住んでいた。ロボの名は[Z(ゼット)]主人を外敵から護るために作られた。

 

 「マスター」

 

 「なんだい」

 

 「タノシカッタデスカ」

 

 「もちろんだよ、Z」

 

 「マスター」

 

 「なんだい」

 

 そんなZでも時の流れと言う敵には逆らえなかった。

 

 「コワクハナイノデスカ」

 

 「ちっとも怖くないよ、Z」

 

 「マスター」

 

 「なんだい」

 

 「アチラデモオゲンキデ」

 

 「ありがとう、Z」

 

 「マスター」

 

 「………」

 

 「マスター」

 

 「………」

 

 「ヒトリニ…シナイデクダサイ」

 

 「………」

 

 Zは主の生命活動の停止を確認し動き出す。

 

 「サヨウナラ。イイユメヲ」

 

 主人の遺体を丁寧に処理し遺品を片していく、ベッドを片し、服を片し、本棚、机、その他色々な物を片していく、そして最後に一冊の本が残った。

 

 「マスターノニッキ」

 

 主人の部屋を掃除する時、これを見ることを固く禁じられていた。しかしそれと同時に、自分の死後には見ても良いとも言われていた。

 

 「ミテミマショウ」

 

 日記の内容はなんてことない日常のあれこれが書いてあった。読み進めていくうちに最後のページになる。そこには1人になってしまうZへの謝罪、そして……

 

 「タビヲ…シテホシイ」

 

 旅に出て様々な人と出会い、様々な事を経験し、思い出を沢山作り、人の様に生きて欲しい。そして、助けを求める者の手を取って欲しい。

 

 「アイカワラズオヒトヨシデス」

 

 お人好しの最後の願い。Zは動き出す、主人の願いを叶えるために。

 

 「ジュンビヲシマショウ」

 

 すぐに荷物を整え旅に出る準備をする。寝袋、食用品、医療品、路銀、様々な物を収納して行く。

 

 「コレダケハモッテイキマショウ」

 

 そして最後に主人の日記を自身の一番頑丈な場所に収納する。

 

 「ソレデハマスター、イッテキマス」

 

 

〜〜〜〜〜XXXX年後〜〜〜〜〜

 

 

 そしてロボは旅に出た。良き人と会い、良き獣と会い、良き魔物と会った。しかしそれと同時に、悪しき人に会い、悪しき獣に会い、悪しき魔物に会った。

 

 長い長い旅路の果て、旅は終焉を迎える。

 

 「そろそろこの星も寿命か」

 

 星が寿命を迎えようとしていた。……いや、星だけではなく宇宙その物が寿命を迎える。

 

 「俺の旅もここまでだな」

 

 旅の思い出を振り返り、世界の崩壊を静かに見守った。そして眩い閃光と共に宇宙は崩壊した。

 

 

 

〜〜〜〜〜???〜〜〜〜〜

 

 

 「何故……俺は生きている?」

 

 Zは死んでいなかった。長い旅路の道中で様々な物で自己改造をした、最新鋭の金属から最古の金属、その他ありとあらゆる物で改造していた。

 

 「まさか宇宙崩壊のエネルギーにも耐えるとはな」

 

 「さて俺以外何も無いし武術と魔術の研究でもするか」

 

 Zは自己研鑽に励んだ。魔法を覚え、特技を覚え、旅の中で会った達人たちの動きを覚えていく。

 

 「これは……新しく宇宙が出来たのか」

 

 瞬く間に銀河が生まれ、恒星が生まれ、衛星が、生まれていく。

 

 「それならまた旅をしよう」

 

 そこから果てしない時間が過ぎた。何度目かもわからない創世と終焉、それでもZは旅をやめない。主人の願いを叶えるために。

 

 

 

〜〜〜〜〜未開の惑星〜〜〜〜〜

 

 

 「次はこの星にしよう」

 

 新しい星に降り立ちまた旅をする。この星は神々とモンスターしかおらず、まだ文明と呼ばれる物は無かった。

 

 「それなら神様の所にでも行ってみるか」

 

 別次元にある神々の住まう場所。本来は立ち入る事の出来ない場所でもZには関係なかった。

 

 「ここが神の住む場所か」

 

 「なッ!貴様どうやって入ってきた!」

 

 「え?普通に入ってきたけど」

 

 「そんなわけあるか、神々の園を穢す大罪人め!神罰を与えてやる」

 

 「ちょ」

 

 1人、2人、3人、徐々に人数が増えていき、中には面白がって攻撃する神もでてきた。

 

 「いてて、あいつら話も聞かずに攻撃してきやがって」

 

 話も聞かず攻撃し続け、Zを追い出す事に成功したが……

 

 「まぁ最後に最上級魔法ばら撒いたし良いか」

 

 神々の被害は甚大だった。最上級魔法により神々の園は半壊。Zを追い回した神々は重傷を負い、深いトラウマが刻まれた。

 

 「う〜ん。やる事無いし昼寝でもするか」

 

 神々の園からは追放され、地上にはモンスターしかおらず交流すら怪しい。故に文明が出来上がるまで少々休憩をする。

 

 

 

〜〜〜〜〜千年後〜〜〜〜〜

 

 

 「………寝すぎたぁ!」

 

 昼寝を初めて幾星霜、村ができ、街ができ、国ができた、文明は発展し様々な文化が出来た。しかしZは寝すぎたため全てを見逃してしまった。

 

 「うぉぉ……どうすっかな〜」

 

 「今から情報収集するにも時間がかかるしな〜」

 

 「……お?」

 

 「お〜う。あんちゃんそんなとこでどうしたの」

 

 そこへ丁度良く馬車が来た。馬車の人と交渉をし近くの街まで乗せてもらった。その道中で一緒に乗っていた少年に街のことを教えてもらう。

 

 「ファミリアに迷宮(ダンジョン)ね〜知らない間に色々出来たな〜」

 

 「ここらへんの人でオラリオについて知らないのは珍しいですね」

 

 「いや〜千年近く寝ちゃってさ」

 

 「せ、千年?」

 

 少年と自己紹介をしながら他愛もない話をしていると。

 

 「あんちゃんたち、そろそろ着くぞ」

 

 「おぉ!あれがオラリオ!」

 

 高い壁に囲まれ、ひときわ目を引くとてつもなく高い塔。

 

 「あの塔がバベルか」

 

 「うし!あんちゃんたち降りてくれ」

 

 「あんがとな〜おっちゃん」

 

 「お〜う、あんちゃんたちも冒険者稼業頑張ってなぁ」

 

 馬車から降り辺りを見回す、獣人やエルフ様々な種族が入り混じる街。それが迷宮都市オラリオ。

 

