和歌山県田辺市中辺路町川合に４月、私立「うつほの杜学園小学校」が開校される。校舎は２０１３年に閉校した旧二川小を改修した。２２日、開校記念式典があり、学園理事長に就任予定の仙石恭子さんは「みんなでつくった学園を世界とつながる学びの聖地とし、まちづくりに参加していきたい」と意気込みを語った。


　今月１２日に県知事の設置認可を受けた。県内の私立小設置は１３年ぶり３校目。紀南では初めて。４月５日に１～３年生１５人が入学する。

　学園は、世界遺産熊野古道をはじめとする豊かな自然や文化を生かし、子どもが主体的に思考を深める「探究的な学び」や多言語教育を掲げている。

　グローカルリーダー（地球規模の視点と地域とつながった価値観を併せ持つ人材）の育成を目指しており、英語の授業に加え、一部の教科も英語で行う予定。

　日本の小中学校の義務教育の内容もカバーしたカリキュラムとなる。教員は常勤１０人と非常勤４人。教科担任制で、異学年を交ぜた縦割りのクラスも設けるという。

　式典で仙石さんは「全国で会社は年間１５万社設立されているが、私立小学校の設置は平均１校でハードルが高い。『これからの教育をゼロからつくろう』という純粋な思いと『世界遺産熊野古道の地』という魅力が、多くの支援につながり、越えられた」と感謝した。

　校長に就任予定の市川顕東洋大学教授は「児童生徒が目をキラキラさせて学びを楽しむ場にしたい。教育の聖地として革新を起こし、学園を中心とした地方創生のモデルとなりたい」と語った。

　入学予定者の半数は県外出身。児童の家族や教員を含め、開校を機に約４０人が紀南に移住するという。

　来賓の岸本周平知事は「答えのない問いにチャレンジするのがこれからの教育。和歌山、日本の教育はここから変わると思っている。学園の中学校から卒業生を出すころには、全国、世界から子どもが集まっているはず」とエールを送った。

　式典には行政や協賛企業、支援者らが出席した。出席者で輪になってのテープカットや地域の未来を描くワークショップ、新校舎の見学ツアーなどがあった。

【学校設立の歩み】

　２０２１年２月　仙石恭子さんが学校設立のプロジェクトを始動

　　２２年１２月　旧二川小校区７町内会と中辺路町自治連絡協議会の代表が学園誘致の要望書を田辺市に提出

　　　２３年５月　学園設立準備会と田辺市、旧二川小校区の７町内会が旧二川小校舎活用で三者協定を締結

　　２３年１１月　設立準備会が学園開校に向けてクラウドファンディング開始。２０２３万円が集まった

　　　２４年４月　学校法人申請書を県知事へ提出

　２５年４月５日　うつほの杜学園小学校入学式