【第1回】突然の“実地検査”──私たちが受けた理不尽
2021年、私たち「はじまりビジネスパートナーズ」は、事業再構築補助金の支援業務に取り組んでいました。事業者が未来に向けて大きな一歩を踏み出す──その背中を押す役割が私たち支援機関の使命です。
たべりばのスタートに始まり、草加・新宿の共創型フードストアOLTUSまでの展開に漕ぎつけ、事業再構築補助金などで新しい分野に取り組む事業者の商品のお披露目の場にして販路開拓を支援したり、自治体との連携による地域プロモーションの案件も増えてくるなど、申請の支援以上のさらなる伴走型支援の価値を高めていくところでした。
ところが、補助事業が終了し、実績報告も完了してから2年半以上が経過した2024年4月、私たちの店舗兼商品開発事務所に中小企業庁を名乗る官僚以下7名の実地検査官が突然やってきました。
■実地検査の内容は録音も許されず、身分証明も提示されず
そこで違和感があったのは、「実地検査」の在り方でした。
検査員は7名で押しかけてきたが、名刺交換を拒否
補助金等適正化法で義務付けられている中小機構の理事長印のない「事業再構築補助金事務局 〇〇」とだけ書かれた名札のみの提示
録音を申し出たところ、「録音するなら検査を中止し、取消の理由とする」と威圧
一部職員は、来訪者記録にも記載がなく、誰がどのような立場で発言したか不明
後日、参議院議員の浜田聡議員事務所を通して当該の官僚に確認を取ったところ、当日の来訪者記録とは名前も人数もことなる説明。
同議員の質問結果でも録音に関する回答はしなかった。
こうした状態で得られた“ヒアリング内容”をもとに、一方的な検査をして、こちらの証拠が残らないようにして写真などを撮っていきました。
終始、全員が威圧的で当日その場に居合わせた従業員は恐怖におののいておりました。
特に中小企業庁の官僚と中小機構の職員の態度は旧態依然のお役所様のような態度です。
■その後の対応に不信感を募らせるばかり
終始、とんでもない状況で行われた実地検査ですが、その後とんでもない状況になります。
ー4月にテナントで入っている建物の内装費の見積もりについて詳細なものが必要なので提出を要請されたので、提出をしました。
ーその後にさらなる書類の提出を求められたのですが、お願いしている建設会社との連絡が取れなくなり、その旨を伝えました。
ーその連絡後、1カ月ほど何ら返答も指示もないために、再度どのようにしたらいいのかメールをしました。
ーしかし、6月末になるまでに事務局からは何の連絡もなし。
ー不審に思い、6月末に当社の顧問弁護士に相談をし、弁護士から中小機構企画部イノベーション助成グループ助成企画課に電話をしてもらい「現時点において追加で提出する必要がある書類はない」旨の回答を得る。
ーその後、何ら連絡のない状態が続いたが、8月9日に突然に「2024年4月9日に実施した立入検査において、追加で依頼させていただいた証憑類のご提出がない状況にあり、同交付規程第22条第1項第1号に基づき、交付決定の取消しとなる」旨の事前通告が届く、、、(お盆前に発送したので私たちが受け取ったのは8月16日)
ー8月21日に弁護士からイノベーション助成グループに「担当者との電話において、追加で提出する必要がある書類はない旨伝えられていたこと等を述べて、具体的な指示があれば、補助事業の適正な遂行にとって必要な措置には協力する意向がある」旨を連絡。
ーその後追加の書類徴求などがあったので弁護士を通して誠実に、こちらの調べうる限りの資料を提出。
ー11月14日に追加で徴求された資料を提出。
ーしかしながらそれを読むことなく、「令和6年8月23日付にて通知した以下の指示に対して、整合性のある回答が提出されていないため。・図面と見積もりとの突合ができる各数量の根拠を提出すること。・当初は盛り込まれていなかった設計費の価格(70万円)の根拠を提出すること。」、「また、実績報告時に提出された建物費の証憑について事実と相違していると申告があり、併せて新たな見積書が提出されたが、当該見積書の内容について整合性のある説明がなされておらず、不適当な実績報告を行ったと認めるため」との簡易な理由の説明や異議申し立て機関の説明もないまま補助金返還処分通知が送られてくる。
■補助金行政に透明性はあるのか?
この通知を受け取ってから、これまでのやり取りへの不信感や数々の法的解釈や交付規程の解釈の恣意的な運用を感じ、これまでも諸手続きで支援先が苦しんでいたことから、本件に関して訴訟に踏み切る決意をしました。
私たちは支援者として、これまでも補助金の「わかりづらさ」や「審査の不透明さ」に疑問を抱きながら、制度の枠内で懸命に支援を続けてきました。
しかし今回、被支援事業者だけでなく、私たち自身が理不尽な取消を受ける側に立ったことで、より深刻な問題を突きつけられました。
それは、
制度の透明性の欠如
民間委託による事務局運営の責任不在
一度出した決定を“後から変えられる”恐怖
です。
■訴訟という「最終手段」に踏み切った理由
私たちは本来、裁判などせずに、事業者の挑戦を支援し続けていたかった。
しかしこの取消処分には、どうしても納得がいきませんでした。
取消の根拠が不明瞭
反論の機会が十分に与えられなかった
申請から3年後というタイミングでの通知
そして、その判断を下す行政側の説明責任のなさ
これらすべてに、「今ここで声をあげなければ、同じような理不尽が繰り返される」と確信しました。
■裁判のその先へ──制度を変えるために
この裁判の目的は、単なる勝ち負けではありません。
**「補助金制度をより公平で、誠実なものに変える」**ことです。
中小企業が安心してチャレンジできる環境、支援者が信頼を持って寄り添える制度を守るために、私たちはこの戦いを選びました。
次回は、「実地検査の手続きの違法性」について綴りたいと思います。


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