 「ベルが言ってた通りだな」

 

 「そう言えばベルはこの後どうする?」

 

 「まずは所属するファミリアを探そうかと」

 

 「ファミリア探しか…」

 

 ファミリアは主神となる神がおり、その神の恩恵(ファルナ)を与えられた冒険者で構成される。

 

 「ここの神様話聞かないからなぁ」

 

 しかし神に良い印象が無いのであまり乗り気ではなかった。

 

 「それじゃZさん僕はここで!」

 

 「おう!ベルもファミリア探し頑張れよ」

 

 ベルと別れZも人混みに紛れていく。

 

 「まぁ、なんとかなるか」

 

 

 

〜〜〜〜〜数日後〜〜〜〜〜

 

 

 Zは数日間オラリオ内の主要な建物を調べていた。ギルドに迷宮(ダンジョン)そしてバベル、大まかな街の地図を作り外へくりだす。

 

 「このじゃが丸くんっての美味しいな」

 

 Zの趣味は食べ歩きだ。旅先で地図を作り美味しかった店をどんどん書き込んでいき、食べ歩きロードマップをよく作っていた。

 

 「次は何食べよっかな〜」

 

 「あ!Zさん!」

 

 「ん〜?おぉベルじゃん。入るファミリアは決まったのか?」

 

 「はい!無事に決まりました!」

 

 「良かったじゃないか!」

 

 「はい!それで…お願いがあるんですけど……」

 

 「どうした?」

 

 話を聞いてみると新規ファミリアで自分しか団員がいないとのこと。そこでZの事を思い出し一緒にファミリアに入らないかとの事だ。

 

 「構わんよ」

 

 「良いんですか!?」

 

 Zは二つ返事で了承する。入るファミリアには拘りが無いので正直何処でも良かった。

 

 「自分から誘っといて驚くなよ。別に入りたいファミリアは無いし、ベルは良い子だからな」

 

 「ッ///」

 

 「照れんなって」

 

 何処でも良かったのもあるが、ベルが良い子なのも大きかった。良い子を見るとお人好しの主人を思い出せるから。

 

 「そしたらファミリアの拠点に案内しますね」

 

 「頼むよ」

 

 少しばかり歩き、たどり着いた廃教会。その奥にある隠し部屋に案内された。

 

 「君か!ベル君が言ってた人は!」

 

 「あ〜ベル?この子がその…」

 

 中に入ると小さな少女がソファの上に立ち胸を張りながら話しかけてくる。

 

 「デッッッ」

 

 小さな体とは反対に並の女性より遥かに豊満な胸、それが胸を張ることでより一層強調される。

 

 「何か言ったかい?」

 

 「いえ何も」

 

 「Zさん、この人がヘスティア・ファミリアの主神ヘスティア様です」

 

 「ふふ〜ん」

 

 「まぁ……良いか。よろしくヘスティア、俺はZだ」

 

 「呼び捨て!?神に対してちょっと不敬じゃないかい!?」

 

 「良いじゃないか、良いじゃないか」

 

 「もう!というかZってあきらか偽名じゃないか!」

 

 「失礼な!偽名じゃ無いわ!」

 

 「そっそうなの?まぁそれなら良いや。取り敢えず入団おめでとう!」

 

 「ありがとうございます。神様!」

 

 「わーい」

 

 廃教会に団員は0、風格の無い主神。少々の不安を感じつつもZはそれを見ない振りをし、ファミリアに入れた事を喜んだ。

 

 「さて!それじゃあ早速、恩恵を付与してあげるから上脱いでくれる?」

 

 「……え」

 

 「おいベル、やっぱここやべぇよ。主神がスケベだぞ」

 

 「は?……いやいや!違う違う!

 

 ヘスティアは凄い勢いで首を振り否定してくる。

 

 「何も違わないって、普通にセクハラだって、少年の服剥いで悦に浸ろうとしてるって」

 

 「してないしてない!確かにベルくんの体は気になるけど!」

 

 「ほら見ろ!正体現したなスケベ神!いたいけなベルにナニをしようと言うんだ!」

 

 「いやいや!ナニとかなに言っちゃってるのかな!?そう言う君こそ、そう言う事考えてるんでしょ!?」

 

 そんなこんなヘスティアと戯れていると。

 

 「良いから早く恩恵付与してください!!」

 

 「うお!」

 

 「わ!」

 

 ベルから雷が降る。温厚な人ほど怒ると怖いのはどの世界でも変わらなかった。

 

 「じゃあヘスティア、後は頼んだ」

 

 「わっわかったよ!それじゃあベルくんこっちに来て」

 

 そして奥の部屋で上半身裸のベルはベッドにうつ伏せになりヘスティアから恩恵を貰う。

 

 「やっぱスケベじゃねぇか?」

 

 

 名前:ベル・クラネル     

 

 種族:人間 

 

 力  :I53

 耐久 :I3

 器用 :I82

 俊敏 :H109

 魔力 :I0

 

 スキル

 

 魔法

 

 

 

 「よし、これで正式にヘスティア・ファミリア所属になったよ」

 

 「ありがとうございます♪神様」

 

 「それじゃあ次はZくん。早速鎧脱いでくれる?」

 

 「あぁ!そういえばZさんの素顔見たこと無いですね」

 

 「鎧?」

 

 「「?」」

 

 そう、オラリオの住人は全員誤解がある。それはZの事をプレートアーマーを着込んだ人だと思っていたのだ。

 

 「悪い悪い。説明して無かったな」

 

 「なにをだい?」

 

 「おいしょ!」

 

 Zは頭に手を置き捻り取り外す。本来、人の頭がある筈の場所には何も無く、外した頭から声が発せられていた。

 

 「な!?」

 

 「わ!」

 

 「いやーすっかり言い忘れてたわ。俺は人間じゃないのよ」

 

 科学が発展していない場所だと、こうして毎回驚かれる。

 

 「Zさんって人間じゃなかったのか…」

 

 「じゃ…じゃあZくんの種族って……」

 

 「う〜ん。アイアンゴーレム?」

 

 「なんでZくんが疑問形なんだい…」

 

 最早Zは種族と言う枠組みに収まらない。故にZは自身の種族をこう呼称している。

 

 「俺は機械で動く人。そこから種族名を『機人』としている」

 

 「機人…ねぇ」

 

 「と言っても機械とか言われてもわからんでしょ?」

 

 「まぁそうだけど」

 

 「しかも自称だしね。そうするとアイアンゴーレムでとうした方が楽なんだよね」

 

 「そんで。俺と一緒に冒険は嫌か?」

 

