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カスハラ訴訟、患者への損害賠償請求は割に合う?

2025/04/01
桑原 博道 田村 孔(仁邦法律事務所)

星野スウ/stock.adobe.com

 東京都で2025年4月、全国初となるカスタマーハラスメント防止条例が施行されました。本連載ではこれに先立ち2024年12月、医療現場におけるカスタマーハラメント(以下「カスハラ」)における診療拒否のケースを取り上げました(関連記事:医療現場のカスハラ、診療拒否できるのはどんなケース?)。そして掲載から間もなく、カスハラに関する最高裁判決がありました。これは患者・家族によるカスハラによって、医療機関側が損害を被ったとの趣旨で患者・家族に賠償を請求した事例です。地方裁判所および高等裁判所は賠償請求を否定したため、医療機関側が最高裁に上告していたところ、最高裁が上告を棄却したというものです(関連記事: 「ハラスメントを許容すれば医療は成り立たない」、ペイハラ訴訟を起こした医療機関が語る )。

 そこで本稿では上記の裁判例のようにカスハラを理由に、医療機関側(院外薬局を含む)が患者・家族に対し損害賠償を請求した裁判を取り上げます。

連載の紹介

日常診療に生かす医療訴訟の教訓
患者とのトラブルで頭を悩ませないようにするためには、日々の診療で紛争予防を意識した対応をしておくことが欠かせません。本連載では、医療機関側の弁護活動を行う仁邦法律事務所(東京都港区、桑原博道所長)の弁護士が、実際の裁判例も参照しつつポイントを解説します。

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