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中居正広はあなただったかもしれない

今日、トップアイドルの中居正広さんの性暴力が「認定」されたというニュースを目にして、どうしようもなく哀しくなった。

かつてアイドルとして一世を風靡し、テレビの中心にいて、多くの人から愛され、地位もお金もすべて持っているように見えた人。その「人生の成功者」と言われるような人が、自分よりも立場の弱い女性を、暴力で支配していたという事実。

ああ、なんてことだろう。中年になって、持てるものをすべて持っているはずなのに、最後に情熱を注いでいたのが「性による支配」だったとしたら…あまりにも虚しすぎる。セックス、それも支配のためのセックスしか楽しみがない中年時代って、それってどうなんだろう。

そして、これは中居さんだけの話じゃない。松本人志さんの件もある。長年テレビで笑いやカリスマ性で多くの人を惹きつけてきたヒーローが、裏では女性に対して加害的な行為をしていたという報道が出ている。

僕はテレビの前で彼らを見て育った世代だ。だからこそ、余計に胸が痛かった。なんでこんなふうになってしまったのか。なぜ彼らは、もっと別の楽しみ方を見つけられなかったのか。

【対局としての「楽しそうなオジ」】

そんなときに、ふと頭に浮かんだのが、同じ芸能界にいる、所ジョージさんのことだった。

好きなことに夢中になって、趣味をいくつも持って、少年のようにすごく楽しそうな人生を送っている。もう70歳だと言うのに、若々しい。誰かを支配しようなんてこれっぽっちも感じさせない。ただ、「自分の人生を心から楽しんでる」っていう姿勢。

同じ中高年でも、こんなにも違うのか。

じゃあ、この違いはどこからくるんだろう?

【勝利のゲーム】

そう考えているうちに、僕は一つの仮説にたどり着いた。

それは、人生には「勝利のゲーム」と「愛のゲーム」、二つのゲームがあるんじゃないかということだ。

若い頃、僕たちは勝利のゲームを一生懸命プレイしてきた。いや、させられてきた。

いい大学に入れ、いい会社に就職しろ、成果を出せ、競争に勝て…。誰かより上に行くこと。そうすれば綺麗な女性に好かれる。承認され、評価される。勝利のゲームにおいては、他者とは勝利する対象であり、圧倒し、コントロールしていくべきものである。

特に男性は、小さな頃から、それを刷り込まれている。少年漫画では、「努力、友情、勝利」が謳われていた。懸命に修行して、男の友達とともに戦い、そして世界を壊そうとする悪いやつに勝つのだ。勝利が最終ゴールだ。可愛い女子からの好意は、勝利とともに付随的に得られる。

逆に、弱いやつ、稼げないやつ、モテないやつは最悪の負け犬だ。負け犬扱いされるのは怖い。だから、自分は少しでも勝っている、ということを示さなきゃいけない。弱みなんて見せちゃダメだ。ナメられる。泣き言なんて言わない。だから男同士、友人同士飲む時も、困っていることは笑えるネタとしてしか話せない。基本は自分で解決しろよ。男なんだからさ。

そう、僕たちは勝利のゲームをプレイする。できるだけ大きなストーリーが良い。世界を救ったり、日本中に知られたり。そしてようやく成功する。勝者になる。お金持ちになる。誰かに評価される。尊敬される。やったぜ。

しかし、ここから罠が待っている。勝利のゲームは、「勝ち続けないといけない」のだ。自分の人気に翳りが見えても、尊敬してくれる人が減っても、勝ってないといけない。だから、それまでに築き上げた権力やパワーで、自分のスゴさを証明し続けようとする。自分はトップだ。自分はモテてるんだって。ほら、いつでも女とヤレるぜ。どうだ、すごいだろう。俺は勝者だ。勝者であり続けてるんだよ。

中居さんや松本さんがハマった落とし穴は、こういうことじゃないのか。

だとしたら、それって勝利のゲームをプレイする男性全員が落ちるかもしれない穴だ。

僕らは中居さんや松本さんを遠いところからジャッジしているけど、もしかして…僕たちの中にも小さな「中居」や「松本」がいるんじゃないか?

【愛のゲーム】

一方で、人生にはもう一つのゲームがある。「愛のゲーム」だ。
愛のゲームはこんなゲームだ。

楽しいことをする。好きなことをする。好きな人と一緒にいる。小さな物事から楽しみを見出す。感動する。幸せを感じる。エモい思い出をつくる。取るに足りないことでも笑う。何かを愛する。愛でる。応援する。優しくする。ケアする。一緒に喜ぶ。

そこに勝ち負けはない。そこには勝負はなく、代わりに「楽しい」か「楽しくないか」がある。大きなストーリーもなくて良い。世界を救ったりForbesに載らなくて良い。自分が楽しければOK。

例えばさっきの所ジョージさんは、この「愛のゲーム」の名プレイヤーなんじゃないかって、思う。好きなことに囲まれて、好きなことを愛し、楽しそうにしている。所ジョージさんだけじゃない、僕の友人たちにも、何人かそういう人がいる。いつあっても楽しそう。釣りに出て魚捌いて友達に食べさせて幸せそうにしてたり。他人から見ると楽しさがわからなかったりする時もあるけど、そんなこと意に介さない。だって自分が楽しければOKなゲームだから。

【人生には2つのゲームがあることを、誰も教えてくれない】

大事なことを言う。

実は。
本当は、僕たちは「勝利のゲーム」が終わったら、次に「愛のゲーム」を始めないといけないのではないか。ドラクエをクリアしたら、次にマザーやろうぜ、みたいに。違うゲームで遊ぼうよ、って。

でも、誰もそのルールを教えてくれなかった。僕たちの親も、先生も、上司も、少年漫画も。

だから、僕たちは勝ち続けなきゃいけないって思い込んでた。勝ち続けるのが男の人生だって。でも、本当は違ったんだ。人生には、次のステージがあったんだよ。

勝利のゲームを終えたら、愛のゲームに進む。
それに気づけるかどうか。それが僕たち「オジ」の岐路なんじゃないかと思う。

【あなたは次のゲームに進めるか】

最後に繰り返そう。

僕たちが中居さんや松本さんのようにならないようになるためには、彼らを僕たちと別世界のダメ人間と断罪するのではなく、僕たちと彼らの違いはそんなに無いんだって認めることから始めないといけない。

そして、あなたも僕も。
ある程度仕事で頑張ったら、次のゲームに進もう。
誰かに勝ってなくても、「俺の人生は楽しいし、俺は自分も自分の人生も大好きだ」って思えるとポイントが貯まっていく、次のゲームに。

ねえ、あなたはどう思う?

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中居正広はあなただったかもしれない|駒崎弘樹
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