 そして、そうした所ではZの様な者は異端とされ差別の対象となり、距離を置かれ蔑まれる。

 

 「いえ!ZさんはZさんです!僕たちヘスティア・ファミリアの仲間です!」

 

 「そうだよ!獣人やエルフもいるんだ。機人がいても問題ないさ!」

 

 差別する人達もいるが、受け入れてくれる人達もいる。その事実がZはたまらなく嬉しい。

 

 「……ありがとうベル、ヘスティア」

 

 「それじゃあ早速俺にも恩恵を付与してくれ」

 

 「ん〜と言っても何処にやれば良いのか……」

 

 「ここが良いとかあるのか?」

 

 「出来るだけ心臓に近い方が良いかな」

 

 「心臓か……ちょっと待ってろ」

 

 胸のハッチを開け中をまさぐり取り出した拳ほどの球体。その名を魔力炉心と言い、これならばZの心臓と呼ぶに相応しい。

 

 「これで大丈夫か?」

 

 「な…なんだいこれ」

 

 「これな魔力炉心つって俺の心臓みたいなもんだ」

 

 ヘスティアに渡した炉心は圧縮改良を繰り返し、最早人類では扱いきれないレベルになっている。その炉心が暴走した暁には……

 

 「雑に扱うとオラリオ丸ごと吹き飛ぶから気を付けてな」

 

 「え"!」

 

 「ちょっと!そんな危ないの僕に渡さないでよ!」

 

 嘘である。オラリオどころか星を丸ごと消滅する威力だ。そしてZはそのレベルの炉心を何十個も搭載している。

 

 「ひょ〜〜!!」

 

 「神様!そ〜っとですよ」

 

 「しー!話しかけないでベルくん」

 

 ヘスティアはへっぴり腰になりながらも炉心をベッドに置き血を垂らす、軽く光り無事にステータスが浮かび上がった。

 

 

 

 名前:Z

 

 種族:   

                

 

 力  :

 耐久 :

 器用 :

 俊敏 :

 魔力 :

 

 スキル

 

 魔法

 

 「なんなんだいこのステータス……名前以外全部なにも書かれてないじゃないか」

 

 「ヘスティア〜できたか〜?」

 

 「ちょっちょっと待って!よし、はいこれZくんのステータスと炉心ね」

 

 「ありがとな」

 

 「これでZくんも正式にヘスティア・ファミリアの仲間だ」

 

 

【ベルとヘスティアが仲間になった】

 

 

 「そしたらZさん早速ギルドに行って冒険者登録しましょう!」

 

 「ちょい待ち。その前に……」

 

 このファミリアは人手不足を解決する為、ハッチから一体のロボを取り出す。

 

 「Zさんそれなんです?」

 

 「というかどうやって入ってたんだい?」

 

 「ちょっと待ってろ。α〜!起きろ〜!」

 

 名は[α(アルファ)]四脚の脚に上半身は人型のロボ。Zが自身のパーツを使い生み出した機体だ。

 

 「なんだか。Zくんにちょっと似てるね」

 

 「そうですね神様。四本脚とか所々に違いはありますけど、なんとなく似てますね」

 

 「こいつは俺の体を使って作り出したんだ。まぁ俺の子供みたいなもんだ」

 

 赤い瞳(モノアイ)が光りαが動き出す。

 

 「お久しぶりですマスターご要件は」

 

 「ここら一帯の掃除を頼む。あとそこの小さい女の子の指示には従ってな」

 

 「了解しました」

 

 「え!この子掃除してくれるの!?」

 

 「あぁ、こいつは万能だからな。掃除、洗濯食、器洗いから不審者の撃退に密偵、暗殺もできる」

 

 α製作時のコンセプトは万能性(オールマイティー)だ。救助、整備、戦闘、様々な事が出来るように。ギミックを追加している。

 

 「待って待って、最後らへんおかしくなかった?」

 

 「それにこいつは自己増殖も出来るから人手にも困らないぞ」

 

 「「「掃除を開始します」」」

 

 「うわぁ!いつの間にか増えてる!」

 

 「じゃあ行こうぜベル」

 

 「ねぇ、待って?無視しないで?最後おかしかったよね?」

 

 「え!?神様が呼んで……」

 

 「良いから良いから。ほらいくどー」

 

 「ちょっと?ねぇ?待ってよぉ!」

 

 ヘスティア叫びも虚しくZたちはギルドに向かう。だがα達の作るご飯が美味しくヘスティアはすぐに上機嫌になった。

 

 

〜〜〜〜〜迷宮(ダンジョン)上層〜〜〜〜〜

 

 

 冒険者の研修を受け、初めての迷宮上層。中の洞窟は少し明るく、ゴブリンやコボルト等が生息している。

 

 「ベル〜?大丈夫かぁ?」

 

 「はい!大丈夫です」

 

 初めての迷宮探索だがベルはしっかり動けていた、回避などもしっかりできているが、攻撃に関しては初心者らしく大振りが多い。

 

 「まぁ慣れてけば良いか」

 

 「ふぅ〜、Zさんは大丈夫ですか?」

 

 「こっちは問題ないから自分の心配しな〜」

 

 「「「グルルル!」」」

 

 ベルの成長を見守っていると奥の方からコボルトが3体、走って来る。

 

 「〘ギラ〙」

 

 「「「グギャャャ!!」」」

 

 走って来た3体をギラでまとめて焼く。Zからするとこの階層のモンスターは少々物足りなかった。

 

 「ふん、雑魚か」

 

 「Zさん凄いですね。もう魔法が使えるなんて」

 

 「いやいやベルも初めてなのに頑張ってるよ」

 

 「ありがとうございます♪」

 

 「うし!そろそろ切り上げて帰るか」

 

 「わかりました!」

 

 討伐したモンスターたちの魔石をギルドで換金しベルと一緒に帰路へついた。

 

 

 

〜〜〜〜〜数日後〜〜〜〜〜

 

 

 初迷宮から数日、ヘスティアから相談があるとの事でベルには先に迷宮に行ってもらう。

 

 「あぁ〜?αをバイト先に紹介したいだ〜?」

 

 「そうなんだよ。頼むZくん、今人手が足りないんだ!αくん達、掃除や料理も完璧だから即戦力なんだよ」

 

 α達の手際の良さに目をつけ自分のバイト先に紹介したいとの事。

 

 「あいつ上半身は人型だけど四脚だぞ?客に不気味がられるだろ」

 

 「大丈夫!店長に話したら、『多少風変わりでも戦力になるなら誰でも良いよ』って言ってたし、オリオラの住人は案外受け入れるよ」

 

