【第3回】実地検査という名の“査問”──透明性なき運用の闇
2025年1月、私たち「株式会社はじまりビジネスパートナーズ」は、中小企業基盤整備機構(中小機構)による補助金交付取消処分の違法性を問う訴訟を提起しました。
第2回では、処分の法的問題点、処分理由の不合理さを明らかにしましたが、今回はその根拠とされた「実地検査」の実態と、検査体制そのものの構造的な問題に焦点を当てます。
■ 「検査」とは名ばかりの、実態なき“糾弾”だった
私たちが受けた「実地検査」は、本来あるべき「中立的な確認作業」とは程遠いものでした。
検査員の一部が名刺交換や身分証の提示を拒否
録音しようとすると『それなら検査を中止する』『取消理由になる』と威圧
来訪者の名前と、帳簿に記載された名前が一致していない
職員証の提示がなかった者も含まれていた
検査に同行したとされる中小企業庁職員と中小機構職員の人数・氏名が、後の説明と矛盾
さらに後日、取消通知の中にこう記載されていました。
「従業員へのヒアリングの結果、当該工事は実施されていなかったことが確認された」
しかし、社内で確認を取ったところ、その「従業員」にはそもそも当日質問がなされておらず、またその人物は工事当時にはまだ入社すらしていなかったのです。
どうして「知るはずのないこと」に基づく証言が、取消処分の証拠になるのでしょうか?
これは極めて不正確で、行政手続きの根幹を揺るがす重大な問題です。
■ 誰が「行政処分」を下したのか?
中小機構の実地検査には、業務委託された民間事業者(パソナ等)も関与しており、実際の現場対応を任せられています。しかし問題は、その委託職員が「公的権限」を行使するかのように振る舞っている点にあります。
行政職員と同じ立場で質問を繰り返す
「判断により取消しになる」と明言
その判断に関する記録・議事録は一切開示されない
つまり、民間委託された職員が、実質的な処分判断の土台を作っているのです。
本来、こうした“行政の私物化”を防ぐためには、
調査記録の作成・保存
委託職員の権限範囲の明示
第三者によるモニタリング
などの措置が必要です。
しかし、現状ではそのどれもが機能していません。
■ 補助金適正化法の「実地検査権限」を逸脱している
補助金等適正化法第23条は、検査員に対して「帳簿の提出や状況確認の権限」を認めていますが、それは合理的な範囲内での調査に限られるというのが通説的理解です。
しかし今回の中小機構の対応は、
虚偽の証言に基づいた断定的判断
適切な是正手続きを経ない突然の取消
録音・記録を嫌う対応
など、検査権限を「処分権限」とすり替えるような運用に堕していました。
こうした手続きの瑕疵は、後に訴訟で追及されるべき問題であり、場合によっては**「違法な処分」として処分取消の判決を導く要因**にもなり得ます。
■ 社内への影響──閉店という「間接的被害」
このような異常な検査対応がもたらしたのは、単なる金銭的損害だけではありませんでした。
検査後、従業員からは以下のような声があがりました。
「あれって本当に公務員だったんですか?」
「会社が悪いことしてると思われてるんじゃ…」
「次は私が責められるのかも」
会社内部に不安と不信が広がり、退職や配置転換が続いた結果、新宿店は人員確保が困難となり閉店せざるを得なくなりました。
このような「間接損害」は、被害額としての金額換算が難しくても、業務継続や企業信用に対する深刻な影響を及ぼします。
■ 制度の“穴”を放置したままでよいのか?
私たちは、制度そのものを否定するつもりはありません。むしろ補助金は、社会課題解決や中小企業の挑戦を後押しする重要な仕組みです。
だからこそ、
「誰が判断しているのか」
「根拠はどこにあるのか」
「なぜ説明責任を果たさないのか」
という問いを、私たちは投げかけ続けます。
これは一社の問題ではなく、補助金制度の正統性を守るための闘いなのです。
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