【第10回】「自治体出向者が主導した実地検査の違法性 〜補助金取消しにおける手続きの重大な瑕疵〜」
突然の“実地検査”により、当社は事業再構築補助金の交付取消し処分を受けました。
問題はその検査の中身と、検査を主導していた人物の「正体」にあります。
同行していたのは中小機構職員だけでなく、中小企業庁の係長職にある人物でした。
ところが、あとから判明したのは、その係長が中小企業庁の正規職員ではなく、某市役所からの出向者であったという事実です。
しかもその出向者が、
・録音を拒否
・身分証の提示を拒否
・「録音すれば不交付とする」と発言
・検査記録を操作的にまとめるよう指示
といった行為を行っており、これを基にした処分が、現在の裁判の発端となっています。
出向制度の趣旨と限界
出向は、国と地方自治体の知見を交換する人材交流制度です。
地方職員が中央省庁に出向し、産業政策を学び、地元の行政に還元する…本来は非常に意義のある制度です。
ただし、出向者は「派遣先の職員として意思決定を担う」ことはできません。
以下のように、補助的業務に限られる法的制約があります。
法的根拠は以下の通りです:
地方公務員法 第38条(派遣)
国家公務員法 第55条(出向)
総務省「人事交流推進ガイドライン」等
なぜ出向者が取消処分に関与していたのか?
実地検査では、この出向者が明らかに現場を主導していました。
検査後、中小機構から通知された処分理由は「御社従業員の証言により工事が行われていないと判明」との内容。
しかし、ここで問題なのは、
その従業員は検査当日に不在であり、工事期間中にはまだ入社していなかった人物なのです。
つまり、事実無根の証言を根拠に処分が行われたということであり、これ自体が違法である疑いが濃厚です。
さらに、そうした調査と報告を、意思決定権を持たない出向者が主導していたということは、手続きそのものの正当性を根底から揺るがします。
出向者関与のリスクとは?
出向者による検査・処分関与には、次のようなリスクがあります。
これらの行為は、行政手続法・行政事件訴訟法・補助金適正化法等の観点から見ても、重大な瑕疵を含んでいます。
「責任の所在」があいまいな構造
今回の件では、
「正規職員は実地検査に来ておらず、出向者が中心となって行動」していたこと自体が異常です。
処分に至った意思決定経路も、開示された内部文書を見ても極めて曖昧で、
「誰が、何を根拠に判断したのか」がブラックボックス化しています。
これは、本来責任を負うべき機関が責任を回避し、出向者という“グレーな存在”を前面に立てた可能性すら疑われます。
今後の焦点:処分手続の正当性
私たちが現在争っている裁判でも、
「この処分が正当な権限に基づいて行われたものなのか」
という点が大きな争点になっています。
もし、出向者が主導した実地検査に違法性があったと認められれば、
処分そのものが無効とされる可能性は高くなります。
そして何より、制度の信頼性を回復するためにも、
中小企業庁・中小機構はこの問題に真摯に向き合うべきだと強く感じています。


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