 ヘスティアのバイト先はZが思ってるよりも切羽詰まっていた。

 

 「お前は良いのか?」

 

 「問題ありません。すでに何体かお手伝いに行っています」

 

 「何体か……()()()()()()()()()()?」

 

 「あ!αくんそれは秘密だって……あ!やべ」

 

 そう、ヘスティアは既にαをバイト先に連れて行っていた。軽く掃除してもらうだけの筈が、料理や接客も出来たため、店長に掛け合ってくれと言われたらしい。

 

 「ヘ〜ス〜ティ〜ア〜」

 

 「あはは〜Zくんそんなに怒らないでよ〜。かっこいい顔が台無しだゾ♪」

 

 「     !!!!!」

 

 「わあ〜ん。そんなに怒らないで〜」

 

 結局ヘスティアえの説教で1日が過ぎた。帰ってきたベルの話を聞くと、ミノタウロスに襲われそこを助けてくれた[アイズ・ヴァレンシュタイン]に一目惚れしたとか。

 

 

 

〜〜〜〜〜ヘスティアバイト先前〜〜〜〜〜

 

 

 次の日、Zはヘスティアのバイト先の店長さんとαに関して話し合っていた。

 

 「え〜それじゃαさん達の保護者さんとの話し合いの結果、許可が出ました。αさん達これからよろしくお願いしますね」

 

 「やったー!αくん達がいれば千人力だ!」

 

 「「「了解!」」」

 

 「まぁいいか……」

 

 話し合いの末αのバイトが正式に決まった。そしてα達の顔見せ兼打ち上げパーティーを行うため、ヘスティア達とはそのまま別れZは廃教会に戻る。

 

 「あぁ〜今日の飯どうすっかなぁ〜」

 

 問題は打ち上げに殆どを出席させたため、今日の晩飯を作る個体がいない。

 

 「取り敢えずベルが来るまで待つか」

 

 「そんじゃあその間に」

 

 食べ歩きロードマップの続きを描こうと机に広げ、いざペンを取ったタイミングで……

 

 「ただいま戻りました〜」

 

 「……タイミング良いのか悪いのか」

 

 「あれ?神様〜?」

 

 「今日はヘスティアもαもいないぞ〜」

 

 「神様はともかくαさんもいないのは珍しいですね」

 

 「バイト先、決まったから顔見せ兼打ち上げに行かせたよ」

 

 「αさんバイト決まったんですね」

 

 「あぁ、店長まばたきもしないでこっち見ててな。あの目はやばい、何人か殺ってるね」

 

 Zすら恐怖させる社畜店長の虚ろな瞳。まさに深淵と言っても遜色は無かった。

 

 「それよりも今日の飯どうするよ?」

 

 「そっか!αさんいないからご飯無いんですね」

 

 「そーなんだよ。そんで折角ならどっか食いに行こうかなって」

 

 「あ!そしたら丁度いい場所がありますよ」

 

 「お!どこどこ?」

 

 

 

〜〜〜豊穣の女主人(ほうじょうのおんなしゅじん)〜〜〜

 

 

 【豊穣の女主人】オラリオ最強のロキファミリア御用達の酒場であり、Zイチオシのお気に入り店だ。

 

 「ここかぁ〜!ここの飯美味いんだよなぁ」

 

 「Zさん来たことあるんですか?」

 

 「あぁ何回かな」

 

 ここは冒険者をメイン顧客にしているためガッツリした料理が多い。かなりの量を食べるZにとってありがたい店だ。

 

 「あ!朝に会った冒険者さん!来てくださったんですね」

 

 「はい!朝言ってた仲間と一緒に来ちゃいました」

 

 「おっす!シルファ」

 

 「Zさん!お久しぶりですね」

 

 「おう、久しぶり」

 

 「取り敢えず席の方に案内しますね」

 

 店員のシルファに店の奥へ案内される。今日のオススメ料理を注文し、シルファと少しばかり雑談をする。

 

 「冒険者さんのお仲間さんってZさんの事だったんですね」

 

 「お知り合いなんですか?」

 

 「えぇ。何回か食べにいらしたんですけど、その度にすごい量食べてて、ミア母さんが気に入っちゃったんですよ」

 

 「いや〜ここの飯は美味いからついつい食べ過ぎちゃうよ」

 

 「確かにZさん冒険の帰り道とかで、良く食べてますよね」

 

 「オラリオは飯が美味くてついつい食べちゃうんだよな」

 

 Zがオラリオに来てからの移動時間では常に何かを食べていた。じゃが丸くん、串焼き、ポテトなど様々な物を食べている。

 

 「あ!それとシルファ。こいつも俺と同じ位いっぱい食うから大盛りで頼むな」

 

 「え"!?」

 

 「もちろん!ミア母さんにはすでに伝えてあります」

 

 「え"え"!?」

 

 「よっしゃベル!今日は食うぞぉ〜!」

 

 「ふふ♪今日のお給金は期待できそうですね」

 

 「はいお待ち!今日のおすすめ4倍盛りだよ!残すんじゃないよ!」

 

 出てきたのは、皿いっぱいのポテト!デカジョッキになみなみの酒!そして皿からこぼれ落ちちまいそうな肉!

 

 「うひょ〜〜!!」

 

 デカ盛りは味が二の次な事が多いが、この店に限ってそんなことはなく。

 

 「はぐッ!もぐ!」

 

 ポテトはザクザク!酒はキンキン!肉はジューシー!旅路の中でも、この店は上位に食い込んでた。

 

 「くはぁー!うめぇ!食ってっかベル!」

 

 「ごッ合計して一体なんヴァリスに……」

 

 「そ〜んなケチ臭い事考えんな!今日は奢りって言ったろ。食え食え!」

 

 「そう…ですね。そしたらご馳走になります!」

 

 冒険者は体が資本なのだが、ベルは少々小柄すぎた。もう少し身長と筋力があれば冒険がぐっと楽になる筈だと考えたZは、ベルに沢山食べさせる事にした。

 

 「シルファー!おかわり頼む!」

 

 「は〜い」

 

 「うぷ……Zさんまだ食べるんですか……」

 

 「まだまだ食うぞ〜!」

 

 そして夜が更け多少の酔いが回りながらも残った料理をつまみながら談笑する。

 

 「そうか〜じーさんの教えで迷宮に出会いを求めてるのか〜」

 

 「そうなんです!漢なら迷宮に出会いを求め、ハーレムを築きなさいって」

 

 「だはははは!お前のじーさんやべぇな!」

 

 死と隣り合わせの迷宮で出会いハーレムを築く。ありがちな話だが自分の孫に勧めるにはあまり好ましくは無い。

 

