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東京都で2025年4月、全国初となるカスタマーハラスメント防止条例が施行されました。本連載ではこれに先立ち2024年12月、医療現場におけるカスタマーハラメント(以下「カスハラ」)における診療拒否のケースを取り上げました(関連記事:医療現場のカスハラ、診療拒否できるのはどんなケース?)。そして掲載から間もなく、カスハラに関する最高裁判決がありました。これは患者・家族によるカスハラによって、医療機関側が損害を被ったとの趣旨で患者・家族に賠償を請求した事例です。地方裁判所および高等裁判所は賠償請求を否定したため、医療機関側が最高裁に上告していたところ、最高裁が上告を棄却したというものです(関連記事: 「ハラスメントを許容すれば医療は成り立たない」、ペイハラ訴訟を起こした医療機関が語る )。
そこで本稿では上記の裁判例のようにカスハラを理由に、医療機関側(院外薬局を含む)が患者・家族に対し損害賠償を請求した裁判を取り上げます。