【第11回】「処分性しか語らない」中小機構の答弁書──なぜ“事実”から逃げるのか?
2025年3月31日、申し立てから2カ月も経ってようやく中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)から本件訴訟に対する答弁書が提出されました。
ところが——その中身は、私たちがこれまで積み重ねてきた事実や証拠に、一切触れていないものでした。
■ 処分性がない?それだけ?
答弁書の主張は、ただ一つ。
「本件取消処分には処分性がないため、行政訴訟の対象にならない」
つまり、中小機構側は、訴訟の本題である「取消処分の違法性」や「手続きの不備」「事実誤認・虚偽調査」など、本質的な問題を全て棚上げし、“入り口”だけで争おうとしているのです。
■ 事実についての反論はゼロ──ということは認めた?
今回の取消処分に至るまで、当社では次のような経緯がありました。
実地検査後、当社の顧問弁護士が事務局に対し「提出すべき追加資料はあるか」と確認
事務局からは「特に資料の提出は必要ない=(是正の必要もない)」との返答
にもかかわらず、数日後に突然の「取消予告通知」
この矛盾した手続きこそが、本訴訟の大きな争点です。
しかし中小機構は、答弁書でこの点について一切説明をしていません。
■ 判例の引用もかみ合っていない
中小機構が処分性否定の根拠として引用した判例は以下の2つ:
大阪地裁 平成29年1月26日
東京地裁 平成18年9月12日
これらは、いずれも「補助金等適正化法」を準用していない制度下での事案です。
本件は、中小機構法第16条に基づき、補助金等適正化法が全面的に適用されている制度であり、そもそも土台が異なります。
このような判例を持ち出すこと自体、答弁書の根拠としては非常に乏しいものと言わざるを得ません。
■ 予備的請求(債務不存在)にも無反応
私たちは、仮に裁判所が処分性を認めなかった場合に備え、予備的に債務不存在確認請求(民事)も併せて行っています。
処分性がないと主張するなら、通常であればこの予備的請求に対する反論も必要となるはず。
それにも関わらず、この点についても沈黙。
答弁書としての誠実性すら疑われる対応です。
■ 裁判所が「行政事件」に切り替えた事実を無視?
今回の訴訟は、当初は民事訴訟としてスタートしました。
しかし裁判所は、内容を精査したうえで**「これは行政訴訟であるべきだ」として事件番号を振り替えました。**
つまり、裁判所は「処分性のある行為である可能性が高い」と判断しているということです。
にもかかわらず、中小機構はその裁判所の判断を完全に無視。
丁寧とはまるで言えない数ページの答弁書を2カ月もかけて出してきた。
まるで、裁判所の判断に楯突くような一方的な主張しかしていません。
■ つまり、「処分性しか突破口がない」ということでは?
2か月もかけて作られたはずの答弁書。
それがたった数ページ、しかも「処分性がない」という主張だけというのは、どう見ても不自然です。
実は本件取消処分について、
実地検査の調査方法 取消理由とされた事実関係証拠となった“従業員証言”の虚偽性 など、
すでに反論しきれない問題があるため、「処分性の一点突破しか手がない」状態なのでは?
という疑念すら拭えません。
■ 私たちは逃げません
私たちはこれまでも、正当な手続きと公正な調査を求めてきました。
情報開示請求で得た文書からも、処分の意思決定に至るまでに、パソナなどの民間事業者が深く関与していた実態が明らかになっています。
にもかかわらず、中小機構はその事実から目を背け、「処分性がない」とだけ言い張る。
このような態度が、果たして“公的機関”としての姿勢と言えるのでしょうか?
私たちはこれまでも、交付審査のありかたから中小企業庁、中小機構に改善を訴えてきました。
このような訴訟リスクが彼らにも高まるのだから、しっかりと管理監督した方がよいという旨もずっと説明してきたはずですが、彼らの回答は
「庁は制度の枠組みを作っただけで機構に言え」
「機構はパソナにすべて委託しているので関係がない」
と、このような提言が一切受け入れられなかったことは残念でなりません。


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