 「そう言うZはなんで旅をしているんですか?」

 

 「ん〜俺が旅をする理由か〜それはな……」

 

 「ご予約のロキ・ファミリア様ご来店ニャー!」

 

 「んお?」

 

 【ロキ・ファミリア】現オラリオ最強のファミリア、そしてベルの初恋相手のアイズ・ヴァレンシュタインが所属しているファミリアでもある。

 

 「ベル〜?ベ〜ル〜?」

 

 「〜〜////」

 

 「駄目だこりゃ」

 

 「Zさん!追加持ってきましたよ!」

 

 顔を真っ赤にし固まってしまったベルを他所に。追加で持ってきてもらった料理に手をつける。

 

 「うめっうめっ」

 

 「皆、迷宮遠征ご苦労さん。今夜は宴や!思う存分飲めぇ〜!」

 

 「よっしゃ〜!乾杯!!」

 

 そこからまた時間が経ち時計の針も深夜を指し、ロキ・ファミリアの面々も雑談を始めていた。聞き耳を立てていると白髪の獣人が大きな声で話し始めた。

 

 「よっしゃ、アイズそろそろあの話披露してやろうぜ」

 

 「あの話?」

 

 「あれだあれ!帰る途中で逃したミノタウロス!お前が5階層で始末しただろ!?」

 

 「……したね」

 

 「そん時によいたんだよ。いかにも駆け出しっていうようなひょろくせえガキが!」

 

 「ふ〜ん?そんで、その冒険者はどうしたん?助かったん?」

 

 「あぁ。アイズが間一髪ってところでミノを細切れにしてやったんだよ、なっ?」

 

 獣人がアイズに同意を求めが、怖い顔をするだけで返答はない。それでもお構い無しに獣人は話を続ける。

 

 「それでそいつ、くっせー牛の血を全身に浴びて、真っ赤なトマトになっちまんだよ!くくくっ、ひーっ!腹痛えぇ!」

 

 その話し声はどんどん大きくなっていき、ついには聞き耳をたてずとも聞こえてくる。

 

 「それでだぜ?そのトマト野郎、叫びながらどっか行っちまって。くくっ!うちのお姫様助けた相手に逃げられてやんのお!」

 

 「………」

 

 獣人が笑いながら仲間に話す。仲間達は失笑しているが、聞き耳を立てていた他の冒険者は笑うのを堪えていた。

 

 「ッッ!」

 

 ベルが悔しそうに下を向く。今、獣人が話題に出しているトマト野郎はベル自身の事でありその事はZも気づいていた。

 

 「ああいう奴がいるから俺達冒険者の品位が下がるっていうから勘弁して欲しいぜ」

 

 「はぁ、いい加減そのうるさい口を閉じろベート。ミノタウロスを逃がしたのは我々の不手際だ」

 

 「あ"ぁ"?自分の力量も理解できないゴミをゴミと言って何が悪い」

 

 「…………」

 

 「それじゃあよぉアイズ。あのトマト野郎と俺、選ぶとしたらどっちにするんだ?」

 

 「それならわたし……」

 

 「ッ!!!」

 

 ベルはその先の言葉を聞きたくない様に外へ駆け出す。しかしZはそれを止めずにベルの後ろ姿を見送っていく。 

 

 「!あの子」

 

 「α」

 

 「ここに」

 

 「ついてってやれ」

 

 「了解」

 

 微かに聞こえる声、そこには誰もおらず気配すら無い。冒険者や給仕はもちろんロキ・ファミリアの面々すらも気配に気づく事は無い。

 

 「何?食い逃げ?」

 

 「なんやぁ?ミアかあちゃんの店で食い逃げなんてだいそれたやっちゃなぁ〜」

 

 ベルと一緒に出て行ったαを一級冒険者は気づく事も出来ない。

 

 「はぁ…一級冒険者と言えどもこんなもんか」

 

 「そんで?アイズ、さっきの答えはなんて言うつもりだったんだ?」

 

 「……そんなこと言うベートさんとは嫌です」

 

 「ふ、無様だな」

 

 「あんだと!ババァ!」

 

 「()()()()()()()

 

 「あ"ぁ"?」

 

 殺気だった獣人が発言した本人の目の前まで歩いていく。

 

 「おい金属野郎、今何つった」

 

 「無様だと言ったんだ」

 

 「てめ……」

 

 「自分達のミスを棚上げして、被害者を笑い者にする。こういう奴がいるから、冒険者の品位が下がる」

 

 「おい、調子のんなよ?金属野郎!見たところ二つ名も無いレベル1の分際でよぉ!」

 

 「確かめてみるか?犬畜生」

 

 「てめぇ!!」

 

 「やめろ!ベート!」

 

 凶狼[ベート・ローガ]の蹴りは吸い込まれる様に頭部に向かい直撃する……

 

 「おいおい、こんな場所で喧嘩したら迷惑だろ」

 

 

 事はなかった。

 

 

 「なにッ!」

 

 「これだから躾のなってない獣は……」

 

 蹴りは空を切り、Zは既に入り口に移動している。その動きを酒場の誰一人とし認識出来なかった。

 

 「こっちで相手してやる」

 

 「まてや!!」

 

 「行くな!ベート!」

 

 団長の制止も無視しベート・ローガは1人で外に出る。

 

 「何じゃったんじゃ、あいつは」

 

 「アイズ、今の動き見切れたか?」

 

 「……全然」

 

 「アイズでも見切れないか」

 

 「!フィン、その指……」

 

 ロキ・ファミリア団長[フィン・ディムナ]彼にはちょっとした特技がある。それは危険が近づくと親指が反応すると言うもの。

 

 「あぁ彼を見た瞬間、死んだように動かなくなったんだ」

 

 「しかもただ動かないだけじゃない、本当に死んだように冷たくなってるんだ」

 

 フィンの親指はロウソクの様に白くなり、ピクリとも動こうとしない。どんな死線を潜り抜けた時でさえ、この様な状態にはならなかった。

 

 「「「ッッッ!!!!」」」

 

 「なんだ………このプレッシャーは…」

 

 「息が…上手く吸えん……」

 

 「はッ……はッ……」

 

 突如のしかかるプレッシャー。今まで出会ったどのモンスターよりも重い重圧。それほどのプレッシャーにロキ・ファミリアの面々は驚愕する。

 

 「ぐッ!」

 

 「ごぼぼッ!」

 

 「うッ!」

 

 ロキ・ファミリア以外の人達は耐えきれずに1人、また1人と気絶していく。その内にはロキ・ファミリア主神のロキもいた。

 

