【第2回】補助金取消しの裏に潜む法的問題──中小機構の「裁量」は無制限か?
2025年1月、私たち「株式会社はじまりビジネスパートナーズ」は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」)による補助金取消処分の違法性を問う訴訟を提起しました。
第1回では、私たちの立場と経緯を紹介しました。今回は、その取消処分がどのように「法的に問題がある」ものだったのか、実地検査の手続き的な瑕疵や処分理由の不自然さを掘り下げてお伝えします。
■ 証拠は「見積もりの不一致」? それだけではありませんでした
中小機構は、私たちが提出した見積書と、後から提出された施工会社の内訳書との間に齟齬があるとして、補助金の交付決定を取り消しました。しかし、この差異は行政の指導のもとで修正された内容であり、むしろ適切に報告・説明しながら進めていた結果です。
このような「形式的な不整合」に過ぎない部分を捉えて、重大な違反があったかのように扱うのは、法的にも手続き的にも過剰な措置といわざるを得ません。
■ 「従業員の証言」を根拠に? しかし、発言者はその当時いなかった
さらに中小機構は、後日送付してきた取消通知において、
「従業員へのヒアリングにより、実際に工事が行われていなかったことが確認された」
と記載していました。
しかし、この「従業員へのヒアリング」は実際には行われておらず、当該従業員本人も「そんな質問は受けていない」と明確に否定しています。
加えて、その従業員は工事が行われた当時にはまだ入社していなかった人物です。
つまり、そもそも「答えようのない」質問を根拠にしているのです。
これは、検査の正当性どころか、虚偽の証拠に基づいた判断である可能性を強く示唆します。
■ 実地検査の手続き自体が違法ではないか?
この実地検査には、そもそも複数の重大な違法性があります。
検査員の一部は名刺の提示や身分証明を拒否
検査の様子を録音しようとすると、「録音するなら中止する、取消理由になる」と威圧
事前の通知はあったものの、検査の記録や質問内容の開示が一切ない
審査に来たとされる職員の数と、名簿・帳簿上の記録が一致していない
こうした手続き的瑕疵は、補助金等適正化法23条が求める「正当な検査権限」の範囲を明らかに逸脱しており、違法な実地検査であったと考えざるを得ません。
■ 実害は「取消処分」だけではなかった──現場崩壊の引き金に
今回の理不尽な検査と、その後の対応が、当社の業務に与えた影響は極めて大きいものでした。
検査後、従業員の間には不信感と不安が広がりました。
「なぜ、名乗らない人があんなに厳しく問い詰めてきたのか」
「会社が不正をしていると思われているのか」
「いつまた来るかわからない」
といった声が職場を満たし、結果として人員の確保が難しくなり、新宿店は閉店せざるを得ませんでした。
このような形での**“間接被害”**は、損害賠償請求の対象になりうるレベルです。
■ 問われるのは「正義」か、それとも「隠蔽」か
私たちは、このような不当な取消処分と向き合うことで、単に自社の名誉や損失を回復したいだけではありません。
問題は、
一連の判断があまりに不透明であること
民間委託された事務局に対する監督責任が曖昧なこと
事後的なチェックであっても「説明もなく全否定」されてしまうこと
です。
これを看過すれば、全国の補助金利用者が同様の「取消リスク」にさらされることになります。
■ 次回予告:
現場で何が起こっていたのか? 実地検査の実態と責任の所在
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