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海外に患者を送り込み移植手術をさせる「臓器ブローカー」は、逮捕されたのになぜ「被害者」を訴えたのか?

高橋 幸春

3つの「名誉毀損」裁判

2023年11月28日、東京地裁で菊池被告に対する判決が下った。菊池本人は懲役8ヵ月、NPO法人難病患者支援の会に100万円の罰金だった。その判決文を聞いた直後に菊池は控訴を表明した。

控訴審は翌2024年9月18日に開かれ、12月6日には早くも判決が言い渡された。控訴は棄却され菊池は当然上告した。

一審の判決理由の最後にはこう述べられていた。

「関係証拠によっても、本件各あっせんが営利性のあるものとまでは認められないことに加え、被告人の述べる報酬額を前提にしても個人的な利得が大きかったとも認められないことからすれば、罰金刑を併科するのは相当でないと判断した。よって、主文のとおり判決する」

控訴審判決もこれに準じている。

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「メディアは患者の弱みにつけ込んで暴利をむさぼっているように書いた。でも、一審判決はそれを否定している。まったく無報酬でこの仕事をするわけにはいかない。合理的な経費をもらって、患者の命を救ったら犯罪になるのか」

菊池はそう憤る。

「臓器あっせん罪」を裁く法廷では真実は明らかにされない。そこで菊池は、3つの名誉毀損の裁判を起こした。

一つ目は、2024年10月5日、「被告日本放送協会、被告小沢克年、被告牧口及び被告河崎は、原告に対し、連帯して、金1億円を支払え」という損害賠償請求だ。さらに2024年12月27日、読売新聞と河崎に対して1億160万円、文藝春秋社と小沢コーチに2360万円の損害賠償を求めた。

これは、どこのメディアにも報じられていない事実だ。

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