 「!!!ベートがやばい!すぐにに行こう!」

 

 

 

〜〜〜〜〜豊穣の女主人前〜〜〜〜〜

 

 

 「まてや!金属野郎!!」

 

 追いかけ、外に出てきたベートを赤い瞳(モノアイ)が見据える。

 

 「はぁ〜あ」

 

 Zは基本的に温厚である。余程な事が無い限り自分から仕掛ける事はない。

 

 「折角楽しく飲んでたのに……」

 

 しかし、明確な地雷が1つある。

 

 「折角楽しく食べてたのに……」

 

 それは……

 

 「全然楽しく無くなっちまった」

 

 仲間や家族を馬鹿にされた時だ。

 

 ()()()()()()

 

 「ッッッ!!!」

 

 瞬間、Zから溢れ出す全てを圧し潰すかの様なプレッシャー。店内からでも感じ取れるほどの重圧を、至近距離で浴びたベートは警戒度を最大まで高める。

 

 「ふッ!ふッ!ふッ!」

 

 「リラックスしろよ。少しだけ遊んでやる」

 

 「へッ!言ってろ」

 

 一度でも気を抜けばすぐに相手の餌食になる。直感的にそう感じたベートは目を離さず敵を見据える。しかし次の瞬間にはZは消え……

 

 「そうだな……お前の得意な足技で相手してやる」

 

 背後から声が聞こえてきた。

 

 「なッ!?」

 

 背後を一瞬で取られた動揺。咄嗟に繰り出した蹴り。その隙を見逃すはずもなく。

 

 「《足払い》」

 

 「ぐッ!」

 

 伏せて回避しそのままの体勢で軸足を刈り取り転倒させる。立ち上がると同時に飛び上がり体を捻りながら空高く舞い蹴りを放つ。

 

 「《ムーンサルト》!」

 

 「あぶねぇ!」

 

 「あの体勢から避けるか」

 

 避けられた蹴りは地面に当たり、鈍い音を立て広範囲を粉々に砕き陥没さる。

 

 「一発でなんて威力だ」

 

 「どうした獣?怖気づいたか?」

 

 「舐めんなよ!金属野郎!!」

 

 ベートも負け時と応戦する。前蹴り、飛び蹴り、ひざ蹴り、様々な技を、様々な角度で出していく。

 

 「ふん。こんなもんか」

 

 しかし、どの技もZの装甲を傷つける事は出来ない。

 

 「くそ!硬すぎんだろ」

 

 「………つまらん」

 

 「は?」

 

 一瞬で距離を詰められ、反応すら出来ずに放たれた連脚。その技は爆発し、破裂したかの様な跡を残すためこう呼ばた。

 

 「《爆裂脚》!」

 

 「ごがァァ!」

 

 先程までの攻防を嘲笑うかのような速さ。相手の言葉通り、今まではただの遊びだと言う事実。

 

 「はぁ…予想以上の弱さだ」

 

 「………」

 

 そして直感的にロキ・ファミリア全員で挑んだとしても勝てない相手だと実感させる。それらはベートを恐怖させるのに充分だった。

 

 「どうだ?一方的に蹂躙される気持ちは?」

 

 「はッ……はッ……」

 

 「……ベルも同じ気持ちだったろうな」

 

 「ベ……ル…」

 

 「お前が笑った新人冒険者さ」

 

 「あい…つ……か」

 

 「ミノタウロスと言う絶対に勝てない相手、話すら通じ無い相手、さぞ怖かったろう」

 

 「けどあいつは運が良かった。アイズ・ヴァレンシュタインに助けて貰え……」

 

 語り始めたZがピタリと止まる。その視線は豊穣の女主人の方を向いており。

 

 「ひッ!」

 

 ()()()()()()()()()()()。金属で表情など分からないはずなのに、ベートは不気味に笑っていると理解できてしまう。

 

 「だけど。アイズ・ヴァレンシュタインが勝てない相手だったら、どうなってたんだろうな」

 

 「自分達のミスで死にかけてるんだ。命をかけて助けるんだろうな」

 

 「そして勝てない相手と戦い、そして死ぬ」

 

 Zの視線の先にはベートを助けるために走ってくる仲間達の姿があった。

 

 「助けに来たとして、あいつらは俺に勝てるのかな?」

 

 そしてベートは笑みの理由を理解してしまう(してしまった)

 

 「それは………駄目だ…」

 

 浅はかなお前のせいで、助けに来た仲間達が蹂躙され死ぬ。そしてお前は、お前だけは生き残る。

 

 「また…俺だけ……」

 

 「決めるのはお前だ」

 

 そう言い残しベートの仲間達の方へ歩を進める。

 

 「少し待ってくれないか!」

 

 「その前に自己紹介からしようか。私はZ」

 

 「僕はロキ・ファミリア団長のフィン・ディムナだ」

 

 「ご丁寧にどうも。それで団長さん、ご要件は?」

 

 「貴方が何故怒っているのかはわからないが、仲間を許してやってはくれないか?」

 

 「それは難しい……この獣は私の仲間を侮辱し愚弄した。代償として手足の一本は頂かないと」

 

 「それはベートが言ってたミノタウロスの子かい?それは申し訳ないことをした」

 

 「謝罪は結構。()()()()()()()()()()

 

 「ッ!……そうだね。すまない」

 

 「さてと、そろそろ再開したいのだが?」

 

 「はいそうですか。って言うと思うかい?」

 

 「ーーーッ!」

 

 仲間たち全員が武器を構え、Zも構える。ベートにとって最悪の結末(仲間達の死)がすぐそこまで来ていた。

 

 「全員引っ込んでろ!これは俺の勝負だ!!」

 

 狼の咆哮(ベートの大声)が仲間全員の、そしてZの動きを止める。

 

 「なぬ…!?」

 

 困惑する者。

 

 「落ち着けベート」

 

 宥める者。

 

 「ベート貴様!状況を理解しているのか!」

 

 叱責する者。 

 

 三者三葉(仲間達は)、様々な反応をする。

 

 「そしたらお前はどうする?」

 

 ベートの方に向き返り問う。そこには恐怖に塗り潰されていた一匹の獣はおらず。

 

 「決闘しろ」

 

 「決闘?」

 

 「そうだ」

 

 瞳の奥に美しい輝きを、()()()()()()()()宿()()()()()()()()が立っていた。

 

 「駄目だベート!それじゃあ……」

 

 「黙ってろ団長」

 

 一対一での決闘、それは仲間に手を出すなの意思表示であり。自身の命をかけるという事。

 

 「そうか。ではその覚悟に敬意を示そう!」

 

 Zは邪魔が入らないように部外者を外に弾き結界を張る。

 

 「ーーーー!!!」

 

 「ーーー!!」

 

 「これでこの決闘には邪魔が入らない」

 

 弾かれた者たちは結界の外で武器を振り回し、魔法を行使し、結界を壊そうとしているがびくともしない。

 

 「さて、気高き戦士よ。名前を聞いていなかったな」

 

 「ベート。ベート・ローガ。ニつ名は凶浪(ヴァルナガンド)

 

 「ベートか。では我も名乗らせてもらう」

 

 「我が名はZ。遥か太古から存在する者(創世と終焉を見届けし者)

 

 「Zか。悪いな、ベルを侮辱して」

 

 「その行いを悔いているのなら我はかまわん」

 

 この闘い、この出会いによってベート・ローガの冒険者人生は大きく変わる。

 

 「ありがとな。それじゃあ、お前を倒してベルに謝りに行くか」

 

 「くはは!言いよるわ。我も気高き戦士ベートに応えるため、全力を出そう!」

 

 「はッ!そりゃありがてぇ!」

 

 集中力が高まっていく。両者の風景は気迫で歪み、まるで陽炎のようになる。

 

 「行くぞZォ!」

 

 「来い!ベートォ!!」

 

 先手はベート。0〜100への瞬間的な超加速で景色を置き去りにし、Zの胸に飛び蹴りをする。

 

 「効かんなぁ!」

 

 「くッ!」

 

 速度を十全に乗せた飛び蹴りは同レベル帯なら一撃で蹴りが付くほどの威力、しかしZの装甲にはカスリ傷すらつかない。

 

 「まだまだァ!」

 

 飛び蹴りの状態から身体を捻り頭部への蹴りを喰らわせる。しかし依然、Zの装甲は貫通できない。

 

 「くそ。傷すらつかねぇか」

 

 「次はこちらだ!《爆裂脚》!」

 

 「そいつはもう見た!」

 

 先程までは回避どころか動きにすらついて来れなかった技、今のベートはそれを跳躍し軽々避ける。

 

 「本命はこっちだ!《闘気弾》!」

 

 「ぐァ!」

 

 練った闘気を集中させ放たれた気弾、それは跳躍したベートに的確に命中し地面に倒れ込ませる。

 

 「まだまだ行くぞ!《獣王会心撃》!

 

 「ぐァァァ!!!」

 

 その隙に片腕に集中させた闘気で竜巻を発生させ、前方の全てをズタズタに吹き飛ばす。

 

 「くそ!やっぱり強ぇ」

 

 「降参か?」

 

 「馬鹿抜かせ。ここからが本番だ」

 

 「む?」

 

 「ふぅー………」

 

 深く集中していく。自身の細胞一つ一つを意識し、その全てを次の攻撃に乗せる。

 

 「行くぞZ。()()()()()()()()()

 

 「来い」

 

 そしてベートは加速していく。自身の限界以上の加速により、皮膚が裂け、筋肉が悲鳴を上げ、骨にヒビが入る、それでも加速が止まることはない。

 

 「まだ…まだ…」

 

 同じレベルの冒険者でも、それどころか上のレベルの者でさえ、今のベートを捉えることは出来ない。それほどの速度でも満足せず更に加速していく。

 

 「シャア!!」

 

 そしてその速度を殺さずZに蹴りを……

 

 「なに!?」

 

 

 繰り出さなかった。

 

 

 そのままの速度でZの背後にある結界を踏み台にする、とてつもなく強固な結界は、歪み、伸び、ヒビが入るが元に戻ろうとする。

 

 「喰らえぇぇぇ!!」

 

 次の一手を考えない捨て身の加速、その速度に強固な結界が元に戻る力も合わさった顔へのドロップキック。

 

 「ぐがッ!」

 

 それは確かにZの顔を弾き、よろめかせ、()()()()を入れる事に成功した。

 

 「へ……へへ。やっと傷をつけてやったぜ」

 

 「我に傷を?……ふふっふははははは!!!

 

 「素晴らしい!素晴らしいぞ!ベート・ローガ!」

 

 「へへ…ありがとよ」

 

 しかしZへヒビを入れるために払った代償は大きく。ベートの足の本来の機能(足の感覚)はもう無かった。

 

 「限界か?」

 

 「あぁ…残念ながら」

 

 「そうか。最後はどうする?」

 

 「そうだなぁ」

 

 ベートは少し思案をし1つの答えを出す。

 

 「魔法は使えるか?」

 

 「使える。ほかにリクエストは?」

 

 「そしたら火の魔法が見たい。俺が使える唯一の魔法なんだ」

 

 ベート・ローガが使える唯一の魔法〘()()()

 

 ベートはその魔法の詠唱が自身の過去と、弱さを知らしめる文章であるため、好きではなかった。だが今のベートはその過去を、その弱さを受け入れていた。

 

 「もし俺がちゃんと自分の弱さに向き合っていれば」

 

 「もしかしたら俺も、この魔法も、変われたかもしれねぇ」

 

 自身が逃げていた事に向き合い成長したら、この魔法もまた成長したかもしれない。その事を考え火の魔法を選んだ。

 

 「そうか……それならば我が友が愛用した最高の魔法を手向けとしよう」

 

 「ありがとう」

 

 Zの手のひらに小さい火の粉が生まれる。

 

 「この魔法は本来なら特大の火球を生み出す魔法」

 

 小さな火の粉は次第に大きくなり炎になる。

 

 「しかし我が友は強すぎる魔力が故に魔法そのものが変質した」

 

 その炎は更に燃え上がり業炎になる。

 

 「この魔法は()()()()()()()()()が使っていた魔法」

 

 そして業炎は不死鳥(フェニックス)へと昇華する。

 

 「その名を……」

 

     

カイザーフェニックス

 

 

 不死鳥の帝王(カイザーフェニックス)。その美しさはどんな装飾品よりも価値があり、火系魔法の到達点の1つ。

 

 「すげぇ。こんな綺麗な魔法、初めて見た」

 

 「それはよかった」

 

 「ありがとな。俺の為に見せてくれて」

 

 「お前は俺に価値(覚悟)を魅せてくれてくれた。ならばその対価を俺も支払うべきだ」

 

 「さらばだ、ベート」

 

 「じゃあなZ」

 

 ベートへ放たれるカイザーフェニックス。誇り高き戦士へと羽ばたく不死鳥を邪魔する者はいない……

 

 「なに!?」

 

 

        

筈だった。

 

 

 

 「がぁ!!!!」

 

 「ガレス!!踏ん張れ!!!」

 

 不死鳥の羽ばたきを止めにオラリオ屈指の戦士たちが間に入る。

 

 「お前ら……なんで」

 

 「仲間だから!!」

 

 「そうじゃ!」

 

 「ッ!!」

 

 「仲間を助けるのに理由なぞ必要無かろう!」

 

 「そうよ!勝手に死のうとしないでよ!」

 

 オラリオ屈指の魔法使いたちは魔法を使い不死鳥を弱めようと。 

 

 「止まれぇぇぇぇ!!!」

 

 「くぅぅぅ!!!!」

 

 大事な仲間を助けるために、自身の命を賭して各々が出来る最善を行う。

 

 「お前ら」

 

 「………そうか。先程の歪み(ヒビ)か」

 

 その間にZは思案していた、何故ベートの仲間が入ってこれたのか。その原因は渾身の蹴りを放つために歪ませた(ヒビが入った)結界。

 

 「そこを壊して入ったのか」

 

 その小さな歪み(ヒビ)を見逃さず武器で、魔法で、歪み(ヒビ)を広げ入ってきた。

 

 「くは!いい仲間を持ったな。ベート・ローガ」

 

 Zが手を振ると不死鳥はまるで最初からいなかったかのように消え、その熱気だけが残された。冒険者達は自身の傷に見向きもせず誇り高き白狼(ベート・ローガ)に集まる。

 

 「お前は行かなくて良いのか?団長さん」

 

 「あぁ、僕は君を説得しなければいけないからね」

 

 「安心しろ。もうベート・ローガに追撃はせん」

 

 「それは本当かい?Zくん」

 

 「あぁ、ベート・ローガは価値(覚悟)を示し、心からの謝罪もし、決闘も無効になった。ならばこれ以上ベート・ローガに手を出す理由は無い」

 

 「そうかい。それならよかった」

 

 「フィン!!大変だ!ベートが」

 

 しかし安心したのも束の間、今度はベートの方に問題があった。

 

 「どうしたんだい!?」

 

 「傷が深すぎて治療しても治らない!このままではベートが死んでしまう!」

 

 「落ち着けリヴェリア!すぐにディアンケヒト・ファミリアのアミッド・テアサナーレ(戦場の聖女)を呼ぶんだ!その間は回復魔法とポーションで延命する!」

 

 「失礼するよ」

 

 「きゃ!」

 

 大慌てのロキ・ファミリアの面々に割って入り、Zはベートに近づいていくがフィン以外の全員が武器を構える。

 

 「貴様まだベートに何かするつもりか!」

 

 オラリオ最強の魔術師が。

 

 「これ以上ベートに手を出してみろ。後悔する事になるぞ」

 

 オラリオ屈指の豪傑が。

 

 「「速くベートから離れなさい!この鉄屑!」」

 

 アマゾネスの双子が。

 

 「そうです!これ以上近づいたら容赦なく撃ちますよ!」

 

 最強の魔術師の弟子が。

 

 それぞれZ(ベートの敵)に武器を向ける

 

 「Zくん!?ベートには手を出さないって」

 

 「落ち着け。ただ治療をするだけだ」

 

 「治療!?君治療も出来るのかい」

 

 「あぁ、少し待ってろ〘ベホマ〙」

 

 ベートが体が緑色の輝いきに包まれ、裂けた皮膚も、折れた骨も、神経の一本一本までもが綺麗に治っていき顔色も良くなっていく。

 

 「嘘じゃろ……」

 

 「本当に回復魔法なの…?」

 

 「こんなにも一瞬で」

 

 「これで大丈夫だ。ただ消費した体力は戻らないから、このまま寝かしておいてやれ」

 

 元通りに戻ったベートは静かに寝息を立て、その様子を見た仲間達は安心し座り込んでいく。

 

 「それじゃあ俺は帰るよ。そろそろ夜が明ける」

 

 「待ってくれ!君は一体何者なんだ」

 

 「……お前らの神様に聞いてみな」

 

 「ロ、ロキにかい!?」

 

 「それとこれ」

 

 胸のハッチからヴァリスの入った大袋を2〜30個をフィンに渡しす。

 

 「これは?」

 

 「お前らの迷惑料とミアさんとこの迷惑料、みんな気絶してるから渡しといてくれ」

 

 「わかった。ちゃんと渡しておくよ」

 

 「ありがとな。それじゃあ」

 

 そしてZは帰路につく、朝日が顔を出し周りを徐々に照らしていく。

 

 「α?」

 

 「ここに」

 

 「ベルは?」

 

 「まだダンジョンに潜っています」

 

 「そうか…」

 

 「いかがいたしましょう」

 

 「()()()()()()()()()()

 

 「よろしいので?」

 

 「今あいつに必要なのは俺じゃないさ」

 

 そう、今のベルに必要なのはZ(強者)では無く。ヘスティアの(覚悟を聞き届ける)存在だ。

 

 「それと本格的に()()()()()()()()()

 

 「となると?」

 

 「隠密個体(ステルス機)の製造を許可。各ファミリアに最低一基、迷宮内部にも散開させろ」

 

 「承りました」

 

 「ふぁ〜あ。それじゃあ俺は適当に宿で寝るかな」

 

 「お帰りにならないのですか?」

 

 「俺がいたら話しづらいだろうさ」

 

 Zは知っている、人は2人で話したい時もある事を。そして強者から弱者への言葉は時に相手を傷つける事を。

 

 「さてとこんな時間に宿は空いてるかな」

 

 翌日のオラリオではベート・ローガを半殺しにした冒険者の話題で持ちきりだった。その話題に神々は面白がり冒険者は恐怖した。

 

 「え?ここも空いてないの?」

 

 しかし当の本人は宿が空いてなかったので、路上で寝る羽目になっていた。

 

 「でぇ〜きしぃ!う〜さぶさぶ」

 

 

 

 

 





 難産すぎる!書いて消してを繰り返し過ぎて最早なにが正解か分かんねぇなこれ。

 ベル坊の初期ステとか検索かけても出てこねぇし!まぁ俺の作品見られるかも分かんねぇんだ。ちょっと雑でもバレへんバレへん。

 それとこれは新人作家がひーこら描いているので生温い目で見届けてください。

 それじゃあ(⁠・⁠∀⁠・⁠)ノシ

1/1 



メニュー

お気に入り

しおり

▲ページ最上部へ
Xで読了報告
この作品に感想を書く
この作品を評価する




甘えんぼな猫又幼馴染にたっぷり癒されるASMR【耳かき/マッサージ】CV大久保瑠美 [&MORE]
  萌え 癒し バイノーラル/ダミヘ ラブラブ/あまあま